三.共に生きる覚悟
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万事屋一行と、緋真達はかぶき町にある鍛冶屋へと向かった。
緋真を取り合うように神威と神楽が彼女の両サイドを歩き、いがみ合う二人に挟まれて苦笑いを浮かべている彼女を心配そうに見つめる新八。
そして少し後ろを歩くのは、銀時と阿伏兎だった。
前方にいる、まるで子供がはしゃいで歩いているようにも見える光景を見ながら、阿伏兎は銀時に口を開いた。
「あぁしてると、ただの普通の女なんだけどなぁ…。しかしまさかあの姉ちゃんが宇宙一バカな兄貴のあんたと古い付き合いたァ驚きだ。」
「あんた、アイツらから何も聞いてなかったのか。俺ァ昔のアイツの兄弟子なんだ。っつっても、実力で言やァ下手したら俺の方が弟分かもしれねぇけどな。」
フッと息を吐いて笑う銀時の横顔を見て、阿伏兎は再び彼女へと視線を戻す。
「ふぅん…俺ァ何も聞いちゃいねぇさ。ただ団長が気に入って、ウチの団長補佐として迎えるって事くれぇしかな。まぁ普段の生活を見てる感じからすっと、聞かなくてもなんとなくだが幸福そうな人生は送ってこなかったってぇくらいは分かるが。」
「俺らと出会った頃なんて、酷かったもんさ。アイツの視界に映る人間はみんな敵だって認識してやがってよぉ。まだ俺よりガキだってんのに、生き延びるためにたくさんの屍を乗り越えてきたんだ。俺たちと出会って、少しマシにはなっただろうが…まぁ自分を狙う奴がいるってんのに体が慣れちまってんだろうな。」
「…」
阿伏兎はその時、彼女が生まれつきの容姿で周囲の人間達に狙われ続けている様子を想像した。
きっと本人が抱いた恐怖心というのは、自分が今思っているものとは比にならないだろう。
それでもなお、彼女は今ああして人に囲まれて笑って過ごしている。本当に心の強い持ち主だ、と感心すら覚えた。
「あのバカ兄貴がどういう経緯でアイツを拾ったのかは知らねぇが…。戦いが終わった後刀を捨て、人との関わりを恐れ、戦争でたくさんの命を落とした事に心を痛めたアイツが選んだ道は、人の目を離れた場所で生活する事だった。俺は結局アイツの傍にいても傷付いた心を救ってやる事ができなかった。アイツを変えたのは、紛れもなくあんたんとこのあのバカ団長だよ。」
「俺もガキの頃から団長を見てきてはいるが…。あんなに一人に…しかも女に執着してるとこなんざ見た事がねぇ。よっぽど何か、姉ちゃんに惹かれるもんがあったんだろうな。」
「……しっかり大事にしやがれ。アイツに何かあったら、俺たち兄弟子が黙っちゃいねぇからな。」
「ほぉ、こりゃ大層なこった。でもなあ、俺は生憎あの宇宙一イカれた団長様で手がいっぱいだァ。悪ぃがあんたの可愛い妹弟子は、ウチの団長に世話させるこったな。っつっても、どっちかっつーと団長を世話してる方だとは思うけどよ。」
そう阿伏兎が呟いては、眩しい程綺麗な彼女の微笑む姿を見て、二人は穏やかな笑みを浮かべたのだった。
緋真を取り合うように神威と神楽が彼女の両サイドを歩き、いがみ合う二人に挟まれて苦笑いを浮かべている彼女を心配そうに見つめる新八。
そして少し後ろを歩くのは、銀時と阿伏兎だった。
前方にいる、まるで子供がはしゃいで歩いているようにも見える光景を見ながら、阿伏兎は銀時に口を開いた。
「あぁしてると、ただの普通の女なんだけどなぁ…。しかしまさかあの姉ちゃんが宇宙一バカな兄貴のあんたと古い付き合いたァ驚きだ。」
「あんた、アイツらから何も聞いてなかったのか。俺ァ昔のアイツの兄弟子なんだ。っつっても、実力で言やァ下手したら俺の方が弟分かもしれねぇけどな。」
フッと息を吐いて笑う銀時の横顔を見て、阿伏兎は再び彼女へと視線を戻す。
「ふぅん…俺ァ何も聞いちゃいねぇさ。ただ団長が気に入って、ウチの団長補佐として迎えるって事くれぇしかな。まぁ普段の生活を見てる感じからすっと、聞かなくてもなんとなくだが幸福そうな人生は送ってこなかったってぇくらいは分かるが。」
「俺らと出会った頃なんて、酷かったもんさ。アイツの視界に映る人間はみんな敵だって認識してやがってよぉ。まだ俺よりガキだってんのに、生き延びるためにたくさんの屍を乗り越えてきたんだ。俺たちと出会って、少しマシにはなっただろうが…まぁ自分を狙う奴がいるってんのに体が慣れちまってんだろうな。」
「…」
阿伏兎はその時、彼女が生まれつきの容姿で周囲の人間達に狙われ続けている様子を想像した。
きっと本人が抱いた恐怖心というのは、自分が今思っているものとは比にならないだろう。
それでもなお、彼女は今ああして人に囲まれて笑って過ごしている。本当に心の強い持ち主だ、と感心すら覚えた。
「あのバカ兄貴がどういう経緯でアイツを拾ったのかは知らねぇが…。戦いが終わった後刀を捨て、人との関わりを恐れ、戦争でたくさんの命を落とした事に心を痛めたアイツが選んだ道は、人の目を離れた場所で生活する事だった。俺は結局アイツの傍にいても傷付いた心を救ってやる事ができなかった。アイツを変えたのは、紛れもなくあんたんとこのあのバカ団長だよ。」
「俺もガキの頃から団長を見てきてはいるが…。あんなに一人に…しかも女に執着してるとこなんざ見た事がねぇ。よっぽど何か、姉ちゃんに惹かれるもんがあったんだろうな。」
「……しっかり大事にしやがれ。アイツに何かあったら、俺たち兄弟子が黙っちゃいねぇからな。」
「ほぉ、こりゃ大層なこった。でもなあ、俺は生憎あの宇宙一イカれた団長様で手がいっぱいだァ。悪ぃがあんたの可愛い妹弟子は、ウチの団長に世話させるこったな。っつっても、どっちかっつーと団長を世話してる方だとは思うけどよ。」
そう阿伏兎が呟いては、眩しい程綺麗な彼女の微笑む姿を見て、二人は穏やかな笑みを浮かべたのだった。