二.真選組×万事屋編
name change
name changeお好きなお名前をどうぞ!
※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あーダメだ、もー動けねぇ。」
気が付けば、夜空に少しだけ赤みがさしていた。
もう少しすれば日が昇るころだろう。
刹那は呑気にもそんな事を考えながら、パタリとその場に倒れ込んだ。
「あー、俺ももうだめだ。動けねぇ。っつーか動きたくねぇ」
銀時も刹那と同じようにその場に横になり、刹那と目を合わせる。
「…さんきゅーな、刹那。」
「やっぱ闘うなら、銀時と一緒がいいからね。」
いつの間にか刹那の手からは水無月は離れており、地面に突き刺さっていた。
二人は拳を作り、コツンと合わせては小さく笑みを零した。
二人の傍にかけよるいくつかの足音が聞こえる。
刹那は、ようやくこの戦いが終わったのだと安堵の息を零した。
「姉御、しっかりしてくだせェ!」
「おい刹那!こんなとこでくたばるなっ!」
「刹那姉ちゃん!死んだら嫌アルよ!」
「刹那さん、早く手当しに行きましょう!」
「…」
二人が寝そべる中、人が寄ってくるのは刹那の方ばかりで、誰も銀時の方には寄り付かなかった。
「っておーい。俺は誰も心配してくれねぇってか?銀さん寂しいんですけど!つーか誰かひとりくらい俺んとこ来て心配しろよっ!」
「あぁ?テメェがあんな弱っちい奴に噛まれて自我失ってなきゃ、刹那はこんな風にはならなかったんだぞ。なんでテメェなんかの心配なんぞしなきゃいけねーんだ。テメェはここでくたばれクソ野郎」
「俺も珍しく土方さんのいう事に同意でさァ、旦那。ここでくたばって死ね」
「おい、ストレートに死ねって言うな、死ねって!俺だってテメェらの守る民間人の一人だろーがっ!!」
「大丈夫ですよ旦那ァ。少しくらい放置しておいても、旦那なら死にませんって。」
「お、山崎。たまには言うじゃねぇか」
土方に褒められた山崎は、でへへと笑う。
「でへへ、じゃねぇよコノヤローッ!だいたい神楽と新八はこっち心配してくれてもいーんじゃねぇのっ?!ねぇ!!」
「銀さん…僕は日々銀さんを見ていますが、これくらいじゃ死なないのは知ってますよ。しばらくそこで反省して下さい。」
「ちょっと待て、反省ってなんの反省だよ!ぱっつぁんッッ!!」
「決まってるネ!ここまで刹那姉ちゃんに無茶をさせた反省アル!銀ちゃんがついていながら、何で刹那姉ちゃんをこんな風にさせたアルか!もう銀ちゃんなんて信じないネ!」
「おいおいテメェら、さっきから言いたい放題言いやがって。何か?もしかして俺の事妬んでるのか?刹那から熱いチューを交わしたからか?そんなんしょーがねぇだろ。銀さんがしたわけじゃなくて、刹那から強引にチューを…へ?」
調子に乗って話し始めた銀時の視界に、気づけば刹那のおぞましい表情が映った。
「いっぺん死ねテメェッ!!!!」
渾身の蹴りが銀時の腹に入り、白目を向いてその場でパタリと音を立てて再度横たわった。
「おい、ありゃ死んだぜ」
「自業自得でさァ」
「さ、行きましょ刹那さん!早く手当しないと、本当に危ないですからっ」
「え、待って。ちょっと、私普通に歩けるから!」
「駄目ですよ、ここは真選組の皆さんに甘えてください。刹那さんはもう動いちゃだめです」
「えーっと、ねぇ、せめておんぶとかにしてくれないかな、総悟君」
「何言ってんでぇ。こういう時はお姫様抱っこしたほうが良いって書いてあったさ」
「書いてあったって…ねぇどこに?ていうか、重くない?」
「重いどころか、着物の乱れが激しくて悩殺じみてまさァ。」
「総悟テメェッ!何厭らしい目で見てんだ!代われこの野郎!」
「嫌に決まってんだろ。あ、鼻血…」
「な、何で鼻血?!っていうか下ろしてってば!この体勢で一体どこまで連れてくの!さすがにいい大人が恥ずかしいんですけどっ!」
「うちの救護班に連れてきまさァ。しばらくそこで大人しく治療受けてくだせぇ」
「え、自宅療養にしてよ!私、真選組の屯所で生活するなんて無理なんですけどっ!」
「そうアル!私も刹那姉ちゃんの看病したいネ!テメェらみたいな奴らがいるところに刹那姉ちゃんは置いておけないアル!」
「病院嫌だの屯所が嫌だのわがままばっか言ってんじゃねぇよ!ったく、なんでテメェはそんなに危機感ねぇんだよ。」
「あはは、なんかもう、だいぶ痛みがマヒして結構元気なんだよね、実は。」
「駄目ですよ、刹那さん!それは悪化してるってことなんですから!!」
銀時の耳に聞こえてくる他愛ない会話が、妙にくすぐったい気がした。
孤独の中で生きてきた刹那が、たった数ヶ月であれだけの大切な人ができた事を、心から良かったと思える。
心の底から笑っている、刹那の笑い声は銀時の心を癒し、自然と笑みが零れた。
「おーい銀時、いつまでそうしてんの。帰るよー」
ふと聞こえてきた、自分に向けられた刹那の声。
銀時はむくりと起き上がり、前を見た。
日の出の光に照らされながら先を歩く奴らに紛れて、刹那が立ち止まり、優しく笑ってこちらを振り返っている。
ーーあぁ。こいつにはやっぱり敵わねぇ。
銀時はその時、根拠もなくそう思ったのであった。