三.共に生きる覚悟
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数週間後ーーー
先日頼んでおいた刀を取りに行くために、緋真と神威は鉄子の営む鍛冶屋へと向かっていた。
「ねぇ、一体どんな刀をうってもらうように頼んだの?俺にはそろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「これから取りに行くんだから、その時見ればいいじゃん。説明するより見る方が早いよ。」
「…ふぅん。まぁどのみち見ても俺には刀の事なんてよくわかんないけどさ。緋真の体の事ならよく分かるけどネ。」
「ちょっ…やめてくれる!?そういう発言急に出すの!」
「ははっ!顔真っ赤だよ。やっぱり緋真は普段女らしくない分、からかうと面白いなァ。」
「ねぇそれ、褒めてないよね?けなしてるよね?普段女らしくないってそんなにストレートに言われると結構傷付くんだけど!」
緋真が小走りで先を行く神威を追いかけようと駆け出すと、前方に神楽と新八の姿が見えて足を止める。
「あっ!緋真姉ちゃん来たアル!」
「緋真さん!お久しぶりです!」
「…何でお前がこんなところにいるんだヨ。」
神楽の姿を見て、露骨に嫌そうな顔をする神威に対し、神楽はすでに神威を相手にする事なく緋真へと抱きつく。
そしてその体を無理やり引き離そうと神楽の体を引っ張り、乱闘になるのがいつもの約束だ。
緋真はそんな二人を余所に、新八に誘導されて店の中へと入った。
そこには既に銀時が鉄子と向かいあって茶をすすっており、緋真の姿が見えると二人ともパッと表情を明るめて迎えてくれた。
「緋真さん!来てくれたんだね。待ってたよ。」
鉄子は急いで刀を取りに鍛冶場へと向かう。
銀時はそんな背中を見つめながら、口を開いた。
「よぉ。オメェの刀ができあがったっつーんで、俺たちも拝ませてもらいに来たぜ。」
「あら、銀兄も私の刀がどんなのか気になるの?」
「そりゃァ兄弟子だからな。オメーが欲しがる刀がどんなもんか気になるだろ。」
そう返すと、緋真はクスクスと小さく笑った。
銀時は数週間ぶりに会った彼女を見て、以前よりもよりどことなく華々しいその様子を見て、思わず尋ねた。
「お前、まさか神威とーー」
「お待たせ!」
銀時の質問を遮るかのように、鉄子が居間へと戻ってきた。
「銀兄、今何か私に言った?」
「…いや、何でもねぇ。」
気づかなかった事にしよう、と銀時はその思いを心の中にしまい、鉄子が持ってきたその刀に目を向けた。
気づけば店の外にいた神楽たちも店内へと入り、その刀を受け取る緋真を見て驚きの表情を浮かべていた。
「な、なんですか緋真さん。その長いの…刀ですよね?」
「そうだよ。」
「…懐かしいな。お前がいつも持ち歩いてた刀と一緒じゃねぇか。」
緋真はそう言う銀時に人差し指を立てて左右に振った。
「チッチッチ。実は違うんだな、これが。」
得意げな笑みを浮かべてそう言う緋真に、その場にいる皆は首を傾げた。
本来刀についているはずの鍔もない長い刀の両サイドに手をかけ、すっと外に引くと二本の刃が露になり、中心の鞘は鉄子が受け取った。
そしてその刃先を立てて彼らに見せると、最初にその刀の異変に気付いたのは銀時だった。
「おまっ…その刀…!」
「何?俺全然分かんないんだけど。」
「私も何が違うのか全く分からないアル。」
「僕もそこまで詳しくはないけれど…緋真さんの持っているその刀、刃が通常のものと逆についてませんか?普通なら反りの方に刃があるはずなんですけど…」
「そうだよ。持ち手の裏側に来る方が、通常の刀の刃。いわゆる逆刃刀なんだ。」
「逆刃刀…?」
「私も最初は驚いたよ。祖父の代からやってきたこの刀鍛冶に、斬れない刀を打ってくれと頼んだのはあんたが初めてだ。」
「なんで斬れない刀なんて作ってもらったの?それって意味あるの?」
神威はそっと彼女の元へ近寄って、じとりと刀を見つめる。
緋真はそんな神威を見ては小さく笑って、こう返した。
「私はもう自分の剣で人は殺めない。でも、守りたいものがあるから剣を振るう。だからこの逆刃刀を頼んだんだ。それにこれなら、夜兎族の拳の喧嘩に巻き込まれても、その拳を切り刻むことは避けられるしね。」
「…へえ、試していい?」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる神威を見て、緋真は小さくため息を零してその刀を鞘へと納めた。
「ありゃ?もうしまうんだ。」
「全く、むやみに喧嘩しないって約束で付いてくるの許したのに、もう破ろうとしないでよね。…鉄子さん、ありがとう。すごくいい刀だった。」
「気に入ってもらえてよかったよ。」
そう言って再び緋真はそれを手に取り、腰へと差した。
「なるほど…。オメェの覚悟は、どうやらとうに決まってたみてぇだな。」
「この前銀兄が言った通り、理由はどうであれ私は過去にたくさんの人を殺めて、たくさんの命を奪ってきた。そして多くの仲間も失った。その傷を忘れたわけでもないし、今だって大切な人がいなくなるのは怖い。でも一度全部失った私に、今こうしてまた一緒に闘うことのできる人たちができた。国を守ろうとか、人々を守ろうとかそんな大きいことはできないけれど、この両手に抱えるくらいの大切な人たちは守っていきたい。だからこそ、この刀で私はこの先の人生を歩むよ。」
「そうかい。そりゃ大層ご立派なこった。ま、いいんじゃねぇの?お前が決めた事だし。もう昔のようにお前のその目を欲しがって狙ってくる連中もめっきり減るだろうしな。なんてったって、宇宙最強の番犬がついてんだ。」
「…番犬ってもしかして俺の事?」
神威が自身を指さしてそう尋ねると、緋真と銀時は小さく笑った。
そして緋真は鉄子の方を見て、もう一度深々と頭を下げた。
「本当に、素敵な刀を打ってくれてありがとう、鉄子さん。刀の御代を…」
「それなんだけどさ。今回御代は受け取らないよ。」
「え?どうして?」
緋真がきょとんとした表情を見て、鉄子はふふっと微笑む。
そうしてその笑顔を見せては、再び口を開いた。
「夜盗たちから無事刀を取り返してくれたってのもあるけど…なによりあんたのその斬れない刀をどう使って、どう生きてくのか。私も興味がわいたんだ。だからもしその刀に何かあった時は、他の鍛冶屋に浮気せずに、私のとこにいつでも直しに来てよ。見届けたいんだ。あんたの行く道を。」
鉄子の言葉に、緋真は驚いた表情を見せては口角を上げて、フッと息を吐いて笑う。
「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらうよ。」
「あぁ。そうしてくれ。」
二人が微笑み合っているのを見て、銀時達もつられて笑みを浮かべる。
緋真が以前、仲間を失い心が壊れそうになっていた頃を思い出しては、随分自然と笑うようになったその表情を見て、安心感を抱いた。
「へぇ、まさか二刀流だったとは驚きでぃ。どうりで太刀の動きがはえぇはずだァ。」
「まさかこの廃刀令のご時世に堂々と刀を腰に下げて歩こうたァ良い度胸してやがるな。この間手柄を取られた借りをきっちり返すついでに、テメェんとこの大将とそこの銀髪の元攘夷志士の白夜叉も、みーんなまとめてしょっぴいてやるぜぃ。」
「なっ…真選組?!」
気づけば店の入り口に、黒い制服を纏った二人の男が仁王立ちしているのに気が付いた。
銀時達は慌ててその店から飛び出そうと全速力で走りだす。
神威はその挑発にのろうと拳を握るが、緋真がその襟首をつかんで逃げるよと言わんばかりに引っ張って走り出す。
「あぁっ!おい待てテメェらッ!逃げんじゃねぇッ!」
「待ちなせぇ、緋真!俺にもその刀見せてくれよッ!」
「刀見せて欲しい奴が抜刀して近づいてこないでよーっ!」
「緋真、俺喧嘩していい?」
「だからダメって言ってるでしょ!もう、船戻るよ!毎回かぶき町に来るたびに喧嘩騒動起こすのやめてよね!今ここで大人しく引き下がらなかったら、夕飯抜きだから。」
「えーっ!それは酷いよ緋真。」
「だったら早く逃げてよ!私があんたの体引っ張るのどれだけ大変だと思ってんのさ!」
そう言いながら店を走り去っていく彼らの背中を見て、鉄子は密かに穏やかな笑みを浮かべていた。
神威は隣で全速力で走っていた緋真を持ち上げて、屋根へと飛び移り、猛スピードで船へと向かい始める。
「あぁっ!ずるいぞテメェ!」
「またね。お侍さんにお巡りさん。」
真選組から先に逃げようとする神威を見て銀時が叫ぶと、神威は一言だけ告げてあっという間に彼らの前から姿を消した。
銀時は去り際に心の底から笑っている緋真の笑顔を見て、安堵の息をこぼした。
緋真はもう、大丈夫だ。
あの男が隣にいる限り、あの強い心が壊れる事も死のうとするような事も、この先きっとないだろう。
「あーあ。なんか妹を嫁にやった気分だぜ畜生。」
そんな言葉を空を見上げて零しながら、追いかけてくる真選組から逃れるため、再び全速力で走るのだった。
先日頼んでおいた刀を取りに行くために、緋真と神威は鉄子の営む鍛冶屋へと向かっていた。
「ねぇ、一体どんな刀をうってもらうように頼んだの?俺にはそろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「これから取りに行くんだから、その時見ればいいじゃん。説明するより見る方が早いよ。」
「…ふぅん。まぁどのみち見ても俺には刀の事なんてよくわかんないけどさ。緋真の体の事ならよく分かるけどネ。」
「ちょっ…やめてくれる!?そういう発言急に出すの!」
「ははっ!顔真っ赤だよ。やっぱり緋真は普段女らしくない分、からかうと面白いなァ。」
「ねぇそれ、褒めてないよね?けなしてるよね?普段女らしくないってそんなにストレートに言われると結構傷付くんだけど!」
緋真が小走りで先を行く神威を追いかけようと駆け出すと、前方に神楽と新八の姿が見えて足を止める。
「あっ!緋真姉ちゃん来たアル!」
「緋真さん!お久しぶりです!」
「…何でお前がこんなところにいるんだヨ。」
神楽の姿を見て、露骨に嫌そうな顔をする神威に対し、神楽はすでに神威を相手にする事なく緋真へと抱きつく。
そしてその体を無理やり引き離そうと神楽の体を引っ張り、乱闘になるのがいつもの約束だ。
緋真はそんな二人を余所に、新八に誘導されて店の中へと入った。
そこには既に銀時が鉄子と向かいあって茶をすすっており、緋真の姿が見えると二人ともパッと表情を明るめて迎えてくれた。
「緋真さん!来てくれたんだね。待ってたよ。」
鉄子は急いで刀を取りに鍛冶場へと向かう。
銀時はそんな背中を見つめながら、口を開いた。
「よぉ。オメェの刀ができあがったっつーんで、俺たちも拝ませてもらいに来たぜ。」
「あら、銀兄も私の刀がどんなのか気になるの?」
「そりゃァ兄弟子だからな。オメーが欲しがる刀がどんなもんか気になるだろ。」
そう返すと、緋真はクスクスと小さく笑った。
銀時は数週間ぶりに会った彼女を見て、以前よりもよりどことなく華々しいその様子を見て、思わず尋ねた。
「お前、まさか神威とーー」
「お待たせ!」
銀時の質問を遮るかのように、鉄子が居間へと戻ってきた。
「銀兄、今何か私に言った?」
「…いや、何でもねぇ。」
気づかなかった事にしよう、と銀時はその思いを心の中にしまい、鉄子が持ってきたその刀に目を向けた。
気づけば店の外にいた神楽たちも店内へと入り、その刀を受け取る緋真を見て驚きの表情を浮かべていた。
「な、なんですか緋真さん。その長いの…刀ですよね?」
「そうだよ。」
「…懐かしいな。お前がいつも持ち歩いてた刀と一緒じゃねぇか。」
緋真はそう言う銀時に人差し指を立てて左右に振った。
「チッチッチ。実は違うんだな、これが。」
得意げな笑みを浮かべてそう言う緋真に、その場にいる皆は首を傾げた。
本来刀についているはずの鍔もない長い刀の両サイドに手をかけ、すっと外に引くと二本の刃が露になり、中心の鞘は鉄子が受け取った。
そしてその刃先を立てて彼らに見せると、最初にその刀の異変に気付いたのは銀時だった。
「おまっ…その刀…!」
「何?俺全然分かんないんだけど。」
「私も何が違うのか全く分からないアル。」
「僕もそこまで詳しくはないけれど…緋真さんの持っているその刀、刃が通常のものと逆についてませんか?普通なら反りの方に刃があるはずなんですけど…」
「そうだよ。持ち手の裏側に来る方が、通常の刀の刃。いわゆる逆刃刀なんだ。」
「逆刃刀…?」
「私も最初は驚いたよ。祖父の代からやってきたこの刀鍛冶に、斬れない刀を打ってくれと頼んだのはあんたが初めてだ。」
「なんで斬れない刀なんて作ってもらったの?それって意味あるの?」
神威はそっと彼女の元へ近寄って、じとりと刀を見つめる。
緋真はそんな神威を見ては小さく笑って、こう返した。
「私はもう自分の剣で人は殺めない。でも、守りたいものがあるから剣を振るう。だからこの逆刃刀を頼んだんだ。それにこれなら、夜兎族の拳の喧嘩に巻き込まれても、その拳を切り刻むことは避けられるしね。」
「…へえ、試していい?」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる神威を見て、緋真は小さくため息を零してその刀を鞘へと納めた。
「ありゃ?もうしまうんだ。」
「全く、むやみに喧嘩しないって約束で付いてくるの許したのに、もう破ろうとしないでよね。…鉄子さん、ありがとう。すごくいい刀だった。」
「気に入ってもらえてよかったよ。」
そう言って再び緋真はそれを手に取り、腰へと差した。
「なるほど…。オメェの覚悟は、どうやらとうに決まってたみてぇだな。」
「この前銀兄が言った通り、理由はどうであれ私は過去にたくさんの人を殺めて、たくさんの命を奪ってきた。そして多くの仲間も失った。その傷を忘れたわけでもないし、今だって大切な人がいなくなるのは怖い。でも一度全部失った私に、今こうしてまた一緒に闘うことのできる人たちができた。国を守ろうとか、人々を守ろうとかそんな大きいことはできないけれど、この両手に抱えるくらいの大切な人たちは守っていきたい。だからこそ、この刀で私はこの先の人生を歩むよ。」
「そうかい。そりゃ大層ご立派なこった。ま、いいんじゃねぇの?お前が決めた事だし。もう昔のようにお前のその目を欲しがって狙ってくる連中もめっきり減るだろうしな。なんてったって、宇宙最強の番犬がついてんだ。」
「…番犬ってもしかして俺の事?」
神威が自身を指さしてそう尋ねると、緋真と銀時は小さく笑った。
そして緋真は鉄子の方を見て、もう一度深々と頭を下げた。
「本当に、素敵な刀を打ってくれてありがとう、鉄子さん。刀の御代を…」
「それなんだけどさ。今回御代は受け取らないよ。」
「え?どうして?」
緋真がきょとんとした表情を見て、鉄子はふふっと微笑む。
そうしてその笑顔を見せては、再び口を開いた。
「夜盗たちから無事刀を取り返してくれたってのもあるけど…なによりあんたのその斬れない刀をどう使って、どう生きてくのか。私も興味がわいたんだ。だからもしその刀に何かあった時は、他の鍛冶屋に浮気せずに、私のとこにいつでも直しに来てよ。見届けたいんだ。あんたの行く道を。」
鉄子の言葉に、緋真は驚いた表情を見せては口角を上げて、フッと息を吐いて笑う。
「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらうよ。」
「あぁ。そうしてくれ。」
二人が微笑み合っているのを見て、銀時達もつられて笑みを浮かべる。
緋真が以前、仲間を失い心が壊れそうになっていた頃を思い出しては、随分自然と笑うようになったその表情を見て、安心感を抱いた。
「へぇ、まさか二刀流だったとは驚きでぃ。どうりで太刀の動きがはえぇはずだァ。」
「まさかこの廃刀令のご時世に堂々と刀を腰に下げて歩こうたァ良い度胸してやがるな。この間手柄を取られた借りをきっちり返すついでに、テメェんとこの大将とそこの銀髪の元攘夷志士の白夜叉も、みーんなまとめてしょっぴいてやるぜぃ。」
「なっ…真選組?!」
気づけば店の入り口に、黒い制服を纏った二人の男が仁王立ちしているのに気が付いた。
銀時達は慌ててその店から飛び出そうと全速力で走りだす。
神威はその挑発にのろうと拳を握るが、緋真がその襟首をつかんで逃げるよと言わんばかりに引っ張って走り出す。
「あぁっ!おい待てテメェらッ!逃げんじゃねぇッ!」
「待ちなせぇ、緋真!俺にもその刀見せてくれよッ!」
「刀見せて欲しい奴が抜刀して近づいてこないでよーっ!」
「緋真、俺喧嘩していい?」
「だからダメって言ってるでしょ!もう、船戻るよ!毎回かぶき町に来るたびに喧嘩騒動起こすのやめてよね!今ここで大人しく引き下がらなかったら、夕飯抜きだから。」
「えーっ!それは酷いよ緋真。」
「だったら早く逃げてよ!私があんたの体引っ張るのどれだけ大変だと思ってんのさ!」
そう言いながら店を走り去っていく彼らの背中を見て、鉄子は密かに穏やかな笑みを浮かべていた。
神威は隣で全速力で走っていた緋真を持ち上げて、屋根へと飛び移り、猛スピードで船へと向かい始める。
「あぁっ!ずるいぞテメェ!」
「またね。お侍さんにお巡りさん。」
真選組から先に逃げようとする神威を見て銀時が叫ぶと、神威は一言だけ告げてあっという間に彼らの前から姿を消した。
銀時は去り際に心の底から笑っている緋真の笑顔を見て、安堵の息をこぼした。
緋真はもう、大丈夫だ。
あの男が隣にいる限り、あの強い心が壊れる事も死のうとするような事も、この先きっとないだろう。
「あーあ。なんか妹を嫁にやった気分だぜ畜生。」
そんな言葉を空を見上げて零しながら、追いかけてくる真選組から逃れるため、再び全速力で走るのだった。