三.侍 時々 姫
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目が見えない、と言うだけで体は至って元気な刹那は、早くも二日目にてウズウズしていた。
寝室ばかりにいるのも、目が見えなくとも飽きは来る。
刹那は見張りが誰もいないことを確認し、部屋を飛び出した。
「ちょっとくらい、お散歩行ってもいいよねー!」
そんな子供じみた独り言を言っては、庭にジャンプして走り出そうとしたその時。
まるで猫のように首根っこを何者かに掴まれ、刹那は血に足すらつかなくなってしまった。
「え、え、えっ?!」
「何やってんでぃ、刹那。」
「…あ、おはようございます。一番隊隊長。」
「…へぇ。いつからウチの隊に入隊したんです?それとも、入隊希望ですかぃ?」
「あはははは、やだなぁ。冗談だよ、冗談。」
刹那は起きたの顔を見なくても理解した。
このうえなく、自分に対して怒っている彼の心境を。
「で。どこへ行こうとしてたんですかぃ。そんな目じゃ、ろくに動けないでしょうよ。」
「だ、だって退屈なんだもん……」
「…ガキかよ。」
不貞腐れる刹那を見て、思わず沖田はそう零した。
刹那は刹那で、先日の一件から、またもや沖田との絆が深まったと実感していた。
今まで遠慮がちに自分と接していた彼の壁のようなものが、一枚引っペがされた気がしたのを証明するかのように、彼は自分の名を優しく呼ぶ。
「まぁ、そんなに退屈ってんなら、いいこと考えやした。ちょっとゲームでもしに行きましょうや。」
「え、ゲーム?」
刹那の心境を知る由もない沖田は、刹那を担いだままある場所へと連れていく。
そうして彼女の耳にようやく入ってきたのは、何本もの竹刀がぶつかり合う音と、何人もの熱意と闘気が伝わってくる場所だった。
「おーい、テメェらやってるかー」
「沖田隊長っっ!!」
「ってそれ、どなたですか?」
「あぁ、俺の嫁だ。」
「おい誰が嫁だ、誰がッッ!!」
しれっと昨日の話を引きずる沖田に思わず突っ込む。
隊長が隊長なので、部下の男たちは〝あれが噂のっ!〟だの〝隊長にお似合いの方です〟など勝手なことばかり口走っている。
刹那は深くため息をこぼし、どうしたものかと考えた。
だがそんな考えは、次の一言でふっと消え去るほどの衝撃によって、どうでも良くなった。
「そんなに体動かしてぇなら、うちの隊員に稽古でも付けてやってくだせぇ。」
「え?」
「ちょ、ちょっと沖田隊長!?女性ですよね?!っていうか…新たのプレイですか、隊長……」
「は?!」
「あぁ、目隠しプレイな。今俺の中で結構ブームでさァ。」
「おい誤解を招くような言い方をするな。」
「まぁそういう訳で、体動かしてぇなら新しい道を開いてもいいでしょう。なぁに、稽古つけるって言ってもただ軽く相手してくれりゃいいだけでさァ。あんたと剣を交えれたら、こいつらからしたら癒しのひとつにでもならァ。視力がねぇんじゃ、本気も出せねぇでしょうしね」
「…」
勝ち誇ったような声でそう言う沖田に、刹那は思わず口角を上げる。
「なぁ総悟。さっき、ゲームしようって私に提案したよな?」
「……?しましたよ?」
「じゃあ、こーいうゲームはどうだ?私がもし、総悟の隊員に勝てたら…」
「勝てたら?」
「今日は外に連れてってもらう!!パトカー使ってドライブさせろコノヤロー」
「ガキですかぃ、あんたは…。ま、いいですぜぃ。じゃあ、こっちが勝った場合は俺の要求のんでくれるんですよね?」
「…なに?」
「刹那は今日一日、俺に絶対服従ってことで。」
その言葉を耳にした瞬間、なぜか刹那の頭の中には腹黒い顔で微笑んだ沖田の顔が浮かんだ。
沖田は密かに刹那がその勝負を受けないだろうと考えていた。
刹那の強さは身に染みて知っているし、闘っている姿を見てきた。だが、それは刹那の両目が使える時の話だ。
いくら刹那の強さを持っていても、視界がなければさすがにうちの隊員たちでもやられることはないだろう。そう鷹を括っていたのだ。
だが、彼女が出した答えは違った。
「……いいよ。」
「え?」
「総悟に服従だって何だってしてあげるよ。勝てたら、ね。」
この人は、いつだって俺の上を行く。
沖田は気づけばフッと笑を浮かべてこう言った。
「おもしれぇ。その勝負、引き受けたッ!!」
その勝負が決行となった時、既に道場から何人かが抜け出して、他の隊員たちにこの企画を広められていたことを、二人はまだ知らない。