Happy birthday
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神楽の兄であると名乗った神威は、素早い動きで刹那を運びながらある町はずれの木造の小屋へと到着した。
その小屋の中は至ってシンプルで、人一人寝れるベッドがひとつに生活上必要最低限のものが置かれている程度。
テレビだのソファだの、そういう家具は一切ない。
まるで寝るためだけに用意された部屋だった。
刹那は丁寧にそのベッドへと下ろされ、彼は二ッと笑みを浮かべて部屋の奥へと行った。
沖田が言っていたような、生易しい奴でないというのは何となくわかる。
ニコニコ笑顔を浮かべているわりには、心の中で何を考えているのかよく分からない。そして夜兎族というのもあってか、確かに強さを秘めているのはひしひしと伝わってくる。
けれども、長く戦い続けてきた刹那にとっては、彼が自分に殺意がない事くらいは理解していた。
「はい、お姉さん。そのままじゃ風邪ひいちゃうよ。」
そう言って差し出してくれたのは、大きなタオル。
このずぶ濡れになった自分に、身体を拭けと言っているのか。
刹那はポカンと口を開けて、ひとまずそのタオルを受け取った。
「ありがとう、神威…くん。」
「神威でいいよ。なんか違和感しかないから。」
「あ、うんありがとう。」
「まさかお姉さんが幕府の犬であるアイツと知り合いだったとはねぇ。俺が攫っちゃったせいで、すっかり殺気立っちゃってたよ?もしかして、お姉さんの恋人?」
「いや、違うけど……。そういう神威こそ、なんかただならぬ恨みを買ってるの?あんな殺意全開の総悟、そうそう見れるもんじゃないよ。」
「ははっ!別に恨みを買ったつもりはないさ。ただ
、俺は夜兎の血が流れてる。だから、闘いを求めて走り続け、あの男とも真っ向からぶつかった事がある。それだけだよ。」
しれっと話す神威の言葉に、刹那はなるほど、と呟いた。
だが、次に放った一言は一瞬にして彼の雰囲気を変えさせた。
「でも、アイツの攻撃を簡単に受け止めたお姉さんも、凄いよね?やっぱり俺を追いかけられるだけあって、強いんだね。」
ぞくり、と背筋が凍るような獣の目。
強い者を求めている、闘いを求めている。そんな顔だ。
だが、刹那は小さく息を吐いて首を振った。
「私は強くなんかないよ。ただの臆病者。あなたと彼を、闘わせたくなかっただけ。」
「…ふぅん、そっか。まぁそんな警戒しなくてもいい。安心してよ。」
「え?」
少し警戒心を抱いたことを悟られた刹那は、情けない声をあげる。それを見ていた神威は、また無邪気にニコニコ微笑んでは、こう続けた。
「俺は女と子供は殺さない主義だから。だって、女は子供を産むだろ?生まれてきた子供が強いかもしれないし、子供だってこれから強くなるかもしれない。しかもお姉さんみたいな強い人からだったら、更に強い子供が産めるかもしれないでしょ。」
「……なんつー理屈だ。」
思わず呆れて目を細める。
彼はははっと声を上げて笑い、再び刹那を見つめた。
「じゃあ、お姉さんと夜兎の血を交えたとしたら、どんな最強の子が生まれるんだろうね。」
「どうかな。私の血が強ければ、せっかくの夜兎の血が薄れてしまって勿体ないよ。」
しれっと返す刹那に、神威は苦笑いをうかべる。
彼は強くて凛とした姿である彼女に、早くも興味を抱いていた。
さっきの真選組の男の一撃をあのタイミングで瞬時に受け止めた姿を一目見て、彼女がどれ程強いのか。どんな表情をして闘うのか。そして、どんな顔をして涙を流すのか。いろんな表情が見たくなった、と言うのが一番しっくりくるだろう。
だがそれよりも先に、彼女が自分の妹をあんなに必死になって探していたところが気にかかっていた神威は、再び彼女に尋ねた。
「ところで、どうしてうちの妹を探してたんだ?」
「あぁ……。私は神楽と一緒に……万事屋やっててね。一緒に住んでたんだけど……」
「……?」
「昨日から、帰ってこなくて。こんな事初めてだったから、どうしたのかなって思って、心配になって探してたの。」
「……ふぅん。お姉さんが探してるのは、アイツだけ?それともアイツの兄貴ヅラして一緒にいる、銀髪の侍もとメガネかけた奴も??」
「驚いた、銀時と新八のことまで知ってるの?」
「知ってるさ。あの一味は全員。」
「…地球人と結構顔見知りなのね。」
「ごく一部だけだよ。言ったろ、俺は強い奴が好きだって。強い奴と闘いたいだけなんだ。だから……お姉さんも、俺と一度闘ってみない?」
真っ直ぐ、ド直球な殺意を向けてみる。
だが神威の殺意には目もくれず、刹那は小さくため息を零して首を横に振った。
「闘う理由が私には無い。ましてやこの雨の中、こうして雨宿りもさせてくれてるし、そんな人に剣は向けれないよ。」
「…ふぅん。じゃあ、さっきの奴がここまで追いかけてきて、俺があいつを殺したら、お姉さんは敵討ちで闘う?」
「……彼を殺すのは君でも無理だよ。もちろん私はどちらも殺せないし、殺させない。」
殺意を向ける神威の目を、真っ直ぐ見つめ返す。
その堂々と応える刹那の凛々しい姿を見て、神威はふいをつかれ、思わず声を上げて笑った。
「ははっ!だめだ、俺はお姉さんに到底適いそうにない。」
「……笑いすぎだよ。」
「俺、お姉さん気に入っちゃった。万事屋なんかやめて、俺と一緒にいろんな星まわらない?今みたいに、独りぼっちにもさせないし、俺が毎日一緒にいるよ。」
「……?」
「それにさ、随分懐いてたんじゃない?アイツ。」
「……たぶん。お姉ちゃんって呼んでるくらいだから。」
「だろうね。何となくそんな気がした。じゃあ、どうかな?アイツの本物のお姉さんになるっていうのは。」
「え?それ、どういう意味……」
「俺の子供をあんたに産んでもらいた……」
神威が最後まで口にする瞬間、物凄く大きな岩が彼の顔面を襲いかかり、言葉は途切れ、刹那は言葉を失った。
その小屋の中は至ってシンプルで、人一人寝れるベッドがひとつに生活上必要最低限のものが置かれている程度。
テレビだのソファだの、そういう家具は一切ない。
まるで寝るためだけに用意された部屋だった。
刹那は丁寧にそのベッドへと下ろされ、彼は二ッと笑みを浮かべて部屋の奥へと行った。
沖田が言っていたような、生易しい奴でないというのは何となくわかる。
ニコニコ笑顔を浮かべているわりには、心の中で何を考えているのかよく分からない。そして夜兎族というのもあってか、確かに強さを秘めているのはひしひしと伝わってくる。
けれども、長く戦い続けてきた刹那にとっては、彼が自分に殺意がない事くらいは理解していた。
「はい、お姉さん。そのままじゃ風邪ひいちゃうよ。」
そう言って差し出してくれたのは、大きなタオル。
このずぶ濡れになった自分に、身体を拭けと言っているのか。
刹那はポカンと口を開けて、ひとまずそのタオルを受け取った。
「ありがとう、神威…くん。」
「神威でいいよ。なんか違和感しかないから。」
「あ、うんありがとう。」
「まさかお姉さんが幕府の犬であるアイツと知り合いだったとはねぇ。俺が攫っちゃったせいで、すっかり殺気立っちゃってたよ?もしかして、お姉さんの恋人?」
「いや、違うけど……。そういう神威こそ、なんかただならぬ恨みを買ってるの?あんな殺意全開の総悟、そうそう見れるもんじゃないよ。」
「ははっ!別に恨みを買ったつもりはないさ。ただ
、俺は夜兎の血が流れてる。だから、闘いを求めて走り続け、あの男とも真っ向からぶつかった事がある。それだけだよ。」
しれっと話す神威の言葉に、刹那はなるほど、と呟いた。
だが、次に放った一言は一瞬にして彼の雰囲気を変えさせた。
「でも、アイツの攻撃を簡単に受け止めたお姉さんも、凄いよね?やっぱり俺を追いかけられるだけあって、強いんだね。」
ぞくり、と背筋が凍るような獣の目。
強い者を求めている、闘いを求めている。そんな顔だ。
だが、刹那は小さく息を吐いて首を振った。
「私は強くなんかないよ。ただの臆病者。あなたと彼を、闘わせたくなかっただけ。」
「…ふぅん、そっか。まぁそんな警戒しなくてもいい。安心してよ。」
「え?」
少し警戒心を抱いたことを悟られた刹那は、情けない声をあげる。それを見ていた神威は、また無邪気にニコニコ微笑んでは、こう続けた。
「俺は女と子供は殺さない主義だから。だって、女は子供を産むだろ?生まれてきた子供が強いかもしれないし、子供だってこれから強くなるかもしれない。しかもお姉さんみたいな強い人からだったら、更に強い子供が産めるかもしれないでしょ。」
「……なんつー理屈だ。」
思わず呆れて目を細める。
彼はははっと声を上げて笑い、再び刹那を見つめた。
「じゃあ、お姉さんと夜兎の血を交えたとしたら、どんな最強の子が生まれるんだろうね。」
「どうかな。私の血が強ければ、せっかくの夜兎の血が薄れてしまって勿体ないよ。」
しれっと返す刹那に、神威は苦笑いをうかべる。
彼は強くて凛とした姿である彼女に、早くも興味を抱いていた。
さっきの真選組の男の一撃をあのタイミングで瞬時に受け止めた姿を一目見て、彼女がどれ程強いのか。どんな表情をして闘うのか。そして、どんな顔をして涙を流すのか。いろんな表情が見たくなった、と言うのが一番しっくりくるだろう。
だがそれよりも先に、彼女が自分の妹をあんなに必死になって探していたところが気にかかっていた神威は、再び彼女に尋ねた。
「ところで、どうしてうちの妹を探してたんだ?」
「あぁ……。私は神楽と一緒に……万事屋やっててね。一緒に住んでたんだけど……」
「……?」
「昨日から、帰ってこなくて。こんな事初めてだったから、どうしたのかなって思って、心配になって探してたの。」
「……ふぅん。お姉さんが探してるのは、アイツだけ?それともアイツの兄貴ヅラして一緒にいる、銀髪の侍もとメガネかけた奴も??」
「驚いた、銀時と新八のことまで知ってるの?」
「知ってるさ。あの一味は全員。」
「…地球人と結構顔見知りなのね。」
「ごく一部だけだよ。言ったろ、俺は強い奴が好きだって。強い奴と闘いたいだけなんだ。だから……お姉さんも、俺と一度闘ってみない?」
真っ直ぐ、ド直球な殺意を向けてみる。
だが神威の殺意には目もくれず、刹那は小さくため息を零して首を横に振った。
「闘う理由が私には無い。ましてやこの雨の中、こうして雨宿りもさせてくれてるし、そんな人に剣は向けれないよ。」
「…ふぅん。じゃあ、さっきの奴がここまで追いかけてきて、俺があいつを殺したら、お姉さんは敵討ちで闘う?」
「……彼を殺すのは君でも無理だよ。もちろん私はどちらも殺せないし、殺させない。」
殺意を向ける神威の目を、真っ直ぐ見つめ返す。
その堂々と応える刹那の凛々しい姿を見て、神威はふいをつかれ、思わず声を上げて笑った。
「ははっ!だめだ、俺はお姉さんに到底適いそうにない。」
「……笑いすぎだよ。」
「俺、お姉さん気に入っちゃった。万事屋なんかやめて、俺と一緒にいろんな星まわらない?今みたいに、独りぼっちにもさせないし、俺が毎日一緒にいるよ。」
「……?」
「それにさ、随分懐いてたんじゃない?アイツ。」
「……たぶん。お姉ちゃんって呼んでるくらいだから。」
「だろうね。何となくそんな気がした。じゃあ、どうかな?アイツの本物のお姉さんになるっていうのは。」
「え?それ、どういう意味……」
「俺の子供をあんたに産んでもらいた……」
神威が最後まで口にする瞬間、物凄く大きな岩が彼の顔面を襲いかかり、言葉は途切れ、刹那は言葉を失った。