三.共に生きる覚悟
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朝起きると、隣に静かに寝息を立てて眠っている緋真の姿がある。
ここに来た初めはひとつのベッドで寝ることを酷く嫌がっていたが、自分が何もしないと、女としてみていないとでも思ったのか数日経った今は、無防備な顔をして深い眠りについている。
神威はベッドの横にかけてある服をとり、さっと袖を通して足音を立てずに部屋を出た。
「……バカだなァ。料理は手をかけてこそ美味しくなるもんなんだ。我慢して我慢して、ようやく食べ頃になった時に食すのが一番良いってことを、どうやら緋真はまだ気づいていないらしい。」
神威はそんな含みのある独り言を笑みを浮かべて吐きながら、団員たちが集う広間へと足を進めた。
「もう皆薄々気づいてると思うけど、俺の部屋に人間の女が出入りしてるのは知ってるよね。」
夜兎族率いる神威が口にした第一声は、それだった。
団員たちは騒然とし、自分たちよりも目線の高い椅子に座る神威をじとりと見つめた。
「そりゃ知ってるさ。あれだけ目立つ髪の色してんだからな。でも、あれだろ?団長の遅がけの思春期ってやつだろ?」
「ざんねーん。そんな軽いもんじゃないよ。俺はあの女をうちの仲間として入れようと口説いて連れてきたんだ。」
「なっ……!」
団長の言葉に、彼らは動揺し各々の不満をこぼし始めた。
「ま、待ってくれよ団長!ありゃどう見ても人間の女だろ?!夜兎族の俺たちの船に乗ったところで足手まといなのは目に見えてるし…それに団長の一時の恋だろ?そんなもんさっさと寝ちまって捨てた方が得策だと思うがな。」
「確かに人間の女にしちゃ勿体ねぇくらい美人だったからなァ。団長が飽きたら俺にも回してくれよ。俺も人間の女と寝てみてぇ!」
「ははっ!おめェ団長の後はきちぃんじゃねーの?!なんせ相手は団長だ。きっと、アブノーマルのSMプレイに慣れちまった身体になってんだろーぜ。」
「やべぇ、それはそれで興奮すんじゃねーか。俺の腕の中であの真っ赤な髪を乱して、あの白い肌を引き裂いてみてぇなァ。」
夜兎族といえど、男であることには変わりない。
そのうえ団員は全員男のみ。
こうして女が一人船に足を踏み入れるだけで、このザマだ。
阿伏兎は予想通りの彼らのリアクションを前にして、大きく肩で息をした。
そして隣に座っている神威の表情を見ては、背筋を凍らせる。
「お、おいお前ら、もうその辺にしと……」
阿伏兎が急いで団員たちの浮ついた発言を止めようと口を開けば、それよりも先に神威の拳が動きを見せていた。
気づけば彼は椅子から姿を消しており、団員たちの足元の床を強く殴りつけていた。
船の床はその箇所だけ砕け、亀裂が入る。
夜兎族が使用するだけあって、強くコーティングしてある床も、彼の力となってはなんてことはない。
そのあまりにも強い力を見せつけられ、彼らの口は止まった。
「…緋真を殺すとしたら、それは俺だよ。お前らじゃない。あとアイツを啼かせていいのも、俺だけだ。」
顔はいつものように笑顔を作ってはいるものの、酷く殺気を纏ったオーラに思わず団員たちの足が一歩下がる。
神威はゆっくりとその場に立ち上がり、そのまま話を続けた。
「緋真は強いよ。俺はこの目でしっかり見た。団長の俺が言うんだから間違いない。それでも信用出来ない…もしくはアイツがウチの団員に入るのに納得しないってんなら……俺がいつでも相手になるよ。」
爽やかな笑顔でそう言った神威に、阿伏兎は頭を抱える。
ちなみにくどいようだが、こうなることも阿伏兎は予想はしていた。
「だ、団長……まさか本気であの女を……?」
「ま、まさか。あの団長だぜ?女にも酒にも興味のない、ただ強い奴と闘いを求めるだけに生きてきた団長だぜ?」
「緋真は強いって言ったろ?そこらの女とは違うんだ。俺が強い者を求めるのは、今に始まったことじゃないだろ。」
神威の目が、微かに開く。
その瞳からは身震いするほどの恐ろしい殺気と、血に飢えた獣を連想させる威力を秘めていた。
「まぁ仮にあんた達が反対しようと、俺はもう決めたことを曲げるつもりは無いけどね。緋真は俺の補佐としてこの船に置く。もしそれがどうしても納得出来ないって言うんなら……」
迫力のある神威の声に、誰もがゴクリと息を飲む。
「俺が相手をしてあげるよ。」
そう言って彼は踵を返し、広間を去っていった。
ここに来た初めはひとつのベッドで寝ることを酷く嫌がっていたが、自分が何もしないと、女としてみていないとでも思ったのか数日経った今は、無防備な顔をして深い眠りについている。
神威はベッドの横にかけてある服をとり、さっと袖を通して足音を立てずに部屋を出た。
「……バカだなァ。料理は手をかけてこそ美味しくなるもんなんだ。我慢して我慢して、ようやく食べ頃になった時に食すのが一番良いってことを、どうやら緋真はまだ気づいていないらしい。」
神威はそんな含みのある独り言を笑みを浮かべて吐きながら、団員たちが集う広間へと足を進めた。
「もう皆薄々気づいてると思うけど、俺の部屋に人間の女が出入りしてるのは知ってるよね。」
夜兎族率いる神威が口にした第一声は、それだった。
団員たちは騒然とし、自分たちよりも目線の高い椅子に座る神威をじとりと見つめた。
「そりゃ知ってるさ。あれだけ目立つ髪の色してんだからな。でも、あれだろ?団長の遅がけの思春期ってやつだろ?」
「ざんねーん。そんな軽いもんじゃないよ。俺はあの女をうちの仲間として入れようと口説いて連れてきたんだ。」
「なっ……!」
団長の言葉に、彼らは動揺し各々の不満をこぼし始めた。
「ま、待ってくれよ団長!ありゃどう見ても人間の女だろ?!夜兎族の俺たちの船に乗ったところで足手まといなのは目に見えてるし…それに団長の一時の恋だろ?そんなもんさっさと寝ちまって捨てた方が得策だと思うがな。」
「確かに人間の女にしちゃ勿体ねぇくらい美人だったからなァ。団長が飽きたら俺にも回してくれよ。俺も人間の女と寝てみてぇ!」
「ははっ!おめェ団長の後はきちぃんじゃねーの?!なんせ相手は団長だ。きっと、アブノーマルのSMプレイに慣れちまった身体になってんだろーぜ。」
「やべぇ、それはそれで興奮すんじゃねーか。俺の腕の中であの真っ赤な髪を乱して、あの白い肌を引き裂いてみてぇなァ。」
夜兎族といえど、男であることには変わりない。
そのうえ団員は全員男のみ。
こうして女が一人船に足を踏み入れるだけで、このザマだ。
阿伏兎は予想通りの彼らのリアクションを前にして、大きく肩で息をした。
そして隣に座っている神威の表情を見ては、背筋を凍らせる。
「お、おいお前ら、もうその辺にしと……」
阿伏兎が急いで団員たちの浮ついた発言を止めようと口を開けば、それよりも先に神威の拳が動きを見せていた。
気づけば彼は椅子から姿を消しており、団員たちの足元の床を強く殴りつけていた。
船の床はその箇所だけ砕け、亀裂が入る。
夜兎族が使用するだけあって、強くコーティングしてある床も、彼の力となってはなんてことはない。
そのあまりにも強い力を見せつけられ、彼らの口は止まった。
「…緋真を殺すとしたら、それは俺だよ。お前らじゃない。あとアイツを啼かせていいのも、俺だけだ。」
顔はいつものように笑顔を作ってはいるものの、酷く殺気を纏ったオーラに思わず団員たちの足が一歩下がる。
神威はゆっくりとその場に立ち上がり、そのまま話を続けた。
「緋真は強いよ。俺はこの目でしっかり見た。団長の俺が言うんだから間違いない。それでも信用出来ない…もしくはアイツがウチの団員に入るのに納得しないってんなら……俺がいつでも相手になるよ。」
爽やかな笑顔でそう言った神威に、阿伏兎は頭を抱える。
ちなみにくどいようだが、こうなることも阿伏兎は予想はしていた。
「だ、団長……まさか本気であの女を……?」
「ま、まさか。あの団長だぜ?女にも酒にも興味のない、ただ強い奴と闘いを求めるだけに生きてきた団長だぜ?」
「緋真は強いって言ったろ?そこらの女とは違うんだ。俺が強い者を求めるのは、今に始まったことじゃないだろ。」
神威の目が、微かに開く。
その瞳からは身震いするほどの恐ろしい殺気と、血に飢えた獣を連想させる威力を秘めていた。
「まぁ仮にあんた達が反対しようと、俺はもう決めたことを曲げるつもりは無いけどね。緋真は俺の補佐としてこの船に置く。もしそれがどうしても納得出来ないって言うんなら……」
迫力のある神威の声に、誰もがゴクリと息を飲む。
「俺が相手をしてあげるよ。」
そう言って彼は踵を返し、広間を去っていった。