三.侍 時々 姫
name change
name changeお好きなお名前をどうぞ!
※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
退院して万事屋に戻った数日後。
視力も無事回復し、体もすっかりよくなって平穏な日常を送るはずだった刹那の前には既に、どうしたらいいか分からぬ状況に陥っていた。
「よかったぁぁぁ!!生きてたんだなぁぁ」
目の前で号泣するのは、先日夢にも出てきた兄貴面で自分を優しく見守っていた…はずの桂で、ここにいたるまでの経緯を説明した後から、ずっとこの状態だ。
銀時達も既に呆れた眼差しで彼を見つめ、頬杖をついて大きくため息を零す。
刹那自身、何もそこまで泣かなくてもいいのではないか、と内心秘めていた。
「おいヅラァ。いつまでそーしてんだ、もういーだろ。刹那が困ってんじゃねーか!」
「銀時!!貴様、刹那はこれまでに過酷な人生を送ってきたんだぞ!貴様はよく平然としていられるな!」
「いやーそりゃ最初は複雑だったけどよぉ…」
「分かるか?!天人達の手によって体をいじられ、おまけには奴らの都合により男から女に転生されてしまったんだぞ?!同じ男として、どう情けを掻けたらいいんだ俺はぁぁぁぁ!!」
「いや待て。おめぇとんでもねぇ勘違いしてんぞ」
「桂さん…刹那さんは転生されたんじゃなくて、元々女の人で…」
「新八君!確かに刹那は女性よりの綺麗な顔立ちをしていたが、列記とした男だぞ!」
「刹那姉ちゃんー…そろそろヅラ殴っていいアルか?」
「ま、まぁまぁ。小太郎が現実を受け止められないのも無理はないから。」
何を言っても耳を傾けない桂に、殺意を露にして目の前に立つ三人をなんとか宥めながらも、刹那は抱き着いて離れない桂へと視線を戻した。
銀時はそんな甘い刹那に愛想を抜かし、鼻をほじっては露骨にめんどくさいオーラを出して桂に事情を説明し始めた。
「いーかぁヅラ。よーく聞け。刹那はもともと女で、俺たちに男だと偽って一緒にいたんだ。まぁそれにもいろいろと事情はあるが…。んで、今は別に男だと偽る必要もねぇから、ありのままの女でいるわけ。分かるか?」
「ウソをつくな!刹那は男の中でも漢のような存在だったぞ!それがこんな姿に…!」
「だーかーらッ!それはあくまでも中身の話で、戸籍も体も女だったっつーの!」
「銀ちゃん、なんかその言い方厭らしい感じがぷんぷんするネ」
「なんだろう。銀さんが刹那さんを女だと主張すれば主張する程、厭らしい感じがしてくるのは気のせいだろうか」
「おいテメェら!何俺に軽蔑の眼差し向けてんだよ!」
「…」
自分をそっちのけにして万事屋三人でいがみ合いを始め、桂は未だ号泣状態。
しばらくはそれを見守っていたが、一向に進展しないこの状況に、刹那自身がとうとうしびれを切らした。
「いい加減にしろコラァ!!」
「ひぃっ!!」
突然怒鳴ったかと思えば、今の声に驚いて尻をついた桂の胸倉を掴み、いつもの刹那からは想像のつかない低い声で再び口を開いた。
「小太郎、いつまでも泣いてんじゃねぇ。悪かったな、一ミリも女っぽい要素がなくてよ。悪いけど、銀時の言ってる事は本当で、正真正銘生まてことのかたずっと女だ。天人に性別まで変えられるような事はしてねぇ。理解できたか?」
凄まじい怒りのオーラに、思わず桂も恐れのあまり小刻みに首を縦に振る。
もはや別の意味で涙ぐんでいるのかとさえ、銀時達は思った。
「よーし、分かってくれりゃいいんだ。さすがにこの体を目の前にして、そこまで女じゃないって否定されるとこっちだって傷付くんだよ。いつまでもそーやってると、昔みたいに黙らせるぞてめぇ。」
「ず、ずみばせんでした…」
鼻水を垂らして涙を浮かべる桂に、銀時は少しばかり同情した。
刹那は本来温厚で、誰かを怒るなんて事はよほどの事がない限りしない。
けれど、例外だってある。
まぁ今回に限っては、彼女の存在を真っ向から否定していた桂に問題があるが。
銀時はようやく納まったその状況を見て、安堵のため息を零した。
そして新八は、以前桂が刹那に怒られてチビりそうになったというおかしな話を思い出しては、なるほどと感心していた。
そんな中、刹那の心を静めるかのように定春が歩み寄り、頬を摺り寄せる。
刹那はその定春の可愛さにすっかりやられ、いつの間にか怒りも納まっていた。
少し先を見れば、銀時と桂が話す光景を目にする。
刹那は遠くでそれを眺めては、酷く懐かしい、暖かい感情を抱いていた。
あぁ、私は本当に幸せ者だ、と。
またかつての仲間とこうして時間を過ごせて、本当に良かったと改めて実感したのであった。