三.侍 時々 姫
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真選組の屯所から少し離れた位置にいた銀時と刹那は、ある程度話が着いたところで屯所へと戻った。
治療も受けねばならないし、今は万事屋に帰るのが怖いので、今日はこのまま真選組に厄介になると刹那の口から聞いた時、銀時は酷く動揺した。
だが自分も、今回刹那と接触した攘夷志士のことについて探りたい。新八に喝を入れねばならない。そんなこんなでやる事が山積みのため、ひとりで万事屋に留守番させるよりかは、かえってそっちの方が安全なのではないかとさえ思った。
仕方なしにそれを承諾し、屯所の入口まで見送れば、先程刹那の元へ誘導した山崎が一人、扉の前で待っていた。
「あ、終わりましたか?」
「はい。山崎さん、ありがとうございました。」
銀時の手を取って歩いていた刹那が、それをふわりと離す。
無意識に掴み戻そうとした銀時は、自分の手を抑えた。
「…悪ぃな。こいつのこと、頼むわ。」
「任せてください、旦那。刹那さんには、返しきれないほどの恩がありますからね。せめて、これくらいはさせて欲しいくらいです。」
「…なんでもいーけどよ、真選組の野獣共から絶対死守しろよ。手ェ出したヤツが一人でもいたら、俺ァここを新地にしてやるからな。」
「だ、大丈夫ですって。さすがに皆自重してますから、たぶん…」
用心深く、そして半ば脅迫じみた銀時の言葉に、山崎は苦笑いを浮かべて刹那を中へと誘導した。
その背中を最後まで見送り、銀時はようやく息を大きくはいて頭を掻きむしった。
「……おい、テメェ。いつまで隠れてるつもりだコラァ」
銀時は帰路につくこともなく、暗闇に向かってそう呟く。
誰もいないはずの景色に、ぽつりと一人の影が現れる。
男はその姿を露わにし、タバコに火をつけた。
「盗み聞きとは趣味悪ぃじゃねーか。」
「たまたま聞いちまったんだよ。たまたま居合わせただけだバカヤロウ」
土方はポケットに手を突っ込み、ゆっくりと煙をはいては銀時を見つめた。
銀時も同じように、鋭い目付きで土方を見る。
しばし沈黙の時間が流れたが、それを最初に破ったのは銀時だった。
「…聞いてたんなら、話は早ぇ。テメェんとこのクソガキは、上官であるテメェが始末つけな」
「んなこたぁ分かってる。そっちこそ、テメェんとこのガキさっさと立ち直らせやがれ。」
「はっ!テメェに言われんでもやってやるよ。」
「勘違いすんなよ。これはテメェの為じゃねぇ。アイツの為だ。」
二人の声が重なる。各々に存在する、刹那を傷つけたという自負心を抱えた部下を立ち直らせるため、彼らは再び足を歩めた。
だが土方は途中で足を止め、銀時の背中を振り返った。
刹那が唯一、涙を流すことが出来る居場所。
唯一弱音を吐ける場所。
一時はどうなる事かと思ったが、やはり二人の絆は強く、丈夫なもので出来ているのだなと感心した。
それと同時に、複雑な感情を抱きつつ、らしくねぇと呟いて屯所の中へと戻って行った。