二.生殺し(※一部性的描写あり。)
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媚薬の密輸事件に関しては無事幕を終ろし、真選組一同は屯所へと戻った。
取り調べや後片付けなどにより、すっかり深夜となってしまったが、今回の大半の敵を倒した成果により、那智は明日も非番が与えられた。
風呂も報告書も全て済ませたあと、那智はようやく自室へとたどり着く。
とんだ一日になってしまったと思うと、どっと疲れて大きなため息をこぼした。
もうダメだ。今すぐ布団にダイブしよう。このまま布団の気持ちよさに抱かれて寝てしまおう。
そう決意し、布団の中に入ると、何か暖かいものに触れて違和感を感じた。そしてそれは自分の体を引き寄せては強く抱き締め、体温を感じさせた。
「……大胆なことしやがるなァ。」
「そっ、総……んぐっ!」
「声がでけぇ。」
朝と同じように、彼に口を塞がれる。
真っ暗で気づかなかったが、まさか自分の布団の中に彼が潜んでいたとは。
「…な、なにやってんの、ここ私の部屋なんですけど。」
「知ってまさァ。用事があったからきたんでぃ。」
「だったらもうちょっとマシな登場の仕方ないの?!なんでいつも布団の中に隠れてんのよ!」
「ここだと、あんたがか弱いから。」
「なっ、なっ……!」
「ほら、耳まで真っ赤だ。やっぱり、普通の女だった。」
「……?」
沖田が妙に安心して笑っている様子を見て、那智は首を傾げる。
沖田は自分の胸元にある彼女の顔を見下ろし、静かに口を開いた。
「……苛立ってたとはいえ、今日はすまねぇ事をしちまった。」
「…それって、今日もう謝ってくれたじゃん。私もう、気にしてないよ?」
あっけらかんと答える那智に、思わず顔をひきつらせる。
「…いや、気にしろよ。どSは結構撃たれ弱いんでぃ。」
「ふふっ何それ。だってあれは私も悪いもん。おあいこじゃん。」
フフっといつものように笑って喋る那智を見て、沖田は昼間のことを思い出した。
自分が土方の言葉に無性に腹を立てていた時、彼女は自分に必死に何かを言おうとしていた。
冷静となった今、彼女が何を伝えていようとしていたのかが知りたい。
けれどもそれは、同時に怖さも感じていた。
自分のことを、那智が男とすら思っていないという話だったらどうしようか、と。
普段強気でいても、やはりこういう時になるとSは打たれ弱い。
「……どした?総悟。」
「なぁ、那智。あの時俺になんて言おうとしてたのか、聞いてもいいですかぃ。」
キョトンとした那智を見て、沖田は弱々しく小さな声でそう尋ねた。
那智はしばらく彼を見つめては、フッと笑みを浮かべ、それに応えるべく口を開いた。
「総悟があの時何を期に苛立っていたかはそんなによくわかんないけどさ…」
「……」
「私は、総悟をガキだと思ったことは一度たりともないよ。」
「ーーっ!」
「確かに歳は下だろうけど、歳相応ならぬ大人っぽさも持ってるし、そこらの大人よりは全然大人だよ。」
「…そこらの男って、ここにいる奴らの話かよ。」
「違う違う。そういう訳じゃなくてね。一人のどうしようもない女を、まるで壊れ物のように優しく護るようなその逞しさは、立派な大人の男だよ。」
那智の声はいつも以上に穏やかで、優しく聞こえてくる気がした。
「それにね。ガキだと思ってたら、いちいち相手してないし、こんな振り回されてないよ。」
「え……」
「…だ、だって総悟、昼間だってあんな露骨に男の顔して触れるし、あんなの子供のする顔じゃないもん!そもそも今までそんなことされたことないから、私だっていっぱいいっぱいなんだよ!」
彼女は耳まで真っ赤にして、必死に自分の言葉でそう答えを出す。
それではまるで、自分のことを一人の男として意識していると言っているもののようだ。
思いもよらぬ答えに、沖田はしばらくぽかんと口を開けたまま那智を見たが、自分の気持ちを打ち明けて不安そうな表情で上目遣いをしてくる彼女に、理性をかきたてられそうになった。
「……何煽ってんでぃ、那智。」
「え?!ああああ煽ってない!!私はただ……ッッ!」
強引でもない、苛立ちを持ったものでもない、ただ愛しいと思う感情を、そのまま彼女の唇に触れただけのキスを落とす。
ぎゅっと細い体を抱きしめ、自分の胸板を弱々しい腕の力でしがみつく那智が愛おしくて仕方がない。
その感情が伝わったのか、唇を離して彼女を見ると、はにかんだ笑みを浮かべていた。
「……那智。俺ァあんたをこの先もずっと守るし、ずっと隣で剣を振るいてぇ。ただ生きて、そばに居てくれればそれでいい。正直俺の気持ちに応えてくれとも思っちゃいねぇ。あんたが笑ってここにいてくれりゃ、俺はそれでいいんでぃ。」
「総悟……」
「ただ、俺もあんたもどちらかが闘えない身体になった時でも……そばに居て欲しい。」
「……うん、いいよ。」
「え?」
「だから、いいよってば。」
「ま、マジでか。」
「自分から言っといて変だよ総悟。私だって……とっくに総悟無しではもう自分らしくなんていれないよ。いつもそうやって、突っぱねても懲りずに近づいてくる総悟に、いつの間にか依存してたのかも……ね。」
「……那智?」
急に静かになったと思い、彼女の顔を覗き込めば、既に寝息を立ててすやすやと眠っていた。
沖田はそっと布団を掛けてやり、優しく抱きしめ直した。
今日はいっそ、このまま寝て朝また起きた時に、その愛しい口から不満の言葉を聞こう。
そうして眠りにつこうと目を閉じた後ーーー
「おい、これ結局生殺しじゃねぇか。」
そう呟いた彼の言葉は、彼女に届くことなどなかった。
取り調べや後片付けなどにより、すっかり深夜となってしまったが、今回の大半の敵を倒した成果により、那智は明日も非番が与えられた。
風呂も報告書も全て済ませたあと、那智はようやく自室へとたどり着く。
とんだ一日になってしまったと思うと、どっと疲れて大きなため息をこぼした。
もうダメだ。今すぐ布団にダイブしよう。このまま布団の気持ちよさに抱かれて寝てしまおう。
そう決意し、布団の中に入ると、何か暖かいものに触れて違和感を感じた。そしてそれは自分の体を引き寄せては強く抱き締め、体温を感じさせた。
「……大胆なことしやがるなァ。」
「そっ、総……んぐっ!」
「声がでけぇ。」
朝と同じように、彼に口を塞がれる。
真っ暗で気づかなかったが、まさか自分の布団の中に彼が潜んでいたとは。
「…な、なにやってんの、ここ私の部屋なんですけど。」
「知ってまさァ。用事があったからきたんでぃ。」
「だったらもうちょっとマシな登場の仕方ないの?!なんでいつも布団の中に隠れてんのよ!」
「ここだと、あんたがか弱いから。」
「なっ、なっ……!」
「ほら、耳まで真っ赤だ。やっぱり、普通の女だった。」
「……?」
沖田が妙に安心して笑っている様子を見て、那智は首を傾げる。
沖田は自分の胸元にある彼女の顔を見下ろし、静かに口を開いた。
「……苛立ってたとはいえ、今日はすまねぇ事をしちまった。」
「…それって、今日もう謝ってくれたじゃん。私もう、気にしてないよ?」
あっけらかんと答える那智に、思わず顔をひきつらせる。
「…いや、気にしろよ。どSは結構撃たれ弱いんでぃ。」
「ふふっ何それ。だってあれは私も悪いもん。おあいこじゃん。」
フフっといつものように笑って喋る那智を見て、沖田は昼間のことを思い出した。
自分が土方の言葉に無性に腹を立てていた時、彼女は自分に必死に何かを言おうとしていた。
冷静となった今、彼女が何を伝えていようとしていたのかが知りたい。
けれどもそれは、同時に怖さも感じていた。
自分のことを、那智が男とすら思っていないという話だったらどうしようか、と。
普段強気でいても、やはりこういう時になるとSは打たれ弱い。
「……どした?総悟。」
「なぁ、那智。あの時俺になんて言おうとしてたのか、聞いてもいいですかぃ。」
キョトンとした那智を見て、沖田は弱々しく小さな声でそう尋ねた。
那智はしばらく彼を見つめては、フッと笑みを浮かべ、それに応えるべく口を開いた。
「総悟があの時何を期に苛立っていたかはそんなによくわかんないけどさ…」
「……」
「私は、総悟をガキだと思ったことは一度たりともないよ。」
「ーーっ!」
「確かに歳は下だろうけど、歳相応ならぬ大人っぽさも持ってるし、そこらの大人よりは全然大人だよ。」
「…そこらの男って、ここにいる奴らの話かよ。」
「違う違う。そういう訳じゃなくてね。一人のどうしようもない女を、まるで壊れ物のように優しく護るようなその逞しさは、立派な大人の男だよ。」
那智の声はいつも以上に穏やかで、優しく聞こえてくる気がした。
「それにね。ガキだと思ってたら、いちいち相手してないし、こんな振り回されてないよ。」
「え……」
「…だ、だって総悟、昼間だってあんな露骨に男の顔して触れるし、あんなの子供のする顔じゃないもん!そもそも今までそんなことされたことないから、私だっていっぱいいっぱいなんだよ!」
彼女は耳まで真っ赤にして、必死に自分の言葉でそう答えを出す。
それではまるで、自分のことを一人の男として意識していると言っているもののようだ。
思いもよらぬ答えに、沖田はしばらくぽかんと口を開けたまま那智を見たが、自分の気持ちを打ち明けて不安そうな表情で上目遣いをしてくる彼女に、理性をかきたてられそうになった。
「……何煽ってんでぃ、那智。」
「え?!ああああ煽ってない!!私はただ……ッッ!」
強引でもない、苛立ちを持ったものでもない、ただ愛しいと思う感情を、そのまま彼女の唇に触れただけのキスを落とす。
ぎゅっと細い体を抱きしめ、自分の胸板を弱々しい腕の力でしがみつく那智が愛おしくて仕方がない。
その感情が伝わったのか、唇を離して彼女を見ると、はにかんだ笑みを浮かべていた。
「……那智。俺ァあんたをこの先もずっと守るし、ずっと隣で剣を振るいてぇ。ただ生きて、そばに居てくれればそれでいい。正直俺の気持ちに応えてくれとも思っちゃいねぇ。あんたが笑ってここにいてくれりゃ、俺はそれでいいんでぃ。」
「総悟……」
「ただ、俺もあんたもどちらかが闘えない身体になった時でも……そばに居て欲しい。」
「……うん、いいよ。」
「え?」
「だから、いいよってば。」
「ま、マジでか。」
「自分から言っといて変だよ総悟。私だって……とっくに総悟無しではもう自分らしくなんていれないよ。いつもそうやって、突っぱねても懲りずに近づいてくる総悟に、いつの間にか依存してたのかも……ね。」
「……那智?」
急に静かになったと思い、彼女の顔を覗き込めば、既に寝息を立ててすやすやと眠っていた。
沖田はそっと布団を掛けてやり、優しく抱きしめ直した。
今日はいっそ、このまま寝て朝また起きた時に、その愛しい口から不満の言葉を聞こう。
そうして眠りにつこうと目を閉じた後ーーー
「おい、これ結局生殺しじゃねぇか。」
そう呟いた彼の言葉は、彼女に届くことなどなかった。