二.真選組×万事屋編
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※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
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「ど…して…」
刹那は声にならなかった。
そこにいるはずもない小さな姿が、二人もこちらを見て立っていたからだ。
いつの間にか姿を現した二人は、酷く怒りに満ちた表情でゆっくりと刹那の元へと走り始めた。
「刹那さん!」
「刹那姉ちゃん!」
神楽と新八は刹那の容態を見て青ざめた。
右の手のひらは血で赤く染まっており、額や肩、足等の複数箇所にも切り傷があり、白の着物は殆どが赤へと変色していた。
彼女のような強い侍に、誰が一体これだけの傷を負わせたというのだろうか。
彼女が挑んでいる強敵に恐れを生しながらも、それを必死に押し殺して強がりの言葉を放った。
「なんで僕達を呼ばなかったんですか!」
「いや、むしろどうしてここに…」
「私あの爆発音が聞こえたあと、起きて新八を呼びに行ったアル!それより酷い怪我ネ!早く手当を……」
「ーーっ!!離れろっっ!!」
ようやく刹那の元にたどり着くというのに、彼女は二人を拒んだ。
なぜ、という気持ちになったが、まるで疾風のごとく攻撃を仕掛けてくる男の姿を見ては、言葉を失いその場に立ち尽くした。
「ぎ、銀さん……?!」
「銀ちゃん!!」
普段見慣れた面倒見のいい彼はそこにはいない。
闘うこととだけに意識を持っていかれ、まるで獣のように獲物を狩る目をしている、別人の男だ。
まさか、これを相手にして彼女に怪我を負わせたと言うのか。
銀時の刀を何とか受け止めた刹那の背を見ては、新八はごくり、と音を立てて息を飲んだ。
「あーあ。銀時のこんなところ、二人には見せたくなかったんだどな……せっかく来てもらったのに悪いんだけど、ちょっと下がっててくれ。」
「そ、そんな傷で銀さんと闘ったら、刹那さん死んじゃいますよ!」
「俺と変われ、刹那!」
「いや、俺が姉御を護ります!元はと言えば俺が……!」
新八に続けて土方と沖田が彼女にそう言ったが、刹那は首を縦には振らなかった。
「刹那さんっっ!銀さんは真選組の二人に任せて早く手当を……!」
「ーーっっ!うるせぇ、手ェ出すなっ!!」
刹那は半ば強引に選手交代を測ろうと近づいてくる彼らに、怒鳴りつけた。
「な、なんで……」
刹那の心境が理解できない。
そう思った彼らは、愕然とした様子で必死に銀時の力に押し負けないようにしている刹那を見つめた。
「今こいつは正気じゃない。昔攘夷戦争で白夜叉と恐れられた頃の強さ…いやそれ以上に、闘うことだけに集中してるただの獣だ。そんな奴を相手できるのは、同じ道を歩んできた私にしか無理なんだよ。」
「で、でも刹那!テメェ鞘から刀も抜かずに闘ってちゃ…」
「…傷つけないって誓ったんだ。一緒にいることで心に傷をつけることはある。でも、体に傷をつけないようにすることだけはしないように、って。あの日…銀時に助けられた時から、そう決めてんだよっっ!!」
とうに限界を超えたはずの刹那は未だ、諦めていなかった。
だがタイミングというのは悪いもので、再び彼女の身体を蝕む病が襲いかかった。
「ケホッ、ケホッ……こ、こんな時に…!!」
「刹那っ!!!」
「刹那姉ちゃん!」
「刹那さんっ!!」
各々に名を呼ばれるのを耳にしては、反応すら返せない。むせ始めたと思えば、いつもよりも勢いを増した吐血に、集中力を閉ざされた。
その時、とうとう刹那の手から刀がすり抜け落ちた。
銀時の攻撃を身体に受け止めた刹那は、はるか後方まで飛ばされ、ブロック塀に追突し、背中に強い衝撃を受けた。
遠くで自分の名を必死に呼ぶ彼らの声が聞こえてくる。
意識が朦朧としながらも、刹那はなんとか目を開けた。
右肩を洞爺湖で突かれ、壁に貼り付け状態にされているせいて、貫通していないのが不思議なくらいだった。
だが骨は粉々に砕かれ、それ以外にも負った傷のせいで身体中が熱くなり、痛覚すら分からない程まできていた。
目の前には、自分を殺そうとしている銀時の赤い瞳がはっきりと見える。
「銀時…。ゴメンな…」
助けてやりたいのに、身体がもう言うことを聞かない。どんな気持ちで自分を斬れと言ってきたのか分からないが、きっと苦しんでいるだろう。
わたしは彼に何もしてやれない。
ただ、現実から逃げてる臆病者に過ぎないんだ……。
刹那はもはやここまでか、と諦めて目を閉じようとした。
だがそうする前に、銀時の頬に一滴の涙が伝わるのがはっきりと見えた。
「銀時ッッ!!」
刹那はその時気づいた。
体は支配されているが、心まではまだ完全に支配されきっていない。
確かあの男の話では、身体を蝕むまでの準備期間は一か月程あると言っていた。
完成型になった女豹に噛まれ、すぐ様感染したとは言え、銀時の心はまだ死んじゃいない。
死ぬまで闘うというのなら、死ぬほどの衝撃を与えれば正気に戻ってくれるのではないか。
一か、八か。
そう考えた矢先に、感染した銀時は大きく口を開けてら、獣のように二本の牙をむき出しにし、刹那の首元を目掛けて噛み付こうと顔を近づけた。
刹那はそのまま彼の頬に手を添え、近づいてくる口に、そっち優しく口づけを交わした。