二.真選組×万事屋編
name change
name changeお好きなお名前をどうぞ!
※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
銀時の太刀をなんとか防ぎはしたが、あまりにもの力強さに体が吹っ飛び、宙を待う。体勢を整えて地に跪いては、次の攻撃を避けるために走り出した。
「くそっ」
刹那は動揺した。
銀時は正気じゃない。これではまるで、自分が彼と再会した時と立場が逆だ。
あの時銀時は、こんな気持ちで私と戦っていたのか。
こんなに辛い思いをしながら、私に自由を与えてくれたのか。
そう思うと、胸が締め付けられた。
「ったく、無茶苦茶だな……斬れるわけねぇだろ。どーしろって言うんだよ……!」
刹那は嘆いた。
銀時を大切に思うからこそ、傷つけたくないからこそ、刀を鞘から抜くことができなかった。
「いい表情をして闘いますねぇ、戦姫のお嬢さん」
「誰が戦姫のお嬢さんだっ!!変な呼び方すんじゃねぇ!趣味の悪ぃ事しやがって!」
「ふふ、お互いを信じあう二人が、どちらかが死ぬまで闘いあう。いい事じゃないですか。できればあなたが生き残って欲しいですが、どうやらあなたはその男を斬る気がない。これはもはや、時間の問題ですかね…」
「な、に…?!」
シルクハットの男の話に気を取られ、一瞬でも視線をそちらに向けたのが仇となった。
銀時は一瞬にして間合いに入り込み、洞爺湖を素早く振った。
「くっ…」
防ぎきれない!!
刹那はその攻撃をもろに食らい、身体はまるで物体のように真っすぐに飛んで行った。
後方を確認する間もなく、壁にぶつかるであろうと覚悟を決めていたが、刹那の背中に衝撃を与えたのは、それとはまた別のものだった。
「ふがっ!!!」
「局長っ!」
「近藤さん!」
「近藤さん!」
運がいいのか悪いのか、数十メートルふっとばされた刹那の体は、勢いよく真選組の局長、近藤の背後へと追突し、壁との接触を免れた。
「いっ…た…」
とはいえ、刹那もかなりの衝撃だ。
背中をさすりながらもようやく目を開けると、大きな男が下敷きになって伸びているのにようやく気付いた。
「えっ…?!近藤さん!?いや、これ死んだかな…」
なぜここに真選組がいるのか、状況についていけない刹那は刀が手から離れてあたふたする。
気づけば真選組の何人かに囲まれており、その中でも顔見知りの二人を見つけて、刹那は少しばかり安堵した。
「刹那!テメェ何でここに…っていうかその傷はどうしたっ!」
下敷きになり、地面で伸びている局長を無視して、トシは刹那の元へと駆け寄った。
「ちょ、ちょっとしたアクシデントが…」
「姉御、大丈夫ですかぃ。急いで手当を…」
「いや、今はそれどころじゃ…!」
沖田と土方に事情を説明しようとしたところで、再び強い殺気を前方から感じ取り、二人を思いきり突き飛ばした。
「なっ…何しやが…!」
沖田と土方は驚きのあまり、彼女の意のままにそばから離れる。
文句の一つでも言ってやろうと思ったその矢先、猛スピードで銀色の髪が視界に入りこんだ。
「だ、旦那?!」
「万事屋?!」
二人は酷く動揺した。
あの、刹那を誰よりも大切にしている銀時が。
誰よりも刹那の手を取って傍にいる銀時が。
凄まじい殺気を放ち、刹那へと刃を向け、鍔迫り合いをしている姿を目の当たりにしたからだ。
「こりゃ、一体…」
「どうなってるんでぃ」
空いた口が塞がらないとは、まさにこのことだ。
どういう状況で銀時が彼女に攻撃をしているのかは分からないが、全身傷だらけの刹那は呼吸も荒く、完全に押されている。
それどころか、真剣である水無月の鞘すら抜かない状態で奴と闘っている。明らかに不利だ。
「悪いけど、ちょっとだけ大人しくしててくれ、よ…!!!」
刹那はそう思いを込めて、柄を両手で握りしめ、勢いよく振り上げた。
銀時はそれに押され、間合いをとるために数メートル後方へと下がり、再び構えた。
「ど、どうなってんだ。なんであいつ…」
「この前真選組に奇襲かけた奴らがいたでしょう。あの天人が実はヴァンパイアで、噛み付くとあーなっちまうらしい」
「…ヴァンパイア?!だ、旦那噛み付かれたんですかぃ?」
「正確に言えば、さっき総悟のストーカーを仕留めた時にね。まさかあの女豹も既に奴に噛まれていて、洗脳されてるとは思わなくて…」
「おいおい、ちょっと待てよ。じゃあもしかして、うちの隊員たちもあの野郎と同じ状況って事か?!」
「隊員って、どういう…」
土方の言葉に疑問を抱いた刹那だったが、周りを見渡してすぐにそれを察した。
沖田、近藤、土方に加えもう一人の見知らぬ隊員以外を含めては、只ならぬ殺気を帯びて近くでいつ襲撃をしようかと伺っている様子だった。
「…なるほど、奴の狙いはこれだったか。真選組にある程度奇襲をかけ、自分が噛み付いて洗脳する。その細菌が体中に周り、正気を失うところまでになるのが約一か月。後はスタートして、全員噛まれて殺人マシーンにでもなるっていう計画ですか、コノヤロー」
「さすがご名答。民間人を守るはずの真選組がこの江戸に手をかければ、人々は混乱し、パニックになる。そしてそのまま人類は誰一人としていなくなり、天人だけの世界が新しく生まれるんですよ。」
いつの間にか傍観していた男も、刹那と銀時の闘いを見るために移動してきて姿を現し、勝ち誇ったようにそう言った。
だが刹那はまだ諦めてはいなかった。
時間を稼いで、銀時をどうやって正気に戻すかを、ひたすら頭の中で考えていたのだ。
「ははっ…!笑わせんじゃねぇーよ」
「…なに?」
「残念だったな。どーせ噛むなら、今正気でいられている奴を先に奇襲かけるべきだったよ。あんたらが今敵にまわしてるのは…天下最強の真選組の四人と、攘夷戦争で闘ってきた侍だ。言っとくが、大人しくやられるほど、私たちは甘くねぇーよ」
刹那はそう言って、刀を支えにゆっくりと立ち上がろうとした。
その時。
「四人じゃないです、六人ですよっ!!」
この場にありもしない、まるで希望の光の声が耳に届いたような気がした。