三.共に生きる覚悟
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それから数刻が経ち、気づけば夜が訪れていた。
交代で鉄子の様子を見ては、額に乗せたタオルを取り換え汗を拭く。
神威と阿伏兎は、退屈そうに大きな欠伸をして窓から見える月を眺めていた。
「…おいバカ兄貴。んなとこで座って退屈そうにしてんなら、目障りだからさっさと帰れヨ。」
いい加減何も手を貸さない神威に腹を立て、神楽がとうとう口を挟む。
神威は首を傾げて不思議そうな表情のまま、神楽に応えた。
「俺は別にその女がどうなろうとしったこっちゃない。でも緋真が助けようと必死に動いてるんなら、アイツが気のすむまで見守るだけだ。手を貸すつもりもないし、アイツが帰るって言うまで俺はここを動かないよ。」
銀時はそれを聞いていては、ハッとして辺りを見渡した。
そして彼女の姿がどこにもないのを確認しては、恐る恐る彼らに尋ねた。
「おい…その当の本人はどこ行ったよ。」
「あァ?さっき替えの水汲んでくるって言って出てったが…。そういやァ随分経つな。」
阿伏兎が呑気に答えると、銀時と神威は裏庭にある井戸の方へと全速力で駆け付けた。
壊れる程の勢いで同時に襖をあけて裏庭を確認するが、やはり彼女の姿はどこにもない。
「…アイツ、まさかーーッッ!」
銀時の額から頬へと、冷や汗が伝う。
神威も隣で青ざめた表情を浮かべている彼と同じ結論に至っては、家を飛び出した。
「おい、神威ッ!」
「アイツは俺が見つけてくる。あんたはアイツの刀を打つあの女の看病でもしてなよ。」
「…チッ」
早々と姿を消していった神威を見ては、小さく舌打ちをして、ひとまず部屋へと戻った。
緋真がいないという状況に不安そうな新八と神楽を見ては、銀色の髪をかきむしり、どかりと床に腰を下ろした。
「…んな顔しなくても、大丈夫だよ。おめーの兄貴が追いかけてった。それにアイツは強ぇから心配しなくてもひょっこり帰ってくらァ。」
そうは言っても、二人の顔から不安な様子は抜けなかった。
顔を下げた新八は、緋真の事を思いつつも静かに口を開いた。
「…緋真さん。もしかして鉄子さんをこんな目に合わせた連中に目星でもあったんでしょうか。それにしたって、いくらなんでも一人で行くなんて危険すぎますよ。ただでさえ、あの容姿で動けば一般人にも目がつきます。何もなければいいんですけど…。」
「団長が追いかけてったんだろ?心配するこたァねぇよ。」
再び呑気に話す阿伏兎に、新八は苛立ちを覚えて立ち上がった。
「阿伏兎さん!あなたも心配じゃないんですか?!緋真さんだって、あんたたちの立派な仲間でしょうが!」
「…心配なんてするかよ。」
くだらねぇ、と付け足してはため息を零す。
銀時は天井を見上げては、緋真の刀を振るう姿を思い出していた。
「緋真姉ちゃんが心配アル…私やっぱり後を追うネ!」
「おーいやめときなぁ妹。お前さんは黙ってテメェの兄貴を信じて待っとけや。」
「…お前こそ何で追いかけないアルか!何でそんな平然としていられるアルか!」
神楽が阿伏兎の胸倉を掴み、声をあげた。
それでも阿伏兎は何食わぬ顔で、目の前にいる怒りの表情が神威によく似た彼女を、じっと見つめた。
「…今まで何年も自分のあの目と髪の色を隠してきた姉ちゃんが、何で今堂々とありのままの姿で外を歩いているか知ってっか?」
「…ッッ」
ふいに聞かれた阿伏兎の質問に、神楽は目を見開いて言葉を詰まらせた。
銀時と新八も、そんな二人を見守りながらも阿伏兎の話に耳を傾ける。
「お前のバカ兄貴が、緋真を蔑む連中から…金に目がくらんで捉えようとする邪な奴らから、守り抜いて見せるからそのままでいろって約束したんだとよ。だから町に出るときも、もしその容姿を隠しちまったら団長の強い誓いを信用してねぇ事になる。だから緋真はもうあの目も髪も隠さねぇ。万が一隠しでもしたら、団長の意志を裏切る事になるからな。…俺みてぇな半端もんが二人の間に入るわけにゃいかねぇのさ。」
「…あいつ。」
銀時は神威が彼女に誓った言葉を阿伏兎から聞き、大いに驚いた。
緋真が奴の傍にいる理由。奴が緋真の傍にいる理由。
互いが互いを求め、たった少ない時間でそれだけ信頼している強い絆。
そして自分には思いもつかなかった緋真を安心させるその言葉も、銀時にとっては驚く以外の何もできなかった。
交代で鉄子の様子を見ては、額に乗せたタオルを取り換え汗を拭く。
神威と阿伏兎は、退屈そうに大きな欠伸をして窓から見える月を眺めていた。
「…おいバカ兄貴。んなとこで座って退屈そうにしてんなら、目障りだからさっさと帰れヨ。」
いい加減何も手を貸さない神威に腹を立て、神楽がとうとう口を挟む。
神威は首を傾げて不思議そうな表情のまま、神楽に応えた。
「俺は別にその女がどうなろうとしったこっちゃない。でも緋真が助けようと必死に動いてるんなら、アイツが気のすむまで見守るだけだ。手を貸すつもりもないし、アイツが帰るって言うまで俺はここを動かないよ。」
銀時はそれを聞いていては、ハッとして辺りを見渡した。
そして彼女の姿がどこにもないのを確認しては、恐る恐る彼らに尋ねた。
「おい…その当の本人はどこ行ったよ。」
「あァ?さっき替えの水汲んでくるって言って出てったが…。そういやァ随分経つな。」
阿伏兎が呑気に答えると、銀時と神威は裏庭にある井戸の方へと全速力で駆け付けた。
壊れる程の勢いで同時に襖をあけて裏庭を確認するが、やはり彼女の姿はどこにもない。
「…アイツ、まさかーーッッ!」
銀時の額から頬へと、冷や汗が伝う。
神威も隣で青ざめた表情を浮かべている彼と同じ結論に至っては、家を飛び出した。
「おい、神威ッ!」
「アイツは俺が見つけてくる。あんたはアイツの刀を打つあの女の看病でもしてなよ。」
「…チッ」
早々と姿を消していった神威を見ては、小さく舌打ちをして、ひとまず部屋へと戻った。
緋真がいないという状況に不安そうな新八と神楽を見ては、銀色の髪をかきむしり、どかりと床に腰を下ろした。
「…んな顔しなくても、大丈夫だよ。おめーの兄貴が追いかけてった。それにアイツは強ぇから心配しなくてもひょっこり帰ってくらァ。」
そうは言っても、二人の顔から不安な様子は抜けなかった。
顔を下げた新八は、緋真の事を思いつつも静かに口を開いた。
「…緋真さん。もしかして鉄子さんをこんな目に合わせた連中に目星でもあったんでしょうか。それにしたって、いくらなんでも一人で行くなんて危険すぎますよ。ただでさえ、あの容姿で動けば一般人にも目がつきます。何もなければいいんですけど…。」
「団長が追いかけてったんだろ?心配するこたァねぇよ。」
再び呑気に話す阿伏兎に、新八は苛立ちを覚えて立ち上がった。
「阿伏兎さん!あなたも心配じゃないんですか?!緋真さんだって、あんたたちの立派な仲間でしょうが!」
「…心配なんてするかよ。」
くだらねぇ、と付け足してはため息を零す。
銀時は天井を見上げては、緋真の刀を振るう姿を思い出していた。
「緋真姉ちゃんが心配アル…私やっぱり後を追うネ!」
「おーいやめときなぁ妹。お前さんは黙ってテメェの兄貴を信じて待っとけや。」
「…お前こそ何で追いかけないアルか!何でそんな平然としていられるアルか!」
神楽が阿伏兎の胸倉を掴み、声をあげた。
それでも阿伏兎は何食わぬ顔で、目の前にいる怒りの表情が神威によく似た彼女を、じっと見つめた。
「…今まで何年も自分のあの目と髪の色を隠してきた姉ちゃんが、何で今堂々とありのままの姿で外を歩いているか知ってっか?」
「…ッッ」
ふいに聞かれた阿伏兎の質問に、神楽は目を見開いて言葉を詰まらせた。
銀時と新八も、そんな二人を見守りながらも阿伏兎の話に耳を傾ける。
「お前のバカ兄貴が、緋真を蔑む連中から…金に目がくらんで捉えようとする邪な奴らから、守り抜いて見せるからそのままでいろって約束したんだとよ。だから町に出るときも、もしその容姿を隠しちまったら団長の強い誓いを信用してねぇ事になる。だから緋真はもうあの目も髪も隠さねぇ。万が一隠しでもしたら、団長の意志を裏切る事になるからな。…俺みてぇな半端もんが二人の間に入るわけにゃいかねぇのさ。」
「…あいつ。」
銀時は神威が彼女に誓った言葉を阿伏兎から聞き、大いに驚いた。
緋真が奴の傍にいる理由。奴が緋真の傍にいる理由。
互いが互いを求め、たった少ない時間でそれだけ信頼している強い絆。
そして自分には思いもつかなかった緋真を安心させるその言葉も、銀時にとっては驚く以外の何もできなかった。