例えどんな姿になったとしても。
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「んじゃ俺、ちっと二軒目行ってくるから、テメェらお子様共は先に帰って大人しく寝てろよ。」
銀時がそう言ってお登勢の店を出たのは、今から数時間前の事。
神楽に手を引かれて刹那は帰り、床の間についたものの一向に眠れる気配はなかった。
銀時とだてに何年も一緒に過ごしてきたわけじゃない。
さっき程度の酒じゃあんな風に酔ってないのも知っている。
刹那はそっと起き上がり、この小さい体に相応しい脇差を手に取り、静かに家を出た。
大方銀時の事だから、ある程度悪あがきをして自分の事を探そうと闇雲に走っているに違いない。
左右を素早く確認しながら、誰もいない通りを素早く走り抜ける刹那。
そしてその小さな背中を、一人の男に見られたとも知らずに、刹那はただただ前を見て走り出したのであった。
かぶき町からだいぶ離れた先の河原までたどり着いた頃。
空を見上げれば、満月が鮮やかな光を灯していた。
かなりの広範囲で探したが銀時の姿は見当たらず、刹那は橋の真ん中でぼんやりとそれを眺めて足を休めた。
先刻銀時が自分の過去の話をした事を思い出しては、小さくため息を零す。
「弱ったなぁ…銀時があんな風に思ってくれてたんじゃ、私この体の事隠し通せる自信ないよ、源外さん。」
そんな弱音を吐いては、目の前にある月が写し出された川を眺める。
それを見て、先程彼が話していた松陽とのやりとりを思い出していた。
やっぱりせめて銀時だけには正直に言おう。
信じてくれなくてもいい。せめてもう、嘘はつきたくない。
刹那がそう意志を固めた時、一人の足音がこちらに近づいてくるのを耳にした。
振り返ると、腰に刀を差した侍が一人。
こちらを見て、にっこり微笑んでいるのが分かる。
男は自分の方に近づいてきては、ピタリと足を止めて刹那に声をかけたのだ。
「お嬢さん、こんな夜中に一人かい?このあたりは物騒だから危ないよ。」
「…」
刹那はただ、じっとその男を見上げ続けた。
「もしかして、帰れなくなっちゃったのかい?家はどのあたりだい?おじちゃんが、一緒についてってあげるから。さ。」
手のひらをこちらに差し出す男を見て、刹那はフッと笑みを浮かべた。
「物騒ってのは、おじさんみたいな人たちがいるから?」
「なっ…」
「それで隠してるつもりなんだろうけど、正直見え見えだよ。辺りに仲間を待機させといて優しいおじさんぶるってのもありきたりな手だねぇ。」
「優しくしてりゃ、つけ上がりやがってこのガキ……ッ!」
「優しく?最初から悪どい商売やるために下心見え見えで絡んできただけだろーが。そこらのガキと一緒にすんな。」
「ガキだろてめぇもッ!大人しくついてこりゃ手荒な真似だけはしねぇでおこうと思ったのに、もう知らねぇからなッ!」
その言葉が合図かのように、刹那の周りに何人もの輩が集まる。
あーあとため息をついて、肩を落とした。
「おじさん達、なんの商人やってんの?人身売買?」
「ガキをさらう理由に他になんの意味があんだよッッ!」
次々と刀を鞘から抜き、威嚇するようにゆっくりと近づいてくる。
刹那は奴らを見て、思わず独り言を零した。
「やれやれ、嘘がほんとになっちまった。さて、どうするかね。」
自分にあるのは脇差一本。
勝てなくはないが、今の戦闘能力にこの身体がついてこれるとも限らない。
戦い方を考えなければ、大口叩いても負けるがオチだ。
一瞬たりとも気は抜かない。
刹那がそう決意し、腰を低くして構えたところで、その場に近づく足音がもう一つ、聞こえてきたのであった。
銀時がそう言ってお登勢の店を出たのは、今から数時間前の事。
神楽に手を引かれて刹那は帰り、床の間についたものの一向に眠れる気配はなかった。
銀時とだてに何年も一緒に過ごしてきたわけじゃない。
さっき程度の酒じゃあんな風に酔ってないのも知っている。
刹那はそっと起き上がり、この小さい体に相応しい脇差を手に取り、静かに家を出た。
大方銀時の事だから、ある程度悪あがきをして自分の事を探そうと闇雲に走っているに違いない。
左右を素早く確認しながら、誰もいない通りを素早く走り抜ける刹那。
そしてその小さな背中を、一人の男に見られたとも知らずに、刹那はただただ前を見て走り出したのであった。
かぶき町からだいぶ離れた先の河原までたどり着いた頃。
空を見上げれば、満月が鮮やかな光を灯していた。
かなりの広範囲で探したが銀時の姿は見当たらず、刹那は橋の真ん中でぼんやりとそれを眺めて足を休めた。
先刻銀時が自分の過去の話をした事を思い出しては、小さくため息を零す。
「弱ったなぁ…銀時があんな風に思ってくれてたんじゃ、私この体の事隠し通せる自信ないよ、源外さん。」
そんな弱音を吐いては、目の前にある月が写し出された川を眺める。
それを見て、先程彼が話していた松陽とのやりとりを思い出していた。
やっぱりせめて銀時だけには正直に言おう。
信じてくれなくてもいい。せめてもう、嘘はつきたくない。
刹那がそう意志を固めた時、一人の足音がこちらに近づいてくるのを耳にした。
振り返ると、腰に刀を差した侍が一人。
こちらを見て、にっこり微笑んでいるのが分かる。
男は自分の方に近づいてきては、ピタリと足を止めて刹那に声をかけたのだ。
「お嬢さん、こんな夜中に一人かい?このあたりは物騒だから危ないよ。」
「…」
刹那はただ、じっとその男を見上げ続けた。
「もしかして、帰れなくなっちゃったのかい?家はどのあたりだい?おじちゃんが、一緒についてってあげるから。さ。」
手のひらをこちらに差し出す男を見て、刹那はフッと笑みを浮かべた。
「物騒ってのは、おじさんみたいな人たちがいるから?」
「なっ…」
「それで隠してるつもりなんだろうけど、正直見え見えだよ。辺りに仲間を待機させといて優しいおじさんぶるってのもありきたりな手だねぇ。」
「優しくしてりゃ、つけ上がりやがってこのガキ……ッ!」
「優しく?最初から悪どい商売やるために下心見え見えで絡んできただけだろーが。そこらのガキと一緒にすんな。」
「ガキだろてめぇもッ!大人しくついてこりゃ手荒な真似だけはしねぇでおこうと思ったのに、もう知らねぇからなッ!」
その言葉が合図かのように、刹那の周りに何人もの輩が集まる。
あーあとため息をついて、肩を落とした。
「おじさん達、なんの商人やってんの?人身売買?」
「ガキをさらう理由に他になんの意味があんだよッッ!」
次々と刀を鞘から抜き、威嚇するようにゆっくりと近づいてくる。
刹那は奴らを見て、思わず独り言を零した。
「やれやれ、嘘がほんとになっちまった。さて、どうするかね。」
自分にあるのは脇差一本。
勝てなくはないが、今の戦闘能力にこの身体がついてこれるとも限らない。
戦い方を考えなければ、大口叩いても負けるがオチだ。
一瞬たりとも気は抜かない。
刹那がそう決意し、腰を低くして構えたところで、その場に近づく足音がもう一つ、聞こえてきたのであった。