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例えどんな姿になったとしても。

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別人に成り済ますため、とっさにつけた名前(一部の短編でしか使用しません。)

「おいおい、おっさん達共。ガキ一人相手に何人がかりだよ。」

「なんだぁ?てめぇは!」

月が雲に隠れ、その姿ははっきりとは見えない。だが刹那がその声を聞き間違えるわけもなく、はっと驚いてはその姿に目を奪われた。

「そいつぁ俺のガキでな。悪ぃんだけど手ぇひいてくれねぇか。」

「銀ッ、……」

「邪魔する奴はすっこんでろぉぉぉッッ!」

彼の名を呼ぶ前に、周囲にいた奴らが一斉に彼に斬りかかる。
だが銀時の機嫌の悪さを一瞬で悟った刹那は、脇差から手を離し、その争いを見守ることにした。

彼が負けるはずもないからだ。

あっという間に奴らは身体ごと振り飛ばされ、河原へ落ちていく。
人盛りだった橋の上も、立っているのは見事に二人きりとなった。

「ったく…、世話の焼ける奴だな。」

「……」

何も言わない刹那に、ゆっくりと歩み寄り近づいてくる銀時を見て、彼女は言葉を失った。

彼の赤い瞳は、先程まで自分との過去を思い浮かべていた時と同じ、優しい瞳をしていたからだ。

「ほら、帰んぞ。ただでさえ面倒事起こしてんだから、それ以上騒ぎ起こしてんじゃねーよ。大体なんだよそのザマは。見た目は子ども、頭脳は大人ってか?今どき流行りの名探偵じゃあるめぇし。」

「…ッ、気づいてたの?」

ようやく出た言葉はそれで、彼女の驚いた表情を見て銀時はフッと小さく笑った。

「俺が気づかねぇとでも思ったか?オメェの特徴が肩のキズだけだと思ってたら大間違いだ。」

「え。」

「だいたいテメェの姿を見慣れた俺が間違える訳ねぇだろ。あんま俺をナメてっとぶっ飛ばすぞコノヤロー」

「ね、ねぇ。私が私だって分かる特徴って他に何が…」

背中を向けて歩き出す銀時に、刹那が駆け寄って聞こうとすれば銀時が足を止めて振り返る。
刹那はピタリと足を止め、背の高い彼の目を見つめる。
すると銀時は両手を出し、刹那の体をひょいと持ち上げては抱き上げた。

「ちょ、ちょっと!」

「…何かと巻き込まれやすい性分で、他人を放っておけねぇバカが付くほどのお人よし具合、刀持ってねぇ時の極端の運動音痴さ、それから…」

銀時はそこで止めては、刹那の瞳をしっかりと見つめた。
そう、見間違えるはずもない。どんな姿になったって、刹那刹那だ。

そう心の中で呟き、再び口を開いた。

「その、曇りのねぇ真っすぐな蒼い瞳。テメェ以外の何者でもねぇよ。」

「…ッ」

「俺ァテメェが例え人間の姿じゃなくたって、猫だろうが犬になろうが、何に変わったって気づくさ。そうできるように、穴が開く程テメェを見てきたからな。」

「銀時…」

「ま、そんなチビの体じゃさっきの奴らにでも勝てねぇだろうからな。しばらくいい休養だと思って大人しくしとけ。並べたウソもそのうち本物になっちまうぞ」

意地の悪い笑みを浮かべてそういう銀時に、思わず目を細める。

刹那はそんな彼を見て、今までの経緯を振り返りある事に気が付いた。

「銀時、まさかわざと…!」

「こうでもしねぇと、テメェが正直に抱えてるモンを吐き出すタマかよ。まぁあのおっさん共が割り込んできたのは想定外だったけどな。」

「…はぁ。私の事をよく知っている銀時ゆえに、まんまと私を躍らせていたってわけか。」

酷く落胆する刹那
つまり、あのお登勢のスナックを出るときからこの男の作戦だったのだ。
最初から気づいていて、姿を消したはずの自分を探しに行こうとしていると思わせて単独行動にでる。
それを放っておけない自分が動いたところで、ようやくウソも突き通せない状況へ陥れば、自ら口を割るだろうという算段。

「敵わないなぁ、ほんっと。」

そう零した優しい声色を聞き、銀時はそのまま小さな体を肩に乗せて歩き出した。

「ほら帰んぞ。その間になんでテメェがそんな姿になっちまったか、詳しく聞いてやっから。」

「あー…うん。怒らないって約束してくれるなら、ちゃんと真相を話すよ。」

「そりゃ内容次第だ。」

「じゃあ言わない。」

「テメッ…銀さんの優しさ伝わってねぇの?なんならテメェが刹那だってほかの奴らにばらしてもいーんだぜ?」

「いや、それはなんかもう今更言えないんですけど。みんなもう別人だって信じてるんですけど。っていうか真選組の二人には絶対言わないでよ!散々子供扱いされて恥ずかしい思いしてきたんだから!」

「どーしよっかなー。」

「~~ッ!銀時の意地悪!」

ぽかぽかと頭を殴る刹那に、いてて!と何とかよけようとする銀時。
その二人を見れば、誰もが仲良しの兄弟…いや親子に見えなくもないような光景だった。

刹那は、源外に怒らないという約束を十分にしてから、事の事情を彼に説明しながら家へと帰っていった。
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