三.共に生きる覚悟
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
神威は町内のありとあらゆる屋根を伝い、緋真を探し続けた。
それでも緋真の姿が見当たらない。
次第にふつふつと苛立ちが込み上げ、足を止めた。
「どこにいる…緋真」
額からは汗が絶えることなく流れ落ち、何度も腕でそれを拭う。
普段ならこれ程の移動で息など上がるはずもないのに、なぜか今は呼吸が荒い。
余裕が無い、とでも言うのだろうか。
たった数時彼女の姿を見なかっただけで。ほんの少しの間だけ彼女の声を聞かなかっただけでーーーー?
ーー笑わせるな。勝手に死なれちゃ困るだけだ。
そう自問自答しては、再び足を動かした。
町の中をこれだけ探しても見当たらないとなると、人気のない場所へ向かったと考える方が先だ。
できるだけ高く跳び、広い範囲を見渡せるように走る。
するとそこに、小さな森の前で幾つもの灯りが灯されているのが目に付いた。
「……あそこか?」
僅かな可能性にかけ、ひとまず神威の足は全速力でそこへと向かっていった。
※※※
森の中へと繋がる道の前で、真選組一派は最後の作戦を練っていた。
先頭には副長の土方、その隣には一番隊隊長である沖田が部下たちと向かい合い、真剣な眼差しを向けている。
「いいかテメェら。この森の奥に例の攘夷志士の連中が息を潜めてやがる。いつ動くかわからねぇし、腐っても攘夷志士だ。油断してかかるんじゃねぇぞ。」
「土方さんこそ油断しねぇでくだせぇ。油断してやられちまったんじゃァ、俺ァ情けなくて近藤さんになんて報告したらいいか分からねぇ…」
「するわけねぇだろ。てめ、何で既に俺が打首とられたみてぇなシケたツラしてやがんだ、演技でもねぇ。」
「仕方ねぇじゃねぇですか。奴ら、今までずっと息を潜めて勢力拡大してきた攘夷志士ですぜぇ。」
「…どの攘夷志士だって?」
突然会話に入り込んだ声の主は、沖田と土方の前にひゅっと空から現れ、オレンジの編んだ髪をふわりとなびかせる。
身軽なその身のこなしと、何度かその姿を見た事のある二人は、突然現れたその人物に酷く驚かされた。
「てっ、テメェはッッ!」
「おいおい、なんでテメェがこんなとこにいやがんでぃ。悪ぃが今日はテメェの相手をしてる暇はねぇんだ。こっちは仕事中だからな。悪ぃが日を改めて……」
「お巡りさんとの喧嘩なんて今はどうでもいいよ。それより、攘夷志士がなんだって?」
沖田の声を遮り、ゆっくり近づいてくる神威の様子がちつもと違うことに沖田は気づいた。
「…なんでぃ、やけに切羽詰まってやがんな。何かあったのか悪党」
「どうでもいいって言ってるだろ。その攘夷志士がどんな奴なのか教えてよ。」
「おい何なんだよテメェさっきから。なんでそんな攘夷志士が気になんだよ。」
「いいから教えろよ。こっちは時間が無いんだ。」
「……」
沖田は彼の様子を見て、この男がこんなにも取り乱す事があるのかと、密かに興味を抱きつつ、ひとつの仮説に辿り着いた。
「まさか、あの人が攘夷志士と関わってんのかぃ?」
沖田がカマをかけてそう尋ねると、案の定神威の眉がピクリと開き、細い目をした。
これでは、起きたの言う言葉を肯定してるも同然だ。
「……おい総悟、あの人って誰だよ。」
「…そういう事。今行方不明なんだよね。勝手に一人で突っ走って、夜盗達を追いかけていっちゃったからさ。」
「夜盗たち?…話が見えねぇな。その攘夷志士と夜盗が繋がりでもあるって言うのか?」
「知らないよ。でも、ある鍛冶屋に昨夜夜盗が入ってね。その無数の刀を盗んでいった連中を追いかけていったんだ。刀ばかり盗んでいったってことは、少なくとも侍だと考えると、攘夷志士かもしれないだろ?」
「おい、だからさっきから誰の話を…」
「なるほど。そうなると、今俺たちが追っている連中とその夜盗が同一犯の可能性は高ぇかもしんねぇな…仕方ねぇ。土方さん、先を急ぎやしょう。」
「だから!!何の話か全っ然わかんねぇよッッ!!」
勝手に話を進めていく二人に、土方は腹を立てて思わず声を上げる。
「あんたらは別に行かなくていいよ。俺が一人で行くからさ。じゃあね。」
再びすました顔でそう言って、神威は一足先に森の中へと全速力で入っていく。
「あっ!まてコラッッ!」
沖田と土方が彼を止めようとするが、既にその姿はない。
「チッ、せっかくここまで来たのにウチの獲物とられてたまるかよッッ!おい急ぐぞっ!……そんで、あのあいつが血相変えて探してるのはどんな奴なんだ?」
「……移動しながら話しやす。」
沖田はそう呟いて、真選組は先を行く神威を追いかけるように森の中へと入っていった。
それでも緋真の姿が見当たらない。
次第にふつふつと苛立ちが込み上げ、足を止めた。
「どこにいる…緋真」
額からは汗が絶えることなく流れ落ち、何度も腕でそれを拭う。
普段ならこれ程の移動で息など上がるはずもないのに、なぜか今は呼吸が荒い。
余裕が無い、とでも言うのだろうか。
たった数時彼女の姿を見なかっただけで。ほんの少しの間だけ彼女の声を聞かなかっただけでーーーー?
ーー笑わせるな。勝手に死なれちゃ困るだけだ。
そう自問自答しては、再び足を動かした。
町の中をこれだけ探しても見当たらないとなると、人気のない場所へ向かったと考える方が先だ。
できるだけ高く跳び、広い範囲を見渡せるように走る。
するとそこに、小さな森の前で幾つもの灯りが灯されているのが目に付いた。
「……あそこか?」
僅かな可能性にかけ、ひとまず神威の足は全速力でそこへと向かっていった。
※※※
森の中へと繋がる道の前で、真選組一派は最後の作戦を練っていた。
先頭には副長の土方、その隣には一番隊隊長である沖田が部下たちと向かい合い、真剣な眼差しを向けている。
「いいかテメェら。この森の奥に例の攘夷志士の連中が息を潜めてやがる。いつ動くかわからねぇし、腐っても攘夷志士だ。油断してかかるんじゃねぇぞ。」
「土方さんこそ油断しねぇでくだせぇ。油断してやられちまったんじゃァ、俺ァ情けなくて近藤さんになんて報告したらいいか分からねぇ…」
「するわけねぇだろ。てめ、何で既に俺が打首とられたみてぇなシケたツラしてやがんだ、演技でもねぇ。」
「仕方ねぇじゃねぇですか。奴ら、今までずっと息を潜めて勢力拡大してきた攘夷志士ですぜぇ。」
「…どの攘夷志士だって?」
突然会話に入り込んだ声の主は、沖田と土方の前にひゅっと空から現れ、オレンジの編んだ髪をふわりとなびかせる。
身軽なその身のこなしと、何度かその姿を見た事のある二人は、突然現れたその人物に酷く驚かされた。
「てっ、テメェはッッ!」
「おいおい、なんでテメェがこんなとこにいやがんでぃ。悪ぃが今日はテメェの相手をしてる暇はねぇんだ。こっちは仕事中だからな。悪ぃが日を改めて……」
「お巡りさんとの喧嘩なんて今はどうでもいいよ。それより、攘夷志士がなんだって?」
沖田の声を遮り、ゆっくり近づいてくる神威の様子がちつもと違うことに沖田は気づいた。
「…なんでぃ、やけに切羽詰まってやがんな。何かあったのか悪党」
「どうでもいいって言ってるだろ。その攘夷志士がどんな奴なのか教えてよ。」
「おい何なんだよテメェさっきから。なんでそんな攘夷志士が気になんだよ。」
「いいから教えろよ。こっちは時間が無いんだ。」
「……」
沖田は彼の様子を見て、この男がこんなにも取り乱す事があるのかと、密かに興味を抱きつつ、ひとつの仮説に辿り着いた。
「まさか、あの人が攘夷志士と関わってんのかぃ?」
沖田がカマをかけてそう尋ねると、案の定神威の眉がピクリと開き、細い目をした。
これでは、起きたの言う言葉を肯定してるも同然だ。
「……おい総悟、あの人って誰だよ。」
「…そういう事。今行方不明なんだよね。勝手に一人で突っ走って、夜盗達を追いかけていっちゃったからさ。」
「夜盗たち?…話が見えねぇな。その攘夷志士と夜盗が繋がりでもあるって言うのか?」
「知らないよ。でも、ある鍛冶屋に昨夜夜盗が入ってね。その無数の刀を盗んでいった連中を追いかけていったんだ。刀ばかり盗んでいったってことは、少なくとも侍だと考えると、攘夷志士かもしれないだろ?」
「おい、だからさっきから誰の話を…」
「なるほど。そうなると、今俺たちが追っている連中とその夜盗が同一犯の可能性は高ぇかもしんねぇな…仕方ねぇ。土方さん、先を急ぎやしょう。」
「だから!!何の話か全っ然わかんねぇよッッ!!」
勝手に話を進めていく二人に、土方は腹を立てて思わず声を上げる。
「あんたらは別に行かなくていいよ。俺が一人で行くからさ。じゃあね。」
再びすました顔でそう言って、神威は一足先に森の中へと全速力で入っていく。
「あっ!まてコラッッ!」
沖田と土方が彼を止めようとするが、既にその姿はない。
「チッ、せっかくここまで来たのにウチの獲物とられてたまるかよッッ!おい急ぐぞっ!……そんで、あのあいつが血相変えて探してるのはどんな奴なんだ?」
「……移動しながら話しやす。」
沖田はそう呟いて、真選組は先を行く神威を追いかけるように森の中へと入っていった。