二.真選組×万事屋編
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身体が言う事を利かない。
目の前で自分の刀によってボロボロになっていく刹那の姿が映る。
頼む、俺を斬れ!!!
そんな残酷な願いを、何度も何度も心の中で叫んだ。
それでも体が言う事を利くはずもなく、とうとう刹那を絶望の地位に追い込んだ。
こんな状況の自分にも、優しく微笑む刹那を見て、胸が締め付けられる。
死んでほしくない、生きて欲しい。
それなのに、自分に立ち向かう事を諦めようとした刹那の姿を見て、自然と涙が零れた。
そして更に意識が薄れていく中、俺の体は刹那の肩に牙を向けて噛み付こうとした。
あぁ、なんて野郎だ俺は。
こいつを守るどころか、自らの手で殺そうとするなんて…。
そう思った矢先、唇に血の味がした。
フッと自分の中から何かが抜けたような気がしたと思えば、刹那が自ら自分にキスをしていた。
いや、キスなんてもんじゃない。震えて力もなくただ当てているだけ、といっていいほど、それは弱々しく消えそうなものだった。
その衝撃で正気を取り戻した銀時は、彼女の体を壁に貼り付けにしていた洞爺湖を投げ捨て、刹那の後頭部に手を回し、更に強く唇を当てた。
しばらくそれを堪能した後、ゆっくりと唇を離す。
まるで死んだ奴が蘇ったのを目の当たりにしたような、酷く驚いた顔でこちらを見る刹那に、銀時はフッと笑みを浮かべた。
「…悪ぃ。だいぶ無茶させちまったな」
「銀…」
「オメェからキスされたんじゃ、死ぬくれぇの衝撃を受けたも同然だからな。どうやらおかげで正気に戻れたぜ」
「ははっ…バカ、遅いよ。」
刹那は目に涙を浮かべながら、弱々しく笑った。
そして安心して気が抜けたのか、再び彼女は咳込み、血を吐いた。
「おい刹那!しっかりしろ!!くそっ…もうちょっと耐えろ。すぐ終わらせてやらァ」
弱り切った刹那の体を横抱きにし、先方で不安に満ち溢れている真選組達の元へと歩み寄った。
彼らの前まで連れて行くと、酷く青ざめた表情で刹那を見つめ、各々は名を呼んだ。
新八と神楽も、彼女の元へ寄っては応急処置をし始めた。
が、刹那はなんとかそれを拒み、近くにあった水無月を手に取って立ち上がった。
「ば、バカお前、肩から折れてんだぞっ!それに咳だって…後は俺が闘うから、もうテメェは大人しく…」
「うるさいっ!」
銀時はその光景を目にし、さすがに止めに入ったが刹那はそれを払いのける。
あまりにもの予想外の行動に、銀時は言葉を失った。
「こっちはむしゃくしゃしてんだよ。こんな悪趣味な舞台をでっちあげやがって、あの野郎、一発この手で殴らねぇと気が済まねぇ!」
「…ったく、そんな体で何ができるっつーんだよ。バカヤローですか、テメェは。もー一回言うけどなァ、足手まといだから大人しく…ぐはっ!!」
もう一度キツい口調で銀時が止めに入ると、それをすかさず土方達が遮った。
気が付けば、正気を保っている連中に袋叩きにされていたのだ。
「何偉そうな事言ってやがんだテメェはっ!あいつがボロボロなのはテメェのせいだろーがっ!」
「旦那がそばにいながら何やってんですか!死ねコノヤロー!」
「刹那さんズタボロにさせといて、そんな酷い言い草しますか?!あんたバカですか!バカヤローですか!」
「刹那姉ちゃんの敵ネ!死ね銀ちゃんっ!」
「いや神楽、私死んでないし…っていうかみんな、ほんとに銀時死んじゃうよ」
予想外の行動に出た彼らを見て、思わず唖然とする刹那。
足蹴りにされた銀時は、ようやく攻撃がおさまったところでむくりと起き上がり、全員を睨みつけた。
「いってぇなクソ野郎共がっ!俺が死んじまったらどーすんだよっ!」
そう嘆く銀時に対し、各々は小さな声で「よし。」と呟く。
刹那があれだけボロボロになってしまった事を、銀時のせいだと責めるわけにもいかず、もどかしさをそのままぶつけたといったところだ。
しかし、その光景をしばらく眺めていた元凶者であるシルクハットの男は、再び高笑いを始めたのだった。
「全く、空気が読めない方たちですね。その銀髪の男の正気が奇跡的に戻ったからと言って、状況は何も変わっていないんですよ。」
「あァ?状況が変わってないだ?テメェの目は節穴かよ。」
銀時は洞爺湖を再び手にし、奴の方へ真っ直ぐに剣先を向ける。
それに合わせて、刹那も同じ姿勢をとった。
「こちとら諦めが悪いんでね。人生死ぬまで、悪あがきさせてもらうよ。まぁ、ここで終わらせる気なんて更々ないどな。」
「そーいう訳だ。こっからは全力でぶっ潰してやるからな。覚悟しろよコノヤロー」
「ふん、あなた達に仲良しである真選組が斬れますか?」
「仲良し?笑わせんじゃねぇ!」
「真選組だろうとなんだろうと、邪魔する奴はぶった斬る!!」
刹那が復活したのか、はたまた銀時が正気に戻ったことに喜びを感じたのか、彼らは妙に浮き足立っていた。
顔には余裕の笑みが浮かび、襲いかかってくる真選組の隊員たちを次々と薙ぎ払っていく。
刹那もそれに参戦し、けれども打撃を与えるために水無月の反り側で叩きのめした。
「うぉぉぉっっ!!」
勢いだけで進んでいく銀時をフォローするように、神楽と新八が後方を援護する。
土方と沖田も、負けじと仲間を気絶させる程度に攻撃を与えた。
「はぁ、くそっ!足に力入んねぇ。」
「大丈夫ですか、刹那さん!ここは僕が……!」
見知らぬ顔の隊員に名を呼ばれ背後に回る青年に、刹那は首を傾げた。
「僕は山崎と言います。話はいつも、沖田さん達から伺ってますよ。以後お見知りおきをっ!」
「山崎さん……ここ、任せていいかな」
「もちろんです!って、刹那さん、どこへ?!」
あんなよろよろな動きで、どこへ行こうと言うのだろうか。
山崎は彼女の後を追おうとしたが、目先にいる自分の部下たちから目を離すことができなかった。
彼女の華奢な体はやがて見えなくなり、更なる交戦状態の中へと飛び込んでいったのであった。