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例えどんな姿になったとしても。

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別人に成り済ますため、とっさにつけた名前(一部の短編でしか使用しません。)

なんとか銀時と周囲の奴らにバレぬよう、一週間を過ごした頃。
タマに誘導されて、銀時の目を盗んでは源外の元へ再びやってきた。

「源外さん、できました?元の姿に戻る方法。」

「俺を誰だと思っとる!天才からくり技師だぞ?ほれ、あの装置に入れ。今すぐボンキュッボンの魅力的な体にもどしちゃる。」

「なっ…」

この期に及んでセクハラ発言をした源外に思わず突っ込んでやろうとすれば、突如現れた一人の姿を見てそれを止めた。

「おいコラジジィてめぇ。どさくさに紛れてセクハラ発言してんじゃねぇよ。っつーか何鼻血出してんだよ。」

「ぎ、銀の時!」
「銀時!」

気づけば源外の胸倉を掴んで眉間に皺を寄せている銀時の姿があり、三人は驚きの表情を見せた。

「お、おい姉ちゃん!銀の時にはいうなってあれほど…!」

「い、いやだって…!」

「おいおいジジィ。なめんなよ?こいつがガキの姿になろうが、俺が見抜けねぇわけねぇだろーが。アイツに感謝住んだな。ジジィは良かれと思ってやった結果だから、怒んなよって念を押しやがったから目を瞑ってんだ。とっととこのくだらねぇ状況を改善しやがれコノヤロー」

「今やるとこだよ!もーいいからテメェはそこに座ってまってろ!」

銀時の手を離して源外は自作の機械の前へと向かう。
刹那は服を脱いで再び以前と同じ装置の中へと入り、静かに目を閉じた。

この一週間、子供の姿になっていろいろ分かった事があった。
刹那という存在を、第三者として全く別の視点で。いろんな人から彼女の事を耳にすると、私はとてつもなく周りの人に大事にされているんだという事を実感した。
そして、それを一番思い知らされたのは、他でもない銀時だった。
普段は他人に興味がなさそうな素振りを見せるも、何かあれば全力で護り、全力で助けてくれる。
そして自分との過去の思い出を、隅から隅まで覚えていてくれた事。

自分がどんな姿になっても、俺には分かると言ってくれた事。

それが何よりも嬉しかった。
刹那は深呼吸をして心を落ち着かせ、源外の合図を待つ。

「…じゃあ、いくぞぃ」

その一言で、スイッチが押されて再び煙が帯びる。
前回同様、その煙を吸い込んで咽ては、ピコンという機械音が鳴り手前の扉が開く。

自分の全裸姿を二人に見られないよう、タマが正面に立ち、そっと服を差し出してくれた。

「…ありがとう、タマ。」

「いえ。これくらい、お安い御用です。」

にっこりと微笑むタマを見て、つられて刹那も笑みを浮かべる。
手渡された服に袖を通せば、サイズはぴったりだった。
着終わる頃に、辺りにあった煙も消えてなくなり、ようやく銀時と源外の姿がはっきり見えた時、銀時は口元に弧を描き、源外は首を傾げていた。

「あれ、おっかしーなァ。今度こそ傷、消せると思ったんだが…」

襟の部分からはっきり見える傷跡を見て、源外がそう呟くと、刹那はフッと笑みを浮かべてこう返した。

「源外さん、まぁ失敗したとはいえそのお気持ちだけで十分ですよ。ずっと言えなかったんですが、私はこの傷の事。一切気にしてませんので大丈夫です。消えようが消えなかろうが、これが私であるという特徴の一つになりますから。」

そういうと、銀時はニッと更に口角をあげた。

「で、でもよぉ…」

「アイツがいいって言ってんだからいーじゃねぇか。それに正直、傷が消えて刹那が露出度高い服着て街歩かれちゃ、俺もたまったもんじゃねーよ。」

「…もとはと言えばお前が…まぁいいか。」

源外は銀時につっかかるのをやめては、もう一度刹那を見つめた。

「悪かったなァ。散々な目に合わせちまって…」

「ううん。結果としてよかったです。別の人間になって、銀時にとって…この町にとって私がどういう風に思われている人間かっていうのが、ちょっとわかったような気がしたから。」

「おめぇさん…」

源外にとって刹那のいうその言葉には、深い意味が込められているような気がした。

「…ありがとう、源外さん。でももう実験台にはならないんで、次はないですけどね。」

彼女がそう言ってほほ笑んだ時、源外もつられて笑った。

ーーーはっ、いい顔しやがる。

そう心の中で吐いては、楽しそうに銀時と帰路につく二人の後姿を見送ったのだった。
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