屋根から降りてみれば、未だに庭で乱闘を続けている彼らに目がついた。
なんならいつの間にか沖田も神楽も加わっていて、新八は止めに入ろうとして自爆し、その場で伸びていた。

さすがに呆れてしまった刹那は、大きくため息をこぼし、仲裁に入ろうと足を動かす。

彼女のそんな様子にも気づいてない彼らは謎の口論を繰り広げていては、互いに殴りあっていた。

「おーい、テメェら。」

そんな時、彼女の威圧感満載の声を耳にし、ピタリと動きをとめる。

「いつまでやってんだ。なんの争いからそーなった。」

「なにって、姉さんと誰が子供を作るか。」

「……はぁ？」

しれっと答える神威に、刹那の声が裏返る。

「この際ハッキリしなせぇ、刹那。あんたは一体誰と子供を作る気でぃ。」

「あぁいや、ちょっと待って。話が全然見えない。っていうかなんで子供の話までいってんの。普通そういう話って、先に誰と付き合うか、とか誰と結婚するかって段階踏まない？なんでもう子供？」

「いつかは一人に決めなきゃいけねぇんだ。そろそろ決着つけよーぜ。」

「私からしたら、みんなダメアル！刹那姉ちゃんに相応しい男はここにはいないネ！」

「神楽ちゃん！刹那姉ちゃんを本当の家族にしたくないのか？！」

「刹那姉ちゃんは既に本当の家族ネ！！神威とくっつけるなんて死んでもごめんアル！」

「……なんなんだよ、、全く。」

額に手を当て、肩を落とす。
呆れて返す言葉も浮かばない刹那に、その場の全員の視線が刺さった。

「で、誰にするんだ！！！？」

「えっ？！」

勢いのあまり、思わず身体を後ろに反らす。
だが彼らの強い押しは止まらず、とうとう刹那は控えめな声でこう答えた。

「え、えっとぉ…あはは…ひ、秘密！！」

「あっ、こら待て！」

「そんな曖昧な返事ねぇでさァ、刹那ッ！」

「そんなテレないで、お父さんって呼んでもいいんだよ、刹那ちゃん！」

「あんたら邪魔。」

「オメェもすっこんでろよ！刹那姉ちゃんは誰にも渡さないネ！」

全速力で踵を返してその場から立ち去ろうとした刹那を追いかけようと、全員の足が動き出す。

気づけば刹那は飛び切りの笑顔を魅せて、彼らから必死に逃げ続けていたのであった。