二.渇きを満たすもの
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緋真は銀時に聞かれた質問に、ハッと焦りを感じた。
自分がこの目だけでなく、もうひとつ特徴のある容姿を持っている事に彼らが気づいてしまった。
そんな彼女の青ざめた顔を見て、銀時は緋真の頭を優しく撫でた。
「大丈夫っつったろ。ここにいる連中は、お前のことを蔑んだ目で見るような奴らじゃねぇ。だいたい、そうやっていつまでも自分の姿を偽ってちゃ、オメェも息が詰まるだろーよ。せめて少しくらいは、ありのままの自分でいられる場所がねぇとよ。」
「……銀兄。」
「へえ、まだあったんだ。緋真が殻に閉じこもるきっかけとなった要因が。」
神威が発した声は、酷く苛立っている様子が悟れた。
表情は笑っているが、彼の心の中は決して穏やかではない。
緋真は神威の方にくるりと身体を向けると、気づけば既に神威に抱えられ、自由を失っていた。
「なっ……神威ッッ!!」
「悪いけど、俺はいつまでも仲良しごっこしてんのは嫌いなんだ。用事もあるし、これで失礼させてもらうよ。またな、泣き虫。」
「ちょっ、待つアル神威ッッ!!」
神威はそう言って、唯一ある窓から彼女を抱えたまま飛び降り、またたく間の速さで姿をくらませた。
銀時はしまった、と思いつつも一旦冷静になろうとソファに腰を下ろし、深くため息をこぼした。
「……なんか、神威って以前と少し変わった感じがしませんでした?」
「確かに妙にあの人に執着してやしたねぇ。っていうかと俺としちゃ、あの一匹狼が女を連れて歩いてた時点で随分驚かされたが……」
「まぁアイツが元気で無事に生きてりゃ、それでいいさ。俺がここで生きてるって事もわかったし、何かありゃ来るだろ。」
「来ますかねぇ。あの腕よっぽど痛かったでしょうに、心配かけまいと健気に振舞ってたような女が、自分のことで助けてくれなんて縋ってくるような気を起こすとは、とても思えやせん。」
「……」
銀時は沖田の言葉に何も返せなかった。
「……神威。もしかして……」
神楽の呟いた言葉に、彼らの視線が集まる。
あまり会うことも無く、殺し合いにまで発展した家族喧嘩をするような二人でも、血の繋がった兄弟だ。
神威が何を考えているか理解出来る可能性があるのは、ここの中では唯一神楽のみ。
彼らは神楽の次の言葉を待つあまり、ごくりと息を飲んだ。
「緋真姉ちゃんを私の本当のお姉ちゃんにするつもりアルか?!私にお姉ちゃんができるアルか?!」
「ふっ、ふっ、ふざけんじゃねぇぇぇッッ!!」
神楽の言葉に、銀時が嘆き叫んだのは言うまでもない。
自分がこの目だけでなく、もうひとつ特徴のある容姿を持っている事に彼らが気づいてしまった。
そんな彼女の青ざめた顔を見て、銀時は緋真の頭を優しく撫でた。
「大丈夫っつったろ。ここにいる連中は、お前のことを蔑んだ目で見るような奴らじゃねぇ。だいたい、そうやっていつまでも自分の姿を偽ってちゃ、オメェも息が詰まるだろーよ。せめて少しくらいは、ありのままの自分でいられる場所がねぇとよ。」
「……銀兄。」
「へえ、まだあったんだ。緋真が殻に閉じこもるきっかけとなった要因が。」
神威が発した声は、酷く苛立っている様子が悟れた。
表情は笑っているが、彼の心の中は決して穏やかではない。
緋真は神威の方にくるりと身体を向けると、気づけば既に神威に抱えられ、自由を失っていた。
「なっ……神威ッッ!!」
「悪いけど、俺はいつまでも仲良しごっこしてんのは嫌いなんだ。用事もあるし、これで失礼させてもらうよ。またな、泣き虫。」
「ちょっ、待つアル神威ッッ!!」
神威はそう言って、唯一ある窓から彼女を抱えたまま飛び降り、またたく間の速さで姿をくらませた。
銀時はしまった、と思いつつも一旦冷静になろうとソファに腰を下ろし、深くため息をこぼした。
「……なんか、神威って以前と少し変わった感じがしませんでした?」
「確かに妙にあの人に執着してやしたねぇ。っていうかと俺としちゃ、あの一匹狼が女を連れて歩いてた時点で随分驚かされたが……」
「まぁアイツが元気で無事に生きてりゃ、それでいいさ。俺がここで生きてるって事もわかったし、何かありゃ来るだろ。」
「来ますかねぇ。あの腕よっぽど痛かったでしょうに、心配かけまいと健気に振舞ってたような女が、自分のことで助けてくれなんて縋ってくるような気を起こすとは、とても思えやせん。」
「……」
銀時は沖田の言葉に何も返せなかった。
「……神威。もしかして……」
神楽の呟いた言葉に、彼らの視線が集まる。
あまり会うことも無く、殺し合いにまで発展した家族喧嘩をするような二人でも、血の繋がった兄弟だ。
神威が何を考えているか理解出来る可能性があるのは、ここの中では唯一神楽のみ。
彼らは神楽の次の言葉を待つあまり、ごくりと息を飲んだ。
「緋真姉ちゃんを私の本当のお姉ちゃんにするつもりアルか?!私にお姉ちゃんができるアルか?!」
「ふっ、ふっ、ふざけんじゃねぇぇぇッッ!!」
神楽の言葉に、銀時が嘆き叫んだのは言うまでもない。