1.序奏
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※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
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団子屋を出て真選組の屯所まであともう少しというところで、土方の胸ポケットにしまっていた携帯が着信音を響かせた。
そこにいる全員が足を止め、電話がもしかして探している彼女の件だという可能性を考えて誰もが耳を澄ませた。
「俺だ。…何?!まだそう遠くへは行ってねぇはずだ、手が空いてる奴らは全員探し出して確保しろ!!」
そう怒鳴りつけて、すぐさま電話を切った。今の彼の発言からして、大方の事情は理解できる。土方は小さなため息を一つ零し、ひしひしと焦りを感じている銀時の方に目を向けて言った。
「いつ意識を取り戻したかわかんねぇが、さっき容態を見に行ったらもぬけの殻だったらしい。定期的に監視するように指示してあったから、大方この1時間以内に目を覚まして屯所を抜け出したみてぇだ。どうする」
「どうするも何も探すに決まってんだろ!」
「…なぁ旦那ァ。ちょっと聞きてぇんだが。」
「こんな時に何だよ」
どこかへ行ってしまったのであれば、今すぐ探し出さなければならない。そんな一分一秒でも時間が惜しいという銀時の心境を分かっているにも関わらず、沖田はゆっくりな口調で話をし始めた。
「あの女を探してる依頼人って、どんな奴でした?」
「…あ?」
「おい総悟」
「旦那ァ、俺たちゃぁ腐っても真選組だ。市民を守らなきゃいけねぇ。あの女がもし、何かに追われている身なら、その依頼主にそうやすやす手渡していいもんですかねぇ」
「…」
沖田の言葉に、土方は言葉を詰まらせた。
「確かに、傷だらけで倒れてたってことはやっぱりあいつらから必死に逃げてきたって可能性がより高くなりましたよね」
新八の呟きに、沖田は耳を傾けた。そしてその言葉を聞いてなお、真選組の二人は複雑な表情を浮かべた。
「おいドS、何が言いてぇんだ」
一刻も早く彼女を探し出したいという思いを必死に堪えながら、えらく低い声で銀時がそう問う。沖田は少し間を開けた後、もう一度銀時の目をじっと見て再び口を開いた。
「その女、傷だけじゃなかったんすよ。体中に小さな痣みてぇな跡があったんでさァ」
「…痣…?」
「この意味、分かりますかぃ?」
沖田の言葉に、銀時は衝撃を覚えた。無数に広がる小さな痣。それに合わせて依頼人のエドが言っていた言葉。彼女を愛している、と。だが彼女はそれを受け入れる事はない、と。もしあの男が一方的にレイという女を愛しているというなら、奴が無理やり自分のものにしようとした痕跡と考えても不自然ではない。
もし違ったとすれば、天人達に囲まれて彼女はどんな仕打ちを受けてきたというのだろうか。 考えるだけで胸糞悪くなる。 銀時は静かに、ぎゅっと強く拳を握りしめた。
「まぁまだ、旦那の知人と決まったわけではないですがねぇ」
「…いや、あいつと特定するものがある。肩だ。」
「あ?」
消えそうな程小さな声で呟いた銀時の言葉に、土方が疑問を抱いた。
「…そいつの体にもう一つついてなかったか?」
「何がですかぃ?」
「…肩に大きな斬られた古い傷跡が。」
「…!!」
その言葉に、二人は大いに驚いた。
確かに、彼女を屯所に運んでもらった時に診た医者が痣の事を教えてくれた。そしてその医者がもう一つ言っていた言葉。それは…
「左肩と、腹部だ。」
沖田が言葉を詰まらせていると、大きなくっきりとした傷跡があったのはな、と付け足して土方がはっきりとそう銀時に返した。
銀時は言葉を失った。嫌な予感は当たった。どういう経緯で付いたかは聞いていないが、昔からあった肩の大きな傷跡。
今しがた腹にもあったというのは恐らく、目の前で殺されかけた時にやられた傷跡だ。
やっぱり〝アイツ〟で間違いない。人生の半分とは言わないが、お互いの命を預けてきた深い絆を持った相手だ。どんな姿をしていても、どんな形になっても直感でその女が〝アイツ〟だと分かる。
気づけば血がにじむ程強く拳を握りしめていた。
「…くそっ…どうなってんだよ!!!」
銀時はそう言葉を吐き捨てて、走り出した。
「ちょ、銀さん!!」
それに慌てて彼らも続けて走り出す。
「おい坂田、おめぇだけ理解してて全然わかんねぇぞ!どういう事か分かるように説明しろ!」
「今は昔話をしてる場合じゃねぇよ!」
「旦那ァ、今回は俺たちも関係してるんスよ。少しくらい、状況が分かるように話してもらえませんかねェ」
「…チッ。時間が惜しい!探しながら話す!」
全速力で走る中、銀時は少し昔の話を彼らにし始めた。