Happy birthday
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
降り続ける雨のせいで足元が悪い。
それでも刹那はただ、必死に足を前へ前へ動かした。
見間違えるはずはない。
一般的なものよりも大きくて丈夫な、紫色のあの和傘を。
あれを闘いの武器として、日差しに弱い身体を護るための、あの子にとって大切な傘を。
本人が気づかぬうちに、徐々に人気がなくなる道へと導かれていた。
そうしてようやく、その手に届いた時。
辺りには誰もおらず、雨の中たった二人だけの世界となった。
「待って!!神楽ッッ!」
パシッと手を勢いよく掴むと、その傘をさした者は振り返り、微笑んでいた。
だが、確かに使っている傘は同じでも、刹那が思い描いていた人物とはまた違い、ハッと我に返る。
「あっ……ごめんなさい、私人違いを…」
「…お姉さん、すごいや。俺の後を追いかけてこれるなんて。もしかして、この国の侍ってやつ?あ、でも侍は男か。」
「えっ?」
「今俺とアイツと間違えたみたいだけど、アイツの知り合い?」
神楽とは似使わぬ低い声。けれども、神楽と同じ髪の色にどことなく似ている目付きや雰囲気。
以前、神楽から家族の話を聞いたことがあったことを思い出した。
もしかして、と刹那が頭の中でひとつの仮説に辿り着く。
「もしかして、君が神楽のお兄ちゃんの…神威……くん?」
「あれ?俺の事知ってるんだ。…ところでお姉さんは、何者?っていうか、何で傘持ってないの?濡れちゃうよ?」
少年のような無邪気な顔で、そっと傘を刹那の頭上にかける。
髪の先からポタリ、ポタリと雫を垂らしている刹那は未だに神威を見つめていたかと思えば、くしゃりと笑みを浮かべた。
「…参ったなぁ。思ったより重症だ。」
この青年に〝お姉さん〟と呼ばれるだけで、神楽がいつもの様に〝刹那姉ちゃん〟と呼ぶ笑顔と声が頭の中で木霊する。
予想以上に万事屋の皆に執着していた刹那は自分の心を知って、情けなくなったのだ。
「……」
神威は彼女の顔を見て、心打たれた。
この女の中に秘めている気持ちはなんだろう、そして撒くように動いていた自分をいとも簡単に捕まえたこの女は、一体何者なのか、と珍しく興味を抱いたのだ。
もう一度彼女に名を尋ねようとした時、第三者の声が耳に入った。
「刹那ッッ!!」
気づけば彼女の後方に、ようやく追いついたと思われる沖田の姿があった。
だがいつもと様子が違い、既に抜刀しており今にも斬りかかりそうな雰囲気を顕にしていた。
「そっ、総悟……?!」
「何考えてるか知らねぇが、その人から手を離せよクソ野郎!っていうか、てめぇなんでまだ地球にいやがる……!」
「なんか血の気の多い奴が来たなぁ。っていうか、手を離せ?心外なんだけど。どっちかって言うと、俺が掴まれてる方なんだけどな。」
刹那から見ると、仲良しという訳では無いがどうやら二人は顔見知りのようだった。
「…お姉さん、刹那って言うんだ。悪いけど、俺ちょっと話したいことあるから、このまま連れていくよ。」
「えっ……?」
「させるかよッッ!」
気づけば総悟が近づき、その一太刀を神威に当てようとする。
刹那は致し方なく隠していた刀を抜き、それを抑えた。
「何しやがんでィ刹那ッ!そこをどけッ!そいつはあんたが思っているような生優しい奴じゃねぇんだッ!」
「でも、待って総悟!私は特に何もされてないし、私が彼をあの子と見間違えただけだから!とりあえず落ち着い……」
「すごいすごいッッ!コイツのあの殺気だった攻撃を受け止めるなんてっ!お姉さん凄いやっ!」
当の本人である神威はなぜか後ろではしゃいでいる。
しかし、沖田が刹那に攻撃をしても意味が無いと一旦離れたその時、自分の体がふわりと宙に浮いたかと思えば、神威の肩に担がれ地面から足が離れていた。
「え?!あ、あの、ちょっ……!」
「……じゃあまたね。」
「ーッ、待ちやがれッッ!!刹那ーーーッッ!」
あっという間に距離は離れていき、沖田の叫び声を耳にしながら、抵抗する間もなく神威に連れられ、自分の身を心配する彼からどんどん遠のいて行くのであった。
それでも刹那はただ、必死に足を前へ前へ動かした。
見間違えるはずはない。
一般的なものよりも大きくて丈夫な、紫色のあの和傘を。
あれを闘いの武器として、日差しに弱い身体を護るための、あの子にとって大切な傘を。
本人が気づかぬうちに、徐々に人気がなくなる道へと導かれていた。
そうしてようやく、その手に届いた時。
辺りには誰もおらず、雨の中たった二人だけの世界となった。
「待って!!神楽ッッ!」
パシッと手を勢いよく掴むと、その傘をさした者は振り返り、微笑んでいた。
だが、確かに使っている傘は同じでも、刹那が思い描いていた人物とはまた違い、ハッと我に返る。
「あっ……ごめんなさい、私人違いを…」
「…お姉さん、すごいや。俺の後を追いかけてこれるなんて。もしかして、この国の侍ってやつ?あ、でも侍は男か。」
「えっ?」
「今俺とアイツと間違えたみたいだけど、アイツの知り合い?」
神楽とは似使わぬ低い声。けれども、神楽と同じ髪の色にどことなく似ている目付きや雰囲気。
以前、神楽から家族の話を聞いたことがあったことを思い出した。
もしかして、と刹那が頭の中でひとつの仮説に辿り着く。
「もしかして、君が神楽のお兄ちゃんの…神威……くん?」
「あれ?俺の事知ってるんだ。…ところでお姉さんは、何者?っていうか、何で傘持ってないの?濡れちゃうよ?」
少年のような無邪気な顔で、そっと傘を刹那の頭上にかける。
髪の先からポタリ、ポタリと雫を垂らしている刹那は未だに神威を見つめていたかと思えば、くしゃりと笑みを浮かべた。
「…参ったなぁ。思ったより重症だ。」
この青年に〝お姉さん〟と呼ばれるだけで、神楽がいつもの様に〝刹那姉ちゃん〟と呼ぶ笑顔と声が頭の中で木霊する。
予想以上に万事屋の皆に執着していた刹那は自分の心を知って、情けなくなったのだ。
「……」
神威は彼女の顔を見て、心打たれた。
この女の中に秘めている気持ちはなんだろう、そして撒くように動いていた自分をいとも簡単に捕まえたこの女は、一体何者なのか、と珍しく興味を抱いたのだ。
もう一度彼女に名を尋ねようとした時、第三者の声が耳に入った。
「刹那ッッ!!」
気づけば彼女の後方に、ようやく追いついたと思われる沖田の姿があった。
だがいつもと様子が違い、既に抜刀しており今にも斬りかかりそうな雰囲気を顕にしていた。
「そっ、総悟……?!」
「何考えてるか知らねぇが、その人から手を離せよクソ野郎!っていうか、てめぇなんでまだ地球にいやがる……!」
「なんか血の気の多い奴が来たなぁ。っていうか、手を離せ?心外なんだけど。どっちかって言うと、俺が掴まれてる方なんだけどな。」
刹那から見ると、仲良しという訳では無いがどうやら二人は顔見知りのようだった。
「…お姉さん、刹那って言うんだ。悪いけど、俺ちょっと話したいことあるから、このまま連れていくよ。」
「えっ……?」
「させるかよッッ!」
気づけば総悟が近づき、その一太刀を神威に当てようとする。
刹那は致し方なく隠していた刀を抜き、それを抑えた。
「何しやがんでィ刹那ッ!そこをどけッ!そいつはあんたが思っているような生優しい奴じゃねぇんだッ!」
「でも、待って総悟!私は特に何もされてないし、私が彼をあの子と見間違えただけだから!とりあえず落ち着い……」
「すごいすごいッッ!コイツのあの殺気だった攻撃を受け止めるなんてっ!お姉さん凄いやっ!」
当の本人である神威はなぜか後ろではしゃいでいる。
しかし、沖田が刹那に攻撃をしても意味が無いと一旦離れたその時、自分の体がふわりと宙に浮いたかと思えば、神威の肩に担がれ地面から足が離れていた。
「え?!あ、あの、ちょっ……!」
「……じゃあまたね。」
「ーッ、待ちやがれッッ!!刹那ーーーッッ!」
あっという間に距離は離れていき、沖田の叫び声を耳にしながら、抵抗する間もなく神威に連れられ、自分の身を心配する彼からどんどん遠のいて行くのであった。