三.侍 時々 姫
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万事屋の銀時達と桂は、かぶき町中にいる攘夷志士や情報屋から手あたり次第奴らの情報を掴み、ようやく住処にしているであろう場所へ行こうと足を運んでいる時だった。
「旦那ァー!!!!」
遠くから、聞き覚えのある声で呼ばれるのを耳にする。
誰かまでは分からないが、全身黒を纏った制服からして真選組の一員である事は理解できた。
「おいヅラ」
「分かっている。」
桂は真選組に追われている身。念のため町を駆け回る時に笠を用意しておいてよかった、と安堵して深く被り直し、顔を隠した。
徐々に近づいてきたのは、密偵、観察を務める真選組一の地味な隊員、山崎だった。
「山崎さんっ!どうしたんですか、そんなに慌てて!」
銀時の元へ来るなり、荒々しい呼吸を整える。
表情を見る限り、あまりいい知らせではないらしい。
銀時は眉をしかめながら、山崎をじっと見た。
「た、大変なんです…沖田隊長と刹那さんがっ…!」
「何?!」
そこにいる誰もが、山崎の言葉に反応する。
「まさか奴ら…!」
「なんであのクソガキ…?どういう事ネ、ちゃんと説明するアル!」
必死に呼吸を整えたにも関わらず、神楽に体を勢いよく揺さぶられて再び呼吸が荒くなる。
山崎はなんとかそれを押し飛ばし、銀時をまっすぐ見ては焦った口調で事情を説明し始めた。
「実は、外に出たいっていう刹那さんの要望に応えて沖田隊長が一緒に外周りをしてたみたいなんですが…その道中で何者かによって奇襲をかけられたんです!」
「くっ…!」
一足遅かったか、と銀時は拳を強く握りしめた。
「最悪な事に、人通りの少ない場所でしたので目撃者もいませんし、手がかりもありません…。ですが、二人のうちどちらかが危険な状態なのは確かです。」
「…どういう意味だ?」
「現場に、血痕が残っていました…。」
山崎のその一言に、銀時は思わず彼の胸倉を掴み怒鳴り上げた。
「おいテメェッ!!こっちは真選組が預かってくれるっつーから信じてやってたんだぞ!それなのになんで…!!」
「すみません!我々が力不足だったのと配慮が至らなかったのは事実です。ですが、あの沖田隊長がいるのにも関わず二人とも連れ去られるなんて、相手も只者じゃないのは確かです!ですから…ですから…」
山崎は、震えた声で続けた。
「あなた方の協力も必要なんです…ウチの隊員と、刹那さんを救出するために、お力添えをしていただけませんか…?」
銀時は彼の顔を見て理解した。
彼は自分たちに責任がある事、自分たちのせいで彼女を危険な目に合わせてしまったと酷く攻めている様子、それでもとにかく今は二人を何としてでも助け出したいと思っているのが痛いほど伝わってくるからだ。
舌打ちしては、掴んでいた手を離し目を逸らす。
「別にテメェらに言われなくともあいつは助けに行く。おい山崎くん。じゃあ今からテメェんとこのマヨネーズに伝えてこい」
「え…?」
「町外れにある〝毒田病院〟に全員集合ってな」
「え…?!あ、ちょっと旦那!!」
「どっちが先にたどり着くか勝負だコノヤロー!!」
銀時は山崎に行先を伝えて、彼をその場において全速力で走りだした。
「ま、待って下さいよ銀さん!」
「待ってよ銀ちゃん!」
彼の背中を追うように、神楽と新八が慌てて走り出す。
そしてもう一人、笠をかぶった男も同時に走り出し、その場には山崎だけが残った。
「…あの人たち、もしかしてこうなる事を想定して奴らの拠点を…?!」
迷わず走り出した彼らの背からは、彼女を助けるという強い意志が感じられた。
しばらくその後ろ姿を見送っていた山崎は、ようやくハッと我に返り無線を繋げた。
「こちら山崎。万事屋の旦那と接触しました。彼らは連中の拠点を掴んでいます。町外れにある〝毒田病院〟だそうです、どうぞ。」
それだけ伝えると、山崎は再び足を動かした。
自分とて、彼女に命を助けられたうちの一人。
そしてもう一人、仲間が捕まっているとなれば行かなければならい。
もう姿かたちすら見えなくなってしまった万事屋の彼らの後を追うように、全速力で駆け出したのだった。