一.法度破り
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「と、いうわけで、新しく真選組の参謀を務めることになりました、周防那智です。よろしくお願いします。」
露骨に女主張する新しい制服で、満面の笑みと凛とした声で朝会の場で挨拶を述べる。
そしてそれを見ていた誰もが、口をあんぐりと開けて一斉に叫んだのだ。
「えぇぇぇぇッッ!!?」
「ま、待ってください!周防副隊長って、やっぱり女性だったんですか?!」
「今まで男装してました。もうその必要はないんで、このままの姿で、今まで通りここで生活したいと思います。」
爽やかな笑顔だけに、誰もが質問しづらくなっていく。
どことなく威圧感のあるその姿を、感じ取れたからだ。
そして、その報告を未だ包帯を全身に巻いた男、沖田が目を引き攣らせながら那智を睨みつけた。
「お、おい那智、どういうことでぃ。一番隊から抜けて、なんでよりにもよって俺より上の役職に……ッ!」
「それァ俺からの提案よぉ、総悟。」
「と、とっつぁん!!」
真選組の前に現れたのは、彼らの頭でもある警察庁長官、松平片栗虎。
相変わらずパンチのきいた紫のサングラスをかけ、オールバックの渋い姿を見て、那智は密かに苦笑いを浮かべる。
「那智が先日、うちへ奇襲しにきたみてぇな目をして乗り込んできてよぉ。」
「ちょ、ちょっと松平長官!それは言わないって約束で……!」
「まぁ落ち着け那智。てめぇも聞いとけ。」
「……」
「実は女であった自分を解雇するか、女であることを認めて在籍させるか一つ選べって言うんでぃ。もーびっくりしちゃったよ、トシみてぇに目が血走ってるもんでぇ。」
「那智…」
「那智の腕っぷしは誰もが認めてる。だが女としていざ目の前に立たれると、ほかの連中から批判を買うかもしれねぇ。だから俺はあえて、誰も何も口出しできねぇ立ち位置として、参謀の座を那智に託した。」
「……」
「自分を捨ててでもてめぇらを守りてぇってツラしてよぉ、そんな風に上に掛け合ってくる度胸のある奴ァ、長年生きてきた俺も初めてだァ。こいつはテメェらよりも、強ぇ意志を持ってんのさ。」
「とっつぁん…」
「俺が言いたいことはもうわかるよなぁ?那智が女だからって目の色変えるヤツがいたら、そいつが切腹だ。こいつァちゃんと、真選組の上に立つ器の、実力の持ち主でぃ。いいか、分かったかテメェら。」
その言葉に、歓声があがる。
那智は静かに溜息をこぼし、隠しといて欲しい事をさらけ出されたが何も文句を言う気にもならなかった。
「んでもってぇ、那智ちゃん。制服なんだけど、ここをもーちょっと可愛らしくしてぇ…」
「って、とっつぁんが一番女扱いしてんだけど?!」
「ちょ、長官!やめて下さい!何してんですか!」
「おい、とっつぁん!それはもうセクハラだぁぁ!みんなの前でやめてくれぇぇ」
那智に飛びかかる松平を、近藤と土方が止めに入る。
彼女は何とか苦笑いを浮かべながらもそれから逃れ、沖田のそばへと寄った。
「……やってくれるじゃねぇか、参謀さんよぉ。」
「あら、誰も一番隊に残って総悟を守るだなんて言ってないよ?ふふ、残念でした。」
「てっ、テメッ…!」
「な、なんか那智さんが女に見える!女に見えるよォォ」
「女だよ、元々。もう変に男っぽくする必要ないしね。でも、下手に気ぃ起こすんだったら、全員斬り殺すから、覚悟してね。」
「……」
隊員たちにサラリと冷ややかな笑みでそう言う那智に、沖田を初め土方たちも引きつった顔を浮かべる。
ほかの連中もサーっと血の気が引いていくような感覚を覚え、高まった男の欲も一瞬にして灰となった。
那智の実力を認めていない奴はここに誰一人いない。
彼女の強さこそ、真選組には欠かせないものだとしっている。
だからこそ、誰もが参謀となる人に相応しいと、納得していた。
「んじゃ、今日も張り切っていきましょうか、沖田隊長殿。」
「……ったく調子が良すぎるんでぃ。」
見廻りの支度をしに、自室へと向かう起きたの背中を見て、那智は満足気に微笑んでは彼の名を呼んだ。
「…総悟。」
くるりと振り向く沖田は、彼女のその笑顔に見惚れ、思わず目を見開く。
そんな沖田の心境を知る由もない那智は、無邪気な顔でこういった。
「この前の約束、忘れないでよ。ちゃーんと守ってね。」
「……わぁってらァ。」
そう返すと、彼女は再びクスリと小さく笑っては、見廻りの準備をしに、自室へと向かっていったのであった。
露骨に女主張する新しい制服で、満面の笑みと凛とした声で朝会の場で挨拶を述べる。
そしてそれを見ていた誰もが、口をあんぐりと開けて一斉に叫んだのだ。
「えぇぇぇぇッッ!!?」
「ま、待ってください!周防副隊長って、やっぱり女性だったんですか?!」
「今まで男装してました。もうその必要はないんで、このままの姿で、今まで通りここで生活したいと思います。」
爽やかな笑顔だけに、誰もが質問しづらくなっていく。
どことなく威圧感のあるその姿を、感じ取れたからだ。
そして、その報告を未だ包帯を全身に巻いた男、沖田が目を引き攣らせながら那智を睨みつけた。
「お、おい那智、どういうことでぃ。一番隊から抜けて、なんでよりにもよって俺より上の役職に……ッ!」
「それァ俺からの提案よぉ、総悟。」
「と、とっつぁん!!」
真選組の前に現れたのは、彼らの頭でもある警察庁長官、松平片栗虎。
相変わらずパンチのきいた紫のサングラスをかけ、オールバックの渋い姿を見て、那智は密かに苦笑いを浮かべる。
「那智が先日、うちへ奇襲しにきたみてぇな目をして乗り込んできてよぉ。」
「ちょ、ちょっと松平長官!それは言わないって約束で……!」
「まぁ落ち着け那智。てめぇも聞いとけ。」
「……」
「実は女であった自分を解雇するか、女であることを認めて在籍させるか一つ選べって言うんでぃ。もーびっくりしちゃったよ、トシみてぇに目が血走ってるもんでぇ。」
「那智…」
「那智の腕っぷしは誰もが認めてる。だが女としていざ目の前に立たれると、ほかの連中から批判を買うかもしれねぇ。だから俺はあえて、誰も何も口出しできねぇ立ち位置として、参謀の座を那智に託した。」
「……」
「自分を捨ててでもてめぇらを守りてぇってツラしてよぉ、そんな風に上に掛け合ってくる度胸のある奴ァ、長年生きてきた俺も初めてだァ。こいつはテメェらよりも、強ぇ意志を持ってんのさ。」
「とっつぁん…」
「俺が言いたいことはもうわかるよなぁ?那智が女だからって目の色変えるヤツがいたら、そいつが切腹だ。こいつァちゃんと、真選組の上に立つ器の、実力の持ち主でぃ。いいか、分かったかテメェら。」
その言葉に、歓声があがる。
那智は静かに溜息をこぼし、隠しといて欲しい事をさらけ出されたが何も文句を言う気にもならなかった。
「んでもってぇ、那智ちゃん。制服なんだけど、ここをもーちょっと可愛らしくしてぇ…」
「って、とっつぁんが一番女扱いしてんだけど?!」
「ちょ、長官!やめて下さい!何してんですか!」
「おい、とっつぁん!それはもうセクハラだぁぁ!みんなの前でやめてくれぇぇ」
那智に飛びかかる松平を、近藤と土方が止めに入る。
彼女は何とか苦笑いを浮かべながらもそれから逃れ、沖田のそばへと寄った。
「……やってくれるじゃねぇか、参謀さんよぉ。」
「あら、誰も一番隊に残って総悟を守るだなんて言ってないよ?ふふ、残念でした。」
「てっ、テメッ…!」
「な、なんか那智さんが女に見える!女に見えるよォォ」
「女だよ、元々。もう変に男っぽくする必要ないしね。でも、下手に気ぃ起こすんだったら、全員斬り殺すから、覚悟してね。」
「……」
隊員たちにサラリと冷ややかな笑みでそう言う那智に、沖田を初め土方たちも引きつった顔を浮かべる。
ほかの連中もサーっと血の気が引いていくような感覚を覚え、高まった男の欲も一瞬にして灰となった。
那智の実力を認めていない奴はここに誰一人いない。
彼女の強さこそ、真選組には欠かせないものだとしっている。
だからこそ、誰もが参謀となる人に相応しいと、納得していた。
「んじゃ、今日も張り切っていきましょうか、沖田隊長殿。」
「……ったく調子が良すぎるんでぃ。」
見廻りの支度をしに、自室へと向かう起きたの背中を見て、那智は満足気に微笑んでは彼の名を呼んだ。
「…総悟。」
くるりと振り向く沖田は、彼女のその笑顔に見惚れ、思わず目を見開く。
そんな沖田の心境を知る由もない那智は、無邪気な顔でこういった。
「この前の約束、忘れないでよ。ちゃーんと守ってね。」
「……わぁってらァ。」
そう返すと、彼女は再びクスリと小さく笑っては、見廻りの準備をしに、自室へと向かっていったのであった。