二.生殺し(※一部性的描写あり。)
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どうしよう。
那智の頭の中はすでに吹っ飛びそうだった。
薄い扉を潜った先にあったのは、小さなソファの前に置かれた丸テーブルと、密着しなければ過ごせないほどの狭いスペース。
男女の理性を掻き立てるためか、部屋のインテリアはピンクや紫系で統一され、とても落ち着けるような場所とは思えない空間だった。
「さ、ここに座ってくだせぇ那智。」
「や、やだ。」
「わかってますかぃ?俺らはあくまでも偵察の仕事でさァ。それに、そんなとこに立ってたら、オーダーに来るウエイターが入ってこれねぇよ。」
「……」
逃げ場はないぜ。と言われているかのような勝ち誇った笑みを浮かべられ、那智は断念してその小さなソファに腰を下ろした。
「よいしょっと。」
沖田がその隣へ腰を下ろすと、身体はぴっとりくっつき、頬が触れそうな至近距離にあり、那智の鼓動は益々早くなった。
「ち、ちかっ……!」
「何言ってんでぃ。俺と那智の仲じゃ今更これくらい普通にできるだろーが。」
「いやいや、そもそも私と総悟の仲じゃここにくること自体が場違いでしょう!これどっからどう見ても、ラブホとかわんな……」
そこまで言って、再び口を塞がれる。
「声がでけぇって言ってんだろ。無理やりその口を塞いでやってもいいんだが……」
「はい、静かにします。すいませんでした。」
素直に謝る那智に、沖田は満足そうに笑みを浮かべた。
「わかりゃいいんでぃ。それにここに那智を連れてきたのには、もうひとつ理由があったんでさァ。面白いもんが見れるぜぃ。」
「え?」
それが何かと聞こうとした時、扉のノック音がしては、失礼します。と店員の声と共にウエイターが現れた。
那智はその男を見て、思わず言葉を失う。
ここ最近日中に姿を見ないと思いきや、こんな所で従業員として偵察の任務を行っていたなんて。
そしてウエイターも、彼女を見て酷く動揺し、一歩後ずさった。
「なっ、なっ、なんでここにテメェらがッ!!」
「と、トシ……?」
とんでもない場所で遭遇したことに、上手く言葉が出ない。
というより、どう考えても潜入捜査をしているだろう彼に、迂闊に口を聞いてはまずいと思い、思わず彼への質問わ飲み込んだ。
「な?おもしれぇもんが見れるって言ったろ?」
隣で悪魔の笑みを浮かべる沖田。
那智はすかさず目を細めた。
土方はひとまずほかの一般客に聞かれぬよう、そっと扉を閉めてずかずかと二人に歩み寄る。
そうして拳を震わせながら、沖田に文句を吐き捨てた。
「テメェッ!どういうつもりでここにコイツといやがんだッ!こっちは遊んでんじゃねぇんだぞッ!」
「俺たちだって違いまさァ。偵察第二班でぃ。」
沖田が彼にブイサインを見せると、大きな舌打ちを零した。
「なにが二班だッ!俺がここで働いてるのを面白がって見に来ただけだろうがッ!そんな事のために那智を使うたァ、いい度胸じゃねぇかテメェ!」
「使うなんてとんでもねぇ。ちゃんと近藤さんから許可ももらってるし、ほんとに仕事としてきてまさァ。」
「あ、あの……なんか、ごめん。茶化すつもりはなくて……」
「いや、那智が謝ることァねぇ。どーせコイツに騙されて、無理やり連れてこされたんだろ。お前がこんなガキに好意があるなんて思えねぇしな。ガキのわがままに付き合わされちゃ、適わねぇよな。」
「……」
彼の言葉に、肯定も否定もできない。
しかしその言葉を耳にした沖田の雰囲気が、先程とは違うおぞましいものに変わった。
「……失礼ですぜぇ、土方さん。俺ァ那智に一切やましい気持ちなんてありやせん。」
そう言って、腰にまわした手をぎゅっと強め、真顔のまま寄せ付けられる。
「わわっ!ちょっ……!」
「テメェ!やましい気持ちしかねぇじゃねぇかッ!何だよその手ぇ今すぐどけろやッ!」
「あれれぇ、土方さんもしかして、ヤキモチですかぁ?」
「何意味わかんねぇ事言ってんだテメェッ!んなわけねーだろッ!だがテメェの好きにはさせねぇ!」
苛立った土方も、沖田から解放しようと那智の手を掴み、自分の方へと引き寄せようとする。
「ちょ、ちょっと二人とも落ち着いてっ!」
二人の仲を取り持とうと那智が必死に何とかしようとするも、沖田の悪巧みは止まることは無かった。
「すみませーん!新人のウエイターが人の彼女横取りしようとするんですけどぉー!誰か責任者呼んでもらえませんかー!」
「バッ、バカてめっ……」
沖田の叫ぶ声に、土方の血の気がサーっと引いていく。
そして沖田は素早く現れた責任者を確認しては、口元に弧を描いた。
「て、てめぇっ……ッ!うぉぁっ!」
「何やってんだ新入りィッ!…お客様、とんだ失礼な事をして申し訳ありませんでしたッ!」
メガネをかけ、チーフと書かれた名札をつけた男は土方の頭を鷲掴みしては、深く頭を下げさせる。
沖田はあぐらをかいた膝の上に頬杖をつき、その男にこう言った。
「勘弁してくだせぇよ。いくらうちの姫が可愛いからって店員に手ぇ出されちゃ適わねぇ。」
「ちょっ、総悟ッッ!」
「本当に申し訳ありませんでした!私の方からキツく叱っておきますのでッッ!あ、こちらはサービスですのでどうぞお召し上がりください。ほら行くぞ新入りィッ!」
「あだだだだッッ!くそ、てめぇ覚えてろよッッ!」
「死ね土方コノヤロー。バイバーイ。」
チーフは去り際に飲み物を二人分テーブルの上に置き、引きずって土方を連れて去る。そんな土方に、沖田は爽やかな笑顔で手を振って別れた。
那智はそんな土方に悲しい目を向け、振り返った先にいる沖田には鋭い視線をぶつけた。
「総悟、やりすぎだよ。トシは何もしてないしただ仕事してるのに、悪いのは冷やかしに来た私たちの方でしょッ!何であんなこと……!」
「……本当にそう思うのかよ。」
「え?」
俯いた沖田の声が、さっきとはうって変わり、弱々しく聞こえた気がした。
そして気づけば、その小さなソファの上に押し倒され、那智の視界は天井を映していた。
那智の頭の中はすでに吹っ飛びそうだった。
薄い扉を潜った先にあったのは、小さなソファの前に置かれた丸テーブルと、密着しなければ過ごせないほどの狭いスペース。
男女の理性を掻き立てるためか、部屋のインテリアはピンクや紫系で統一され、とても落ち着けるような場所とは思えない空間だった。
「さ、ここに座ってくだせぇ那智。」
「や、やだ。」
「わかってますかぃ?俺らはあくまでも偵察の仕事でさァ。それに、そんなとこに立ってたら、オーダーに来るウエイターが入ってこれねぇよ。」
「……」
逃げ場はないぜ。と言われているかのような勝ち誇った笑みを浮かべられ、那智は断念してその小さなソファに腰を下ろした。
「よいしょっと。」
沖田がその隣へ腰を下ろすと、身体はぴっとりくっつき、頬が触れそうな至近距離にあり、那智の鼓動は益々早くなった。
「ち、ちかっ……!」
「何言ってんでぃ。俺と那智の仲じゃ今更これくらい普通にできるだろーが。」
「いやいや、そもそも私と総悟の仲じゃここにくること自体が場違いでしょう!これどっからどう見ても、ラブホとかわんな……」
そこまで言って、再び口を塞がれる。
「声がでけぇって言ってんだろ。無理やりその口を塞いでやってもいいんだが……」
「はい、静かにします。すいませんでした。」
素直に謝る那智に、沖田は満足そうに笑みを浮かべた。
「わかりゃいいんでぃ。それにここに那智を連れてきたのには、もうひとつ理由があったんでさァ。面白いもんが見れるぜぃ。」
「え?」
それが何かと聞こうとした時、扉のノック音がしては、失礼します。と店員の声と共にウエイターが現れた。
那智はその男を見て、思わず言葉を失う。
ここ最近日中に姿を見ないと思いきや、こんな所で従業員として偵察の任務を行っていたなんて。
そしてウエイターも、彼女を見て酷く動揺し、一歩後ずさった。
「なっ、なっ、なんでここにテメェらがッ!!」
「と、トシ……?」
とんでもない場所で遭遇したことに、上手く言葉が出ない。
というより、どう考えても潜入捜査をしているだろう彼に、迂闊に口を聞いてはまずいと思い、思わず彼への質問わ飲み込んだ。
「な?おもしれぇもんが見れるって言ったろ?」
隣で悪魔の笑みを浮かべる沖田。
那智はすかさず目を細めた。
土方はひとまずほかの一般客に聞かれぬよう、そっと扉を閉めてずかずかと二人に歩み寄る。
そうして拳を震わせながら、沖田に文句を吐き捨てた。
「テメェッ!どういうつもりでここにコイツといやがんだッ!こっちは遊んでんじゃねぇんだぞッ!」
「俺たちだって違いまさァ。偵察第二班でぃ。」
沖田が彼にブイサインを見せると、大きな舌打ちを零した。
「なにが二班だッ!俺がここで働いてるのを面白がって見に来ただけだろうがッ!そんな事のために那智を使うたァ、いい度胸じゃねぇかテメェ!」
「使うなんてとんでもねぇ。ちゃんと近藤さんから許可ももらってるし、ほんとに仕事としてきてまさァ。」
「あ、あの……なんか、ごめん。茶化すつもりはなくて……」
「いや、那智が謝ることァねぇ。どーせコイツに騙されて、無理やり連れてこされたんだろ。お前がこんなガキに好意があるなんて思えねぇしな。ガキのわがままに付き合わされちゃ、適わねぇよな。」
「……」
彼の言葉に、肯定も否定もできない。
しかしその言葉を耳にした沖田の雰囲気が、先程とは違うおぞましいものに変わった。
「……失礼ですぜぇ、土方さん。俺ァ那智に一切やましい気持ちなんてありやせん。」
そう言って、腰にまわした手をぎゅっと強め、真顔のまま寄せ付けられる。
「わわっ!ちょっ……!」
「テメェ!やましい気持ちしかねぇじゃねぇかッ!何だよその手ぇ今すぐどけろやッ!」
「あれれぇ、土方さんもしかして、ヤキモチですかぁ?」
「何意味わかんねぇ事言ってんだテメェッ!んなわけねーだろッ!だがテメェの好きにはさせねぇ!」
苛立った土方も、沖田から解放しようと那智の手を掴み、自分の方へと引き寄せようとする。
「ちょ、ちょっと二人とも落ち着いてっ!」
二人の仲を取り持とうと那智が必死に何とかしようとするも、沖田の悪巧みは止まることは無かった。
「すみませーん!新人のウエイターが人の彼女横取りしようとするんですけどぉー!誰か責任者呼んでもらえませんかー!」
「バッ、バカてめっ……」
沖田の叫ぶ声に、土方の血の気がサーっと引いていく。
そして沖田は素早く現れた責任者を確認しては、口元に弧を描いた。
「て、てめぇっ……ッ!うぉぁっ!」
「何やってんだ新入りィッ!…お客様、とんだ失礼な事をして申し訳ありませんでしたッ!」
メガネをかけ、チーフと書かれた名札をつけた男は土方の頭を鷲掴みしては、深く頭を下げさせる。
沖田はあぐらをかいた膝の上に頬杖をつき、その男にこう言った。
「勘弁してくだせぇよ。いくらうちの姫が可愛いからって店員に手ぇ出されちゃ適わねぇ。」
「ちょっ、総悟ッッ!」
「本当に申し訳ありませんでした!私の方からキツく叱っておきますのでッッ!あ、こちらはサービスですのでどうぞお召し上がりください。ほら行くぞ新入りィッ!」
「あだだだだッッ!くそ、てめぇ覚えてろよッッ!」
「死ね土方コノヤロー。バイバーイ。」
チーフは去り際に飲み物を二人分テーブルの上に置き、引きずって土方を連れて去る。そんな土方に、沖田は爽やかな笑顔で手を振って別れた。
那智はそんな土方に悲しい目を向け、振り返った先にいる沖田には鋭い視線をぶつけた。
「総悟、やりすぎだよ。トシは何もしてないしただ仕事してるのに、悪いのは冷やかしに来た私たちの方でしょッ!何であんなこと……!」
「……本当にそう思うのかよ。」
「え?」
俯いた沖田の声が、さっきとはうって変わり、弱々しく聞こえた気がした。
そして気づけば、その小さなソファの上に押し倒され、那智の視界は天井を映していた。