三.共に生きる覚悟
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
船に戻った後緋真は即座にシャワールームへと向かい、その矢先に阿伏兎は団長に手渡された木刀を手にし、ぽかんと口を開けていた。
「阿伏兎。俺と緋真が起きるまでそれ預かってて。」
「だ、団長よしてくれよぉ。俺ァこんな重荷を預かることなんて御免だぜ。」
「いいじゃんそれくらい。今日は気にせずゆっくり寝たい気分なんだ。あと、陽の光が入らないように、起きるまでは宇宙に船飛ばしといて。団長命令だよ。」
「お、おい団長ッ!!」
阿伏兎の文句の一つも聞くことなく、スタスタと彼女がいる自室へと向かう神威を見ては、大きく肩で息を吐いた。
「ったくぅ、俺を巻き込んでくれるなよなァ。」
そう吐き捨てては、団長の指示のままに操縦室へ向かっては、疲れた体を癒すために自室へと急ぐのだった。
※※※
一晩明けた今、ようやくシャワーを浴びて汗を流しすっきりしたところで、どっと睡魔が襲っていた。
緋真はおぼつかない足で髪をタオルで拭きながら部屋へと戻ると、置いてあったはずの木刀がない事に気づき、目をぱちくりと見開いた。
「…ない。」
「あるわけないじゃん。昨日約束しただろ?刀を抱いて寝るのはやめるって。」
自分が部屋に備え付けのあるシャワールームを借りている間、別のシャワールームへ行くと言って出て行った神威は、既に部屋着にかえてベッドへ足を組んで座っていた。
彼に言われてその約束をようやく思い出しては、傍によって緋真は苦し紛れに反論を述べる。
「抱いて寝ないにしても、部屋に置いておくくらいいでしょ?!もう神威と出会った頃の私とは違うんだから、あれがないと落ち着かないの!」
「…だからといって、今は昔とも違うんだよ緋真。」
彼の声がふいに優しくなるのを耳にし、緋真は驚いて言葉を失った。
神威は目の前にいる緋真にそっと手を伸ばし、ベッドの方へと引き寄せる。
不意を突かれた緋真はきゃっ!と女らしい声を小さく零しては、どさりと横に倒れ、神威と目があった。
いつもと違う神威の様子を見て、緋真の心臓はいつもよりも鼓動が早まる。
真っすぐに見つめるその視線を前に、思わず息を呑んだ。
「昔のように、なりふり緋真を狙う奴はここにはこない。仮に来たところで俺がいるんだから、あんな刀なんてなくたって問題ないよ。それともそんなに俺が信用ならない?」
「そ、そういうわけじゃ…」
「じゃあ、もう寝る時に木刀は必要ないよね。そんなに何かを抱いて寝たいなら、俺を抱いて寝て良いよ。」
「なっ…なななに言ってーーーッッ!!」
神威は彼女の反応を見て驚いた。
いつもは平然と自分の前で裸同然の姿をしてくるくせに。
いつもは隣で無防備に寝息を立てているくせに。
今の彼女は顔を真っ赤に染めて、女らしく自分を男として意識していると言わんばかりの表情をしているではないか。
その時神威は、ようやく彼女が今まで自分の事を意識していなかったわけではないと確信した。
木刀を肌身離さず持っていたのは、自分自身が女であることを忘れるため。
この男しかいない環境で、気を抜かないように意識するためであったという事。
そして刀一つでその身を守ってきた緋真にとって、それが唯一強気になれる物であったという事も。
神威はそう思うと、静かに笑ってもう一度彼女を見つめた。
「すごいな、刀を持ってないだけでこんなに女っぽくなるなんて。ますます面白いや。」
「なに人の反応見て楽しんでるわけ…お願いだから刀返して…ーーッッ!?」
緋真が最後まで言葉を言う前に、神威のその逞しい腕に引っ張られ強く抱きしめられ、喉を詰まらせた。
突然男らしい態度を見せつける神威を見て、緋真の心臓は破裂しそうな程大きく、早く鼓動する。
こんな状況を味わった事のない緋真は、早く逃れようと必死に彼の胸板を押すが、寝不足と男として彼を見てしまった女の腕の力は、驚くほど非力でぴくりともしなかった。
「かっ…神威!お願い、離してよ!こんなんじゃいくら徹夜明けでも眠れな…い」
顔を上げると、そこには神威の顔が至近距離に映る。
そうしてふいにあげた彼女の鼻先は、彼の口元にそっと触れた。
「随分積極的だなァ。…あぁそうだ。忘れてたよ。俺あの時、緋真に思いきり木刀で殴られた事を。今から仕返ししてもいい?」
「し、仕返しって…何を…」
優しく笑みを浮かべているはずの神威の顔を見て、何故か冷や汗が額を伝い嫌な予感が過る。
「…神威、なんか変な事考えて…」
「変な事って何?俺バカだから分かんないんだけど。ていうか俺気づいちゃった。緋真が一番嫌がる事。」
「な、なに…?」
「女の緋真を露骨に出す事。だから今から俺の前で啼いて見せてよ」
「ばっ、バカじゃないの?!」
「酷いなァ。俺は至って真剣だよ。緋真なら一緒にいても飽きないし、その髪を見ている限り俺の夜兎の血が暴走する事もない。それに、緋真は強いから俺との子を産んでも、きっとその子供も強いはずだよ。」
「…」
神威の唐突な爆弾発言に、緋真は思わず驚いて目を何度も瞬きさせた。
そして神威が顔を近づけて額に口づけをすると、緋真は遅れながらも口を開いた。
「やっ、やだ神威!言ってる意味が全然分かんないし、私寝不足だからほんと無理で」
「寝不足じゃなきゃいいの?まぁでも、もう遅いよ。俺だって数日我慢したんだ。なんかいい香りするし、俺も徹夜明けでムラムラしてんだよね。それに、俺緋真の弱いとこ、この前知っちゃったんだよ。」
「---ッッ!!」
陽気な声でそう言って、口づけはどんどん緋真の額から下へ下へと降りてくる。首元までそれがたどり着くと、くすぐったいような、身体の神経が麻痺するようなその感覚に何とか堪えつつも、力が抜けていく本能に抗うように、目を閉じて神威の服をぎゅっと強く握りしめる。
神威は彼女のそんな反応を見て、小さく笑った。
「…どうしよう、可愛くて殺しちゃいそうだ。」
「かっ…神威ッッ!!!」
頬を赤らめた緋真の精一杯の怒鳴り声を聞き、神威は「ははっ。」と無邪気に笑ったのだった。
「阿伏兎。俺と緋真が起きるまでそれ預かってて。」
「だ、団長よしてくれよぉ。俺ァこんな重荷を預かることなんて御免だぜ。」
「いいじゃんそれくらい。今日は気にせずゆっくり寝たい気分なんだ。あと、陽の光が入らないように、起きるまでは宇宙に船飛ばしといて。団長命令だよ。」
「お、おい団長ッ!!」
阿伏兎の文句の一つも聞くことなく、スタスタと彼女がいる自室へと向かう神威を見ては、大きく肩で息を吐いた。
「ったくぅ、俺を巻き込んでくれるなよなァ。」
そう吐き捨てては、団長の指示のままに操縦室へ向かっては、疲れた体を癒すために自室へと急ぐのだった。
※※※
一晩明けた今、ようやくシャワーを浴びて汗を流しすっきりしたところで、どっと睡魔が襲っていた。
緋真はおぼつかない足で髪をタオルで拭きながら部屋へと戻ると、置いてあったはずの木刀がない事に気づき、目をぱちくりと見開いた。
「…ない。」
「あるわけないじゃん。昨日約束しただろ?刀を抱いて寝るのはやめるって。」
自分が部屋に備え付けのあるシャワールームを借りている間、別のシャワールームへ行くと言って出て行った神威は、既に部屋着にかえてベッドへ足を組んで座っていた。
彼に言われてその約束をようやく思い出しては、傍によって緋真は苦し紛れに反論を述べる。
「抱いて寝ないにしても、部屋に置いておくくらいいでしょ?!もう神威と出会った頃の私とは違うんだから、あれがないと落ち着かないの!」
「…だからといって、今は昔とも違うんだよ緋真。」
彼の声がふいに優しくなるのを耳にし、緋真は驚いて言葉を失った。
神威は目の前にいる緋真にそっと手を伸ばし、ベッドの方へと引き寄せる。
不意を突かれた緋真はきゃっ!と女らしい声を小さく零しては、どさりと横に倒れ、神威と目があった。
いつもと違う神威の様子を見て、緋真の心臓はいつもよりも鼓動が早まる。
真っすぐに見つめるその視線を前に、思わず息を呑んだ。
「昔のように、なりふり緋真を狙う奴はここにはこない。仮に来たところで俺がいるんだから、あんな刀なんてなくたって問題ないよ。それともそんなに俺が信用ならない?」
「そ、そういうわけじゃ…」
「じゃあ、もう寝る時に木刀は必要ないよね。そんなに何かを抱いて寝たいなら、俺を抱いて寝て良いよ。」
「なっ…なななに言ってーーーッッ!!」
神威は彼女の反応を見て驚いた。
いつもは平然と自分の前で裸同然の姿をしてくるくせに。
いつもは隣で無防備に寝息を立てているくせに。
今の彼女は顔を真っ赤に染めて、女らしく自分を男として意識していると言わんばかりの表情をしているではないか。
その時神威は、ようやく彼女が今まで自分の事を意識していなかったわけではないと確信した。
木刀を肌身離さず持っていたのは、自分自身が女であることを忘れるため。
この男しかいない環境で、気を抜かないように意識するためであったという事。
そして刀一つでその身を守ってきた緋真にとって、それが唯一強気になれる物であったという事も。
神威はそう思うと、静かに笑ってもう一度彼女を見つめた。
「すごいな、刀を持ってないだけでこんなに女っぽくなるなんて。ますます面白いや。」
「なに人の反応見て楽しんでるわけ…お願いだから刀返して…ーーッッ!?」
緋真が最後まで言葉を言う前に、神威のその逞しい腕に引っ張られ強く抱きしめられ、喉を詰まらせた。
突然男らしい態度を見せつける神威を見て、緋真の心臓は破裂しそうな程大きく、早く鼓動する。
こんな状況を味わった事のない緋真は、早く逃れようと必死に彼の胸板を押すが、寝不足と男として彼を見てしまった女の腕の力は、驚くほど非力でぴくりともしなかった。
「かっ…神威!お願い、離してよ!こんなんじゃいくら徹夜明けでも眠れな…い」
顔を上げると、そこには神威の顔が至近距離に映る。
そうしてふいにあげた彼女の鼻先は、彼の口元にそっと触れた。
「随分積極的だなァ。…あぁそうだ。忘れてたよ。俺あの時、緋真に思いきり木刀で殴られた事を。今から仕返ししてもいい?」
「し、仕返しって…何を…」
優しく笑みを浮かべているはずの神威の顔を見て、何故か冷や汗が額を伝い嫌な予感が過る。
「…神威、なんか変な事考えて…」
「変な事って何?俺バカだから分かんないんだけど。ていうか俺気づいちゃった。緋真が一番嫌がる事。」
「な、なに…?」
「女の緋真を露骨に出す事。だから今から俺の前で啼いて見せてよ」
「ばっ、バカじゃないの?!」
「酷いなァ。俺は至って真剣だよ。緋真なら一緒にいても飽きないし、その髪を見ている限り俺の夜兎の血が暴走する事もない。それに、緋真は強いから俺との子を産んでも、きっとその子供も強いはずだよ。」
「…」
神威の唐突な爆弾発言に、緋真は思わず驚いて目を何度も瞬きさせた。
そして神威が顔を近づけて額に口づけをすると、緋真は遅れながらも口を開いた。
「やっ、やだ神威!言ってる意味が全然分かんないし、私寝不足だからほんと無理で」
「寝不足じゃなきゃいいの?まぁでも、もう遅いよ。俺だって数日我慢したんだ。なんかいい香りするし、俺も徹夜明けでムラムラしてんだよね。それに、俺緋真の弱いとこ、この前知っちゃったんだよ。」
「---ッッ!!」
陽気な声でそう言って、口づけはどんどん緋真の額から下へ下へと降りてくる。首元までそれがたどり着くと、くすぐったいような、身体の神経が麻痺するようなその感覚に何とか堪えつつも、力が抜けていく本能に抗うように、目を閉じて神威の服をぎゅっと強く握りしめる。
神威は彼女のそんな反応を見て、小さく笑った。
「…どうしよう、可愛くて殺しちゃいそうだ。」
「かっ…神威ッッ!!!」
頬を赤らめた緋真の精一杯の怒鳴り声を聞き、神威は「ははっ。」と無邪気に笑ったのだった。