Happy birthday
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刹那の身体を抱き抱え、猛スピードで地面へと落下していった神威を確認し、彼は再び全速力で走り出した。
「よぉ、無事かー刹那。」
丸一日会わなかったというのに、突然いなくなってしまったというのに、彼はいつも通りそう刹那に話しかけた。
彼の腕に抱かれたまま、刹那は俯いて黙り込む。
「おいおい、なんだよ聞いてる?せっかく銀さんがお前を狙う夜の狼からかっこよく救ってやったって言うのに、ありがとうの一言も言えねぇの?銀さんありがとー!すてき!かっこいい!大好き!みたいなさぁ。」
「……よ」
「え?」
彼女を抱える銀時の身体に、微かに彼女が身震いをしている振動が伝わる。
聞き取れなかった言葉にもう一度耳を傾けようとすると、今度は鼓膜が敗れるほどの大きな声で訴えられた。
「どの面下げて一日放置された男に〝ありがとう〟なんて言えるのよッッ!この大バカ天パクソ野郎ッ!」
「いっ……てぇな!そんな大声で怒鳴るこたぁねえだろーッ!」
「うっさい!下ろせ!今お前の顔が一番見たくなかったわ!!」
「あんだと!?じゃあなにか?!あの後ろの殺気立ってる誰かの腕に抱かれたままいたかったってか?!」
「今の銀時よか千倍マシだよ!っていうか、なんなのもう……」
「……刹那?」
「なんで、そんな普通なの……?私、昨日帰ってからみんなが急にいなくなって……どうしようって、また独りになっちゃったのかなって、不安で、不安でたまらなかったのにっ……」
「お、おまっ……」
両手で顔を覆う彼女を見て、銀時は言葉を詰まらせる。
「ばかぁーッ!あんたの顔なんてみたくなっ、ひっく、」
珍しくも子供らしく泣きじゃくる彼女を見て、銀時の鼓動は早まった。
こんな可愛らしいところが見れるとは思わなかった銀時は、会えなくて寂しがっていた刹那をいじってやりたくなり、足を止めた。
「なーに?刹那ちゃん、もしかして一時でも俺と離れ離れだった事がそんなに泣くほど寂しかったわけ?もー、欲しがりだな刹那は。言ってみ?銀ちゃん、私とずっと一緒にいてって。」
「……るさい、バカっ!欲しがりはテメェだっ!そんなこと言うわけな……ひっく、銀ちゃん嫌いぃぃーー」
「ええぇぇぇーーーッッ!」
からかった結果、一番胸に刺さる〝嫌い〟という言葉に痛みを覚えた銀時は、断念して肩で大きく息を吐いた。
「刹那、もう泣くな。俺が悪かったよ。だから、アイツらは怒らねぇでやってくれ。みんな、オメェのために必死になって準備してたんだよ。」
「……あいつらって、新八と神楽?」
「他に誰がいんだよ。」
「準備ってなんの……?」
「それはだから、今からそこに連れて……っつーか、ヅラにテメェを探させに行かせたんだけど、会ってねぇの?」
「……さっき会った。」
涙目で不貞腐れた刹那がそう答えると、銀時は吹き出した。
腹を抱えて笑う彼を見て、刹那の頬はさらに膨れる。
「な、なんで笑ってんの?!っていうか私、怒ってんだけどッ!」
「あー悪ぃ悪ぃ。オメェにも、そういう可愛らしい一面があるんだと思ってな。」
「……シバキ倒すぞてめぇ。」
「えぇっ?!褒め言葉なんですけど?!なんで俺がしばかれんの?!」
刹那が拳をわなわなと握り、銀時に一発かまそうとすれば、後方から物凄い勢いで近づいてくる複数の足音を耳にした。
「待てコラァーーッッ!」
「げっ!」
振り返ると、先程まで険悪なムードだった神威、海坊主、桂、沖田の四人がなぜか意気投合したかのように、肩を並べてこちらに一直線に向かってきている。
各々の目は殺意を放ち、それは銀時に向けられていることが分かると、彼は青ざめた顔に一瞬で変わり、刹那の手を取って再び走り出した。
「ちょっ、銀時ッ!」
刹那の少し前では、顔をひきつらせて全速力で足を動かす銀時の姿。
そしてそれを煽るかのように、彼らは罵声を飛ばした。
「旦那ァ、今刹那泣かせてやしたよね。俺ァこの目でしっかり見ましたよ。切腹ですぜぃ」
「刹那を泣かす奴は例え銀時であろうと許さんからなッッ!!切腹だァッッ!」
「てめぇ、もしかしたら俺の義理の娘になるかもらしれねぇ刹那ちゃん泣かしやがって!」
「人の獲物を横取りするなんて、死ぬ覚悟できてるよね!」
「うるせーよッッ!こいつがこんなに泣くなんて、銀さんだって思ってなかったっつーの!!つーかヅラ、テメェはなんでそっち側についてんだよ!!だいたい、なんっで刹那一人迎えに行くのにこんなややこしいことになってんだ!」
「……」
刹那は彼らの言葉を聞き、思わず言葉を失う。
そして彼らから逃れるために、銀時は必死になって走り続ける。
しばらくその光景を見て、今まで泣いたり落ち込んだりしていた刹那も、初めて心の底から笑う声を上げたのだ。
「……あははっ!なにこれ、おかしい!もうわけわかんない。」
銀時はそんな彼女を見て、小さく口元に弧を描く。
そして走りながら、彼女にこう言った。
「バカヤロー。オメェがホントに心の底から楽しいと思わせるのは、これからだ。」
「え?」
「オメェを一人にさせたのは、金輪際ねぇよ、今日だけだ。これからはお前が鬱陶しいって言っても、離れてやんねぇから覚悟しろ。」
「……え?」
「…やっぱ、一番最初に言うのは俺がいーんだよな。うん。あー……くそ、恥ずかしぃんだよ俺だって。」
「……銀時?」
ぶつくさ独り言を言う銀時の顔を覗き込むと、彼は頭をかきむしって、目を逸らしたまま小さな声で彼女にこう言った。
「刹那、誕生日おめでとう。」
思わぬ一言に、刹那は思わずポカンと口を空けて頭が真っ白になる。
もう一度彼に今言われた言葉を頭の中でリピートし、素直に口に出た返事は…ーーー
「……へ?」
「よぉ、無事かー刹那。」
丸一日会わなかったというのに、突然いなくなってしまったというのに、彼はいつも通りそう刹那に話しかけた。
彼の腕に抱かれたまま、刹那は俯いて黙り込む。
「おいおい、なんだよ聞いてる?せっかく銀さんがお前を狙う夜の狼からかっこよく救ってやったって言うのに、ありがとうの一言も言えねぇの?銀さんありがとー!すてき!かっこいい!大好き!みたいなさぁ。」
「……よ」
「え?」
彼女を抱える銀時の身体に、微かに彼女が身震いをしている振動が伝わる。
聞き取れなかった言葉にもう一度耳を傾けようとすると、今度は鼓膜が敗れるほどの大きな声で訴えられた。
「どの面下げて一日放置された男に〝ありがとう〟なんて言えるのよッッ!この大バカ天パクソ野郎ッ!」
「いっ……てぇな!そんな大声で怒鳴るこたぁねえだろーッ!」
「うっさい!下ろせ!今お前の顔が一番見たくなかったわ!!」
「あんだと!?じゃあなにか?!あの後ろの殺気立ってる誰かの腕に抱かれたままいたかったってか?!」
「今の銀時よか千倍マシだよ!っていうか、なんなのもう……」
「……刹那?」
「なんで、そんな普通なの……?私、昨日帰ってからみんなが急にいなくなって……どうしようって、また独りになっちゃったのかなって、不安で、不安でたまらなかったのにっ……」
「お、おまっ……」
両手で顔を覆う彼女を見て、銀時は言葉を詰まらせる。
「ばかぁーッ!あんたの顔なんてみたくなっ、ひっく、」
珍しくも子供らしく泣きじゃくる彼女を見て、銀時の鼓動は早まった。
こんな可愛らしいところが見れるとは思わなかった銀時は、会えなくて寂しがっていた刹那をいじってやりたくなり、足を止めた。
「なーに?刹那ちゃん、もしかして一時でも俺と離れ離れだった事がそんなに泣くほど寂しかったわけ?もー、欲しがりだな刹那は。言ってみ?銀ちゃん、私とずっと一緒にいてって。」
「……るさい、バカっ!欲しがりはテメェだっ!そんなこと言うわけな……ひっく、銀ちゃん嫌いぃぃーー」
「ええぇぇぇーーーッッ!」
からかった結果、一番胸に刺さる〝嫌い〟という言葉に痛みを覚えた銀時は、断念して肩で大きく息を吐いた。
「刹那、もう泣くな。俺が悪かったよ。だから、アイツらは怒らねぇでやってくれ。みんな、オメェのために必死になって準備してたんだよ。」
「……あいつらって、新八と神楽?」
「他に誰がいんだよ。」
「準備ってなんの……?」
「それはだから、今からそこに連れて……っつーか、ヅラにテメェを探させに行かせたんだけど、会ってねぇの?」
「……さっき会った。」
涙目で不貞腐れた刹那がそう答えると、銀時は吹き出した。
腹を抱えて笑う彼を見て、刹那の頬はさらに膨れる。
「な、なんで笑ってんの?!っていうか私、怒ってんだけどッ!」
「あー悪ぃ悪ぃ。オメェにも、そういう可愛らしい一面があるんだと思ってな。」
「……シバキ倒すぞてめぇ。」
「えぇっ?!褒め言葉なんですけど?!なんで俺がしばかれんの?!」
刹那が拳をわなわなと握り、銀時に一発かまそうとすれば、後方から物凄い勢いで近づいてくる複数の足音を耳にした。
「待てコラァーーッッ!」
「げっ!」
振り返ると、先程まで険悪なムードだった神威、海坊主、桂、沖田の四人がなぜか意気投合したかのように、肩を並べてこちらに一直線に向かってきている。
各々の目は殺意を放ち、それは銀時に向けられていることが分かると、彼は青ざめた顔に一瞬で変わり、刹那の手を取って再び走り出した。
「ちょっ、銀時ッ!」
刹那の少し前では、顔をひきつらせて全速力で足を動かす銀時の姿。
そしてそれを煽るかのように、彼らは罵声を飛ばした。
「旦那ァ、今刹那泣かせてやしたよね。俺ァこの目でしっかり見ましたよ。切腹ですぜぃ」
「刹那を泣かす奴は例え銀時であろうと許さんからなッッ!!切腹だァッッ!」
「てめぇ、もしかしたら俺の義理の娘になるかもらしれねぇ刹那ちゃん泣かしやがって!」
「人の獲物を横取りするなんて、死ぬ覚悟できてるよね!」
「うるせーよッッ!こいつがこんなに泣くなんて、銀さんだって思ってなかったっつーの!!つーかヅラ、テメェはなんでそっち側についてんだよ!!だいたい、なんっで刹那一人迎えに行くのにこんなややこしいことになってんだ!」
「……」
刹那は彼らの言葉を聞き、思わず言葉を失う。
そして彼らから逃れるために、銀時は必死になって走り続ける。
しばらくその光景を見て、今まで泣いたり落ち込んだりしていた刹那も、初めて心の底から笑う声を上げたのだ。
「……あははっ!なにこれ、おかしい!もうわけわかんない。」
銀時はそんな彼女を見て、小さく口元に弧を描く。
そして走りながら、彼女にこう言った。
「バカヤロー。オメェがホントに心の底から楽しいと思わせるのは、これからだ。」
「え?」
「オメェを一人にさせたのは、金輪際ねぇよ、今日だけだ。これからはお前が鬱陶しいって言っても、離れてやんねぇから覚悟しろ。」
「……え?」
「…やっぱ、一番最初に言うのは俺がいーんだよな。うん。あー……くそ、恥ずかしぃんだよ俺だって。」
「……銀時?」
ぶつくさ独り言を言う銀時の顔を覗き込むと、彼は頭をかきむしって、目を逸らしたまま小さな声で彼女にこう言った。
「刹那、誕生日おめでとう。」
思わぬ一言に、刹那は思わずポカンと口を空けて頭が真っ白になる。
もう一度彼に今言われた言葉を頭の中でリピートし、素直に口に出た返事は…ーーー
「……へ?」