Happy birthday
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彼の大きな手に引っ張られて連れてこられた先は、大きな道場の前の入口だった。
刹那はその門を首を伸ばして見上げた後、銀時の方に目を向けると、彼は優しく微笑んで小さく頷いた。
躊躇しながらも扉に手をかけ、ゆっくりと開ける。
するとそこから明るい光が差し込み、刹那は目を細めた。
しかし、扉の向こうにある光景を目にすると刹那の目も口も、大きく開けたまま固まった。
「刹那さん」
「刹那姉ちゃん」
入口のすぐ先には、新八と神楽と定春が並んで立ち、笑顔で自分を迎え入れる。
「お誕生日おめでとうッッ!!」
そして彼らの叫びに続いて、その後ろからは何人も顔見知りの人達が姿を現した。
道場らしき建物は大方照明と飾り付けで華やかな雰囲気になっており、正面には〝刹那さん、誕生日おめでとう〟と書かれてた垂れ幕がついている。
刹那はしばらくポカン、とそれを見上げていると、気づけば追いかけてきていた沖田たちがそれを見て微笑んでいた。
「ほら、主役のおでましだ、いってきなせぇ。」
彼に背中をポン、と押されて一歩前へ出る刹那。未だ状況が掴めずにいる様子の彼女を見て、隣にいた銀時が頭をかいて口を開いた。
「え、まさかお前、自分の誕生日も忘れちまったのか?」
「た、誕生日って、だって。」
「ま、誕生日って言っても、決めたのは俺たちだけどよ。オメェが誕生日も歳もわかんねぇっつーから、俺たち松下村塾のメンバーでテメェの誕生日決めただろーが。」
「あ……」
銀時の言葉で、ようやく刹那は思い出した声を上げては、頭の中で子供の頃の記憶が甦った。
〝え、何お前。誕生日も歳もわかんねぇの?〟
〝わかんない。だって教えて貰ったことも無いし、それが分かるような物すら家になかったし…。〟
〝じゃあ刹那の誕生日は、僕達と出会った…この松下村塾に来た六月でどうでしょう?〟
〝それいーな、松陽!でも、日にちは?〟
〝日にちかぁ…好きな数字とかねぇの?刹那。〟
〝…ない。〟
〝じゃあ、俺達がジャンケンして勝った奴の誕生日の日にちなッ!〟
〝いくぞッ!せーの!じゃんけん……〟
「あの時じゃんけんで勝ったのは俺。つまり、テメェの誕生日は6月10日。今日だろ?」
「ーーッ!」
ようやく自分が今日、誕生日だった事を思い出した刹那に、新八と神楽が歩み寄った。
「刹那さん、一昨日僕と買い出しに行った時、言ってましたよね。誕生日なんて覚えてない、って。だからあの後銀さんに聞いたら、ちょうどもうすぐだ、ってなって。日にちが迫ってたから一日かけて準備したんです。もう忘れられないくらいの誕生日にしたくて。」
「刹那姉ちゃんが来てから、私毎日楽しくなったネ!だからその歓迎会も含めて、刹那姉ちゃんの誕生日会も一緒にやりたいって私が銀ちゃんに頼んだアルよ。勝手に家をあけてごめんアル…」
新八に誕生日の話をしたのは、何気ない会話からだった。
近くのスーパーで、バースデーイベントを行っているというチラシが目に付いた時、たまたま彼がそう尋ねてきただけで。
誕生日だなんて、戦争が始まって、天人に囚われて、今まで長い間言われてこなかったから、すっかり忘れてしまっていた。
「ま、俺は正直反対したんだけどよ。刹那をこの時期に独りにすんのは、テメェの過去を知ってる俺からしたら、心苦しいしな。でもコイツらがマジでやりたいっつーんで、俺もさすがに協力した。まぁ、気を紛らわせるために真選組の連中とかを裏で手ぇ回したんだけど……それがまさかあんなにややこしい状況になってるたァな。」
みんなの言い訳を聞いた刹那は俯き、ぎゅっと拳を震わせた。
そんな様子を見て、彼らは彼女の側へ駆け寄り心配そうな声で尋ねた。
「刹那姉ちゃん、やっぱり黙ってたの怒ってるアルか?!」
「ご、ごめんなさいっ!僕達刹那さんを困らせたかった訳じゃなくて、やっぱり今までなかった分、盛大に誕生日をお祝いしようって……」
必死になって弁解する二人の声を耳にし、刹那はふっと顔を上げた。
そこには新八と神楽は想像もしていなかった、刹那の涙を零した微笑んだ顔があって。
彼女は手でその涙を拭いつつ、二人にこう言った。
「バカだなぁ。そんなことしてたんなら、怒るなんて馬鹿な真似、出来るわけないじゃない。」
「刹那さん……」
「刹那姉ちゃん……」
刹那はそのまま二人に抱きつき、耳元で囁くように言った。
「ありがとう。もう既に一生忘れられない、大切な日になった。二人が精一杯私にしてくれたんだもの。もう充分、素敵なプレゼントだよ。……二人とも、大好き。」
それを聞いた二人の顔がぱっと晴れ、銀時はショックを受けてわなわなと身体を震わせ、刹那に大声で訴えた。
「おいおい、なんでその〝大好き〟に俺が入ってねぇのッ!?俺だって結構頑張ったんですけど!俺への厚い感謝の気持ちとかねぇわけッ?!」
「……」
「無視かよ!おいコラァッ!銀さん悲しくて泣いちゃうよ!?今すぐ落ち込んでこの場から退場しちゃうよ!」
「あー……はいはい。銀ちゃんも大好きだよ。」
「心困ってねぇよ、完っ然に棒読みだよ!!」
その場で泣き崩れる銀時に、刹那はフフっと小さく笑う。
「銀ちゃんなんてほっとくネ。刹那姉ちゃん!早くこっちネ!大きいケーキ作ったから早く見に来るアル!」
「あぁ、ちょっと神楽ちゃんッ!ずるいよ!」
刹那が神楽の手に引かれ、家の中へと導かれる。
そんな二人の楽しそうな後ろ姿を見て、銀時と新八は優しく微笑んだ。
刹那はその門を首を伸ばして見上げた後、銀時の方に目を向けると、彼は優しく微笑んで小さく頷いた。
躊躇しながらも扉に手をかけ、ゆっくりと開ける。
するとそこから明るい光が差し込み、刹那は目を細めた。
しかし、扉の向こうにある光景を目にすると刹那の目も口も、大きく開けたまま固まった。
「刹那さん」
「刹那姉ちゃん」
入口のすぐ先には、新八と神楽と定春が並んで立ち、笑顔で自分を迎え入れる。
「お誕生日おめでとうッッ!!」
そして彼らの叫びに続いて、その後ろからは何人も顔見知りの人達が姿を現した。
道場らしき建物は大方照明と飾り付けで華やかな雰囲気になっており、正面には〝刹那さん、誕生日おめでとう〟と書かれてた垂れ幕がついている。
刹那はしばらくポカン、とそれを見上げていると、気づけば追いかけてきていた沖田たちがそれを見て微笑んでいた。
「ほら、主役のおでましだ、いってきなせぇ。」
彼に背中をポン、と押されて一歩前へ出る刹那。未だ状況が掴めずにいる様子の彼女を見て、隣にいた銀時が頭をかいて口を開いた。
「え、まさかお前、自分の誕生日も忘れちまったのか?」
「た、誕生日って、だって。」
「ま、誕生日って言っても、決めたのは俺たちだけどよ。オメェが誕生日も歳もわかんねぇっつーから、俺たち松下村塾のメンバーでテメェの誕生日決めただろーが。」
「あ……」
銀時の言葉で、ようやく刹那は思い出した声を上げては、頭の中で子供の頃の記憶が甦った。
〝え、何お前。誕生日も歳もわかんねぇの?〟
〝わかんない。だって教えて貰ったことも無いし、それが分かるような物すら家になかったし…。〟
〝じゃあ刹那の誕生日は、僕達と出会った…この松下村塾に来た六月でどうでしょう?〟
〝それいーな、松陽!でも、日にちは?〟
〝日にちかぁ…好きな数字とかねぇの?刹那。〟
〝…ない。〟
〝じゃあ、俺達がジャンケンして勝った奴の誕生日の日にちなッ!〟
〝いくぞッ!せーの!じゃんけん……〟
「あの時じゃんけんで勝ったのは俺。つまり、テメェの誕生日は6月10日。今日だろ?」
「ーーッ!」
ようやく自分が今日、誕生日だった事を思い出した刹那に、新八と神楽が歩み寄った。
「刹那さん、一昨日僕と買い出しに行った時、言ってましたよね。誕生日なんて覚えてない、って。だからあの後銀さんに聞いたら、ちょうどもうすぐだ、ってなって。日にちが迫ってたから一日かけて準備したんです。もう忘れられないくらいの誕生日にしたくて。」
「刹那姉ちゃんが来てから、私毎日楽しくなったネ!だからその歓迎会も含めて、刹那姉ちゃんの誕生日会も一緒にやりたいって私が銀ちゃんに頼んだアルよ。勝手に家をあけてごめんアル…」
新八に誕生日の話をしたのは、何気ない会話からだった。
近くのスーパーで、バースデーイベントを行っているというチラシが目に付いた時、たまたま彼がそう尋ねてきただけで。
誕生日だなんて、戦争が始まって、天人に囚われて、今まで長い間言われてこなかったから、すっかり忘れてしまっていた。
「ま、俺は正直反対したんだけどよ。刹那をこの時期に独りにすんのは、テメェの過去を知ってる俺からしたら、心苦しいしな。でもコイツらがマジでやりたいっつーんで、俺もさすがに協力した。まぁ、気を紛らわせるために真選組の連中とかを裏で手ぇ回したんだけど……それがまさかあんなにややこしい状況になってるたァな。」
みんなの言い訳を聞いた刹那は俯き、ぎゅっと拳を震わせた。
そんな様子を見て、彼らは彼女の側へ駆け寄り心配そうな声で尋ねた。
「刹那姉ちゃん、やっぱり黙ってたの怒ってるアルか?!」
「ご、ごめんなさいっ!僕達刹那さんを困らせたかった訳じゃなくて、やっぱり今までなかった分、盛大に誕生日をお祝いしようって……」
必死になって弁解する二人の声を耳にし、刹那はふっと顔を上げた。
そこには新八と神楽は想像もしていなかった、刹那の涙を零した微笑んだ顔があって。
彼女は手でその涙を拭いつつ、二人にこう言った。
「バカだなぁ。そんなことしてたんなら、怒るなんて馬鹿な真似、出来るわけないじゃない。」
「刹那さん……」
「刹那姉ちゃん……」
刹那はそのまま二人に抱きつき、耳元で囁くように言った。
「ありがとう。もう既に一生忘れられない、大切な日になった。二人が精一杯私にしてくれたんだもの。もう充分、素敵なプレゼントだよ。……二人とも、大好き。」
それを聞いた二人の顔がぱっと晴れ、銀時はショックを受けてわなわなと身体を震わせ、刹那に大声で訴えた。
「おいおい、なんでその〝大好き〟に俺が入ってねぇのッ!?俺だって結構頑張ったんですけど!俺への厚い感謝の気持ちとかねぇわけッ?!」
「……」
「無視かよ!おいコラァッ!銀さん悲しくて泣いちゃうよ!?今すぐ落ち込んでこの場から退場しちゃうよ!」
「あー……はいはい。銀ちゃんも大好きだよ。」
「心困ってねぇよ、完っ然に棒読みだよ!!」
その場で泣き崩れる銀時に、刹那はフフっと小さく笑う。
「銀ちゃんなんてほっとくネ。刹那姉ちゃん!早くこっちネ!大きいケーキ作ったから早く見に来るアル!」
「あぁ、ちょっと神楽ちゃんッ!ずるいよ!」
刹那が神楽の手に引かれ、家の中へと導かれる。
そんな二人の楽しそうな後ろ姿を見て、銀時と新八は優しく微笑んだ。