三.侍 時々 姫
name change
name changeお好きなお名前をどうぞ!
※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
暖かい日差しに、冷たい風。
これを感じるのが、もう随分前に思えるほど刹那は外の空気が恋しかった。
沖田はひとまず刹那を着替えさせ、そのまま屯所を出て車に乗り、巡回という名のドライブへと連れていき、窓から入り込む風に靡く刹那の髪を横目で見た。
「結局勝敗関係なしにドライブしちまってるとは、俺もまだまだ刹那に甘ぇな…」
「え?なに?」
「何でもねぇやい。それよか、気分はどうですかぃ、お姫様」
「……私、お姫様って柄じゃないでしょ。でも、すっごく気持ちい。ありがとう、総悟。」
「…それは良かったでさァ」
「一日服従とはいかないけど、私も一回だけなら総悟のお願い聞くよ。」
「へぇ、いいんですかぃ?後悔しやすぜ」
「……嫁以外にしてね。」
悪どい頼みをしようとしているのがどこかから伝わってくる沖田に、刹那は苦笑いをしながら顔を背けた。
「チッ。まぁ安心してくだせェ。本気で嫁にする時は、そんなチンケな約束使わずに、真正面からどストレートに口説きにいきまさァ。そんときは腹括ってくだせぇ。」
「ははっ!総悟らしいな。……ねぇ、総悟。」
「ん?」
「総悟は、どうして私の気持ちをそんなに理解出来る?自分の気持ちを一切口にしてないし、そんな素振りを見せたつもりもない。でもさっきも、私の心の中よんだでしょ。」
「…あんたを見てるんでさァ。嫌でも気づいた時には目で追ってるんでぃ。俺は女が嫌いだ。すぐ泣くし、すぐ弱いところ見せるし、ワガママだし人の言う事聞かねぇし、被害妄想激しいし。」
「……」
「でも、あんたは違う。俺の思ってるそれとは真逆のタイプだ。だから興味も湧いちまうし、気にかける。ただそれだけでさァ。」
「……そうか。」
刹那は穏やかな声でそう答えた。
沖田も別に、それ以上の言葉は要らなかった。
答えなんていらない。ただ自分の気持ちを、自分だけは絶対に刹那裏切らないと信じていて欲しいだけだった。
刹那は再び窓から身を乗り出すようにして、風を感じる。
気持ちよさそうにしているのを見ていると、まるで猫のようにさえ見えた。
そんな彼女を見て、無意識に沖田はもう一度微笑む。
ーーなるほど、猫じゃぁなかなか手強い相手だ。
そんなことを考えていると、その猫はそっと自分の袖を引っ張った。
「どうしやした?」
「ねぇ、なんかさっきあっちで騒がしい声聞こえたよ、お巡りさん。」
「……はいよ。」
自分が本来なんの目的で見廻りをしていたかすら忘れていた沖田は、その声でようやく本職へと戻ったのであった。