三.侍 時々 姫
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激しい風が、天井を突き抜けて室内を舞う。
銀時は突然現れたこの風に、心当たりがあった。
「ーーっ!アイツ、まさかっ!」
風を自由に操り、爆風を起こして毒の霧を空いた天井の穴から外へと逃がす。
そんなことが出来る奴は、一人しかいない。
あまりにもの風の威力で視界を遮られる中、銀時は風の集まる場所へと目を凝らした。
「刹那ッッ!」
やはり、彼女の仕業だった。
沖田の刀を借りて、自分たちの周りの毒を一掃したのだ。
しばらくして、風が止む。
気づけばそこにいた連中はみな、刹那の方に視線を集中していた。
刹那は肩で息をし、刀を沖田に手渡しするどころか、握る力すらなくなって床へと落とす。
「馬鹿野郎、無理しやがって……!」
「で、でも、お陰で助かりました。毒の霧ははれた!!」
毒の霧だけではない。自分の大切な人達に牙を向いていた、失敗作の連中もその風により大方姿を消し去っていた。
「ばかな!ど、どこにそんな力が……ッッ!第一その見えない目では仲間を道連れにしかねないというのに!」
「そんなヘマはしねぇよ。見えなかったって、みんなの気配は感じる。それぞれの存在を、示してくれる。」
毒雁魔は驚いていた。
本来であれば、意識を手放すどころか指ひとつ動けないだろうその心身に、一体どこに力が残っていたのであろうか。
更には視力がない状態での正確な攻撃、計り知れない刹那の体力に、誰もが唖然とした。
彼女がその場に倒れそうになるも、沖田がなんとか受け止める。
「なんて無茶を……っ!」
「ここでみんなが死んだら、私が生き長らえる理由なんてなくなる。みんな命かけて闘ってるんだ。私が無茶をする理由なんて、それだけでじゅうぶ……」
「刹那ッ!刹那ッ!!」
彼女はとうとう意識を手放した。
沖田は出来るだけ刹那に負担をかけないようにそっと横抱きにし、真選組の隊員たちの方へ歩き始めた。
自分の計画が大いに狂ってしまった毒雁魔は、ワナワナと怒りをあらわにして怒鳴り散らした。
「おい小僧ッ!その女を連れてくな!その女はまだ死んじゃいね……」
だが、それは最後まで言うことなく言葉を詰まらせる。
なぜなら、銀時たちが沖田と刹那を庇うように、奴の前に立ち塞がったからだった。
「よぉジジィ。どうやらやきが回ったようだな。」
「なにッ?!」
「残るはテメェ一人だ。……とっととくたばりやがれクソ野郎ッッ!!」
毒雁魔を目掛け、総攻撃をかけようとした。
が、奴はまだ諦めてはいなかった。
「仕方ない、最後の砦じゃ。お前らは、生きては返さんぞ。」
先程よりも、より一層殺気を纏った奴は胸ポケットから一本の注射器を取り出し、勢いよく自らの身体に差し込んだ。
赤色の体液はみるみる小さな身体に入り込み、空になるとその場で投げ捨て、パリンと割れる音を響かせた。
毒雁魔はみるみる容姿を変えていき、ついにはエイリアンの塊を纏った大きな化け物と化した。
「なっ……こいつ、自分で……」
「全員皆殺しじゃぁぁッ!」
頭の中に響くような、鋭い声でそう告げては腕を振る。
「やべぇ、全員避けろッ!!」
獣の感というやつで、銀時が後方にいる連中に叫ぶ。
奴の一撃は重く、凄まじい破壊力を持っていた。
銀時も間一髪で避けたが、その攻撃が当たった衝撃により、建物が崩れ始めた。
「……おい、マヨネーズ。」
「……あぁ?土方だ。」
「あいつを連れて、先に脱出しろ。」
「な、何言ってんだテメェ!あんな化け物と一人で……」
「一人ではない。俺達が一緒だ。」
銀時の元に、桂と新八と神楽が集う。
土方と沖田は、ただ彼らの目をじっと見つめた。
「刹那を一刻も早く安全な場所へ連れてけ。」
「……チッ!分ぁったよ。」
「いいかこの税金泥棒ッ!今度こそぜってぇ刹那を護りやがれッ!」
「わぁったって言ってんじゃねぇかコノヤローッ!今すぐテメェのドタマぶち抜くぞッ!」
「おいクソガキッッ!」
「…あんだよ。」
「死んでも刹那姉ちゃんの身体離すなよ!」
「わぁってらァ。」
「絶対、絶対だからな!!刹那姉ちゃん死なせたらワタシがお前をぶっ殺すアル!!!」
「わかったって言ってんだろこのクソアマ!」
「まぁまぁ皆さん、落ち着いて。……土方さん、刹那さんをお願いします。」
最後に新八が、真っ直ぐな瞳を見てそう言った。
土方は小さく頷き、銀時達に背を向けて走り出した。
「さて、俺達もさっさと片して追いかけようぜ。」
「おい銀時、策でもあるのか?」
「んなもんねぇよ。アイツをぶっ潰す方法はただ一つ。」
彼らが話をしている間に、奴が攻撃を仕掛けてくる。
全員で飛んで避け、声を重ねた。
「粉々になるまで塵にしてやる!!!」
そう意気込み、彼らは刀を手にして特攻するのであった。