三.侍 時々 姫
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何の変哲もない、ただの日常。
刹那はそんな日を過ごすのも好きだった。
こうして何者にも縛られず、何者にも囚われず、ただ己のしたいようにする。
どれだけこんな日を夢見たことだろうか。どれだけ羨ましいと思っただろうか。
天人達に囚われ、殺戮を繰り返していた日々が、もう遠い遠い過去のような気がした。
すっかり秋の陽気になったのを、窓から入り込むひんやりとした風で感じながら、刹那は朝目を覚ました。
うんと背伸びをし、今日はどんな一日かと思うと心が弾んだ。
そのままキッチンへと向かい、彼らが起きるまでに朝食の支度へと向かったのだった。
数時間後、新八が万事屋へと到着する。
その頃には刹那お手製の料理がテーブルの上に並んでおり、準備が整ったところで二人を起こしに行く。
毎日当たり前のようにこれをこなしている刹那に、新八は密かに感心していた。
「でも、刹那さんってほんと凄いですよね。あの昼まで寝ているようなぐーたらの二人が朝食食べるために起きてくるほど、絶品な料理作るんだから。」
「えー?そんな事ないよ。料理もテレビとかで見て見様見真似だし、早起きして作らないと出来ないほど、時間かかっちゃってるし。」
「これだけの量を作るのに、それだけの時間しかかかってない方が凄いですよ!」
「ふふ、ありがと。新八」
はにかむ笑顔がまた、愛らしい。
これがあのかつて『麒麟』と呼ばれ、その力を持ってこの国を守ろうとしていた人だと、とても同じ人物だとも思えない。
新八は、彼女が今まで辛い思いをしてきた分、幸せになって欲しいと心から願っていた。
そして出来ることならば、銀時とずっと一緒にいてくれればと願うばかりだった。
新八がそんな考え事をしている間に、刹那は神楽と銀時を起こしに向かう。
先に神楽を起こし、その後銀時の寝室へと向かう。
「銀時ー。朝ごはんできたよ。食べる?ほら、起きて。」
襖の向こうで、優しく起こす刹那の声が聞こえる。
あれで起こされたら、正直寝覚めもいいだろう。
そんなことを考えていたが、想像と現実は違った。
「あー…朝ごはん?」
「そう。朝ごはん。あれ?いらない?」
「うーん、俺ァ今食欲っつーより、どっちかっつーと今は朝だし性よ……ぐはっ!!」
銀時の大人の発言を最後まで聞くとなく、その会話は途切れる。
しばらくして眉に皺を寄せた刹那がリビングへ戻ってきては、腹をさすりながらげっそりとした顔で出てくる銀時の姿を見た。
この二人のやり取りは、いつまで経っても変わらない。
半分呆れつつも、半分どこかそれに和んでいた新八がいた。
ようやく四人が一つのテーブルを囲み、朝食に手をつける。
最近では、刹那も体調がいいのか一緒に食事をとる事が多く、みんなで朝のニュースを見ながら、ぼんやりと時間を過ごした。
そう、これが万事屋の日常。
そして今日、その日常が非日常へと代わってしまう初日になることを、彼らはまだ知らない。