Happy birthday
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
街の景色が見える中、賑やかなのはこの場所だけではないのかと思えるほど、今いる場所は明るさを灯していた。
明かりだけの問題ではない。きっと、彼らが楽しそうにどんちゃん騒ぎをしている声が、常々耳に入り込んでくるからだ。
「……あったかい場所だなぁ。こんなに祝ってもらえるなんて、私は幸せもんだ。」
「……そうかい。そりゃあ良かったな。」
刹那の独り言に、聞き慣れた声が返ってきた。
慌てて声のした方へと顔を向けると、そこにはこういう場を最も嫌うはずの男……高杉が笑みを浮かべて立っていた。
「……もしかして、晋助まで招集かかったの?」
「んなわけねぇだろ。ここにいる全員の敵だぜ、俺ァ。」
「……いや、敵でも味方でもない奴が三人いるだろ。」
そう返し、二人の頭の中ではかつて共に戦ってきた彼らを思い浮かべては、笑った。
「相変わらずテメェの周りには、暑苦しくてウザってぇ連中が多いな。」
「そうかな?みんないい人達ばかりだよ。ほんとに、まさかこんな風に誕生日をお祝いしてもらえる日が来るなんて、思ってもみなかった……」
そう呟いている間に、彼が隣へやってきては腰を下ろし肩を並べる。
刹那の言葉を聞いて、高杉は彼女が心から喜んでいることを知り、安堵の息を零した。
「いい事じゃねぇか。テメェはそれだけ、周りのヤツらを引きつける力があるってことだ。闇が似合う俺とは違って、な。」
「いや、そうでもないさ。私は、どちらでもない。ただ、周りの何色にでも混じることの出来る。晋助や銀時のように、自分の色をしっかり持ってないだけだ。」
「……今のテメェはそれでいいんだよ。」
「え。」
「最初に会った頃のお前は真っ黒ってほど人を寄せつけなかった。それがこんな周りに好かれるほどいい色に変わっちまったんなら、そりゃぁそれでいいだろうさ。今みたいに心の底から笑って、泣いて。ワガママ言って生きてりゃいい。テメェにはそうなってもらわねぇと見てる俺も困るってもんだ。」
「晋助…」
「久しぶりに会ったのは吉原の遊女だったからな。テメェが実際ここでどういう面して生活してんのかって思って来てみれば……とんだ御足労だったよ。」
「……そうか。」
「……そんな顔見れりゃ、俺ァ充分だ。」
刹那の穏やかな、満たされた笑顔を見た高杉は、すっと立ち上がり彼女に背中を向ける。
「……晋助。」
立ち去ろうとする高杉の名を呼べば、彼は足を止めて振り返る。
刹那はそっと手を出して、にやりと笑った。
「かっこよく去る前に、私のために用意してたそれ、置いてってよ。受け取らせて。」
「チッ。気づいてやがったのか……ほらよ。」
「……ありがとう。」
らしくないことをしたせいか、高杉は後ろ頭をガシガシとかいては、夜の暗闇の中に姿を消す。
刹那は彼から受け取った小さな紙袋をあけて、クスリと微笑んだ。
「…らしくないことしちゃって。バカだなぁ」
それは手のひらにおさまるほどの小さなプレゼントで、刹那の性格をよく知り、刹那に似合うだろうと彼が選んでくれたのが分かる代物。
飾りのない、シンプルな簪だった。
刹那はすぐさま髪を手ぐしで束ね、それを髪に差しては再び夜空を見上げた。
「……ありがとう。晋助。」
そう一人で呟いた言葉が、物陰に隠れて高杉に聞こえて満足そうに笑っていたことを、刹那は知る由もなかった。
明かりだけの問題ではない。きっと、彼らが楽しそうにどんちゃん騒ぎをしている声が、常々耳に入り込んでくるからだ。
「……あったかい場所だなぁ。こんなに祝ってもらえるなんて、私は幸せもんだ。」
「……そうかい。そりゃあ良かったな。」
刹那の独り言に、聞き慣れた声が返ってきた。
慌てて声のした方へと顔を向けると、そこにはこういう場を最も嫌うはずの男……高杉が笑みを浮かべて立っていた。
「……もしかして、晋助まで招集かかったの?」
「んなわけねぇだろ。ここにいる全員の敵だぜ、俺ァ。」
「……いや、敵でも味方でもない奴が三人いるだろ。」
そう返し、二人の頭の中ではかつて共に戦ってきた彼らを思い浮かべては、笑った。
「相変わらずテメェの周りには、暑苦しくてウザってぇ連中が多いな。」
「そうかな?みんないい人達ばかりだよ。ほんとに、まさかこんな風に誕生日をお祝いしてもらえる日が来るなんて、思ってもみなかった……」
そう呟いている間に、彼が隣へやってきては腰を下ろし肩を並べる。
刹那の言葉を聞いて、高杉は彼女が心から喜んでいることを知り、安堵の息を零した。
「いい事じゃねぇか。テメェはそれだけ、周りのヤツらを引きつける力があるってことだ。闇が似合う俺とは違って、な。」
「いや、そうでもないさ。私は、どちらでもない。ただ、周りの何色にでも混じることの出来る。晋助や銀時のように、自分の色をしっかり持ってないだけだ。」
「……今のテメェはそれでいいんだよ。」
「え。」
「最初に会った頃のお前は真っ黒ってほど人を寄せつけなかった。それがこんな周りに好かれるほどいい色に変わっちまったんなら、そりゃぁそれでいいだろうさ。今みたいに心の底から笑って、泣いて。ワガママ言って生きてりゃいい。テメェにはそうなってもらわねぇと見てる俺も困るってもんだ。」
「晋助…」
「久しぶりに会ったのは吉原の遊女だったからな。テメェが実際ここでどういう面して生活してんのかって思って来てみれば……とんだ御足労だったよ。」
「……そうか。」
「……そんな顔見れりゃ、俺ァ充分だ。」
刹那の穏やかな、満たされた笑顔を見た高杉は、すっと立ち上がり彼女に背中を向ける。
「……晋助。」
立ち去ろうとする高杉の名を呼べば、彼は足を止めて振り返る。
刹那はそっと手を出して、にやりと笑った。
「かっこよく去る前に、私のために用意してたそれ、置いてってよ。受け取らせて。」
「チッ。気づいてやがったのか……ほらよ。」
「……ありがとう。」
らしくないことをしたせいか、高杉は後ろ頭をガシガシとかいては、夜の暗闇の中に姿を消す。
刹那は彼から受け取った小さな紙袋をあけて、クスリと微笑んだ。
「…らしくないことしちゃって。バカだなぁ」
それは手のひらにおさまるほどの小さなプレゼントで、刹那の性格をよく知り、刹那に似合うだろうと彼が選んでくれたのが分かる代物。
飾りのない、シンプルな簪だった。
刹那はすぐさま髪を手ぐしで束ね、それを髪に差しては再び夜空を見上げた。
「……ありがとう。晋助。」
そう一人で呟いた言葉が、物陰に隠れて高杉に聞こえて満足そうに笑っていたことを、刹那は知る由もなかった。