二.真選組×万事屋編
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沖田がストーカー被害の依頼を持ち込んでから、はや一週間が経過した夜のこと。
今日は沖田は一日中新選組の任務につかなければいけないので、刹那もやることが無く、万事屋でじっとしていた。
新八は電車があるうちに帰宅し、神楽は一日中外にいて疲れたと言っては布団の中へダイビングし、一瞬にして眠りについていた。
刹那は一通り家事を終えたあと、銀時の姿が見当たらない事に気づき、部屋中を探してみた。
外に出かけるとなれば、いつだって必ず声をかけていく人だ。
部屋にいないとなればあと残りは一つ。
刹那は神楽を起こさまいと、足音を消して屋根裏へと向かった。
「やっぱりここにいた。」
「…見ろよ。月が綺麗だろ。ガキ共の手がかからなくなったんだ。月見ながら晩酌する大人の時間を満喫するのも、たまには悪くねぇだろ」
猪口を手に取り、銀時はくっと喉に流した。
刹那は彼の隣に座り、同じように月に目を向けた。
「…銀時。この依頼を受けてから一週間経つけど、何も言わないってことは気づいてるよね」
「……あぁ。」
銀時は刹那の顔を見ぬまま、自分が飲んでいる酒を手渡した。
「さっき新八が言ってたな。もう相手は諦めていなくなったんじゃねぇかってよ。あいつもまだまだ一人前には慣れねぇな。」
「そんな簡単に気づけるもんじゃないよ。あの押し殺した殺気を感じることが出来るのは、生と死をかけて闘いの中で息をしてきた者にしか、わからんだろーよ。」
刹那はふぅ、とため息をこぼし酒に手をつけた。
「あのサディストの何がよかったのか知らねぇが、すげえ執着だ。嫉妬心、殺意、独占欲の塊を抱いた人影が、オメェとあいつが会ってる時にどこかから感じる。いつ刹那かあいつの喉をかっきってやろうか、って機会をずっと伺ってやがる。」
「まぁ、神楽と新八が命に関わるようなことに巻き込みたくはないから、できれば夜奇襲をかけて欲しいねぇ。あの子たちにはまだ、これから沢山のことを知って欲しいから。」
刹那は星空を見上げては、そのまま寝そべった。
「それにしても、あいつはなんであんな女豹なんかに好かれたんだよ。なんかきっかけがあったのか?」
「それがきっかけは覚えてないみたい。でもいつの間にか、任務中にどこにいっても顔を合わせるとか、偶然を装って必然的に仲を深めようとか、そういう魂胆見え見えの動きがあったみたい。まぁ職業柄、暴力だけで片付けるわけにはいかないんだろーけどね。甘いなぁ、総悟も。」
「ったくどいつもこいつも、ストーカーばっかだな。今の世の中は。真正面から恋愛する奴もいねぇのかよ。」
「銀時もストーカーにあってたの?」
「…過去形じゃねぇよ。たまに突然ストーカーとして現れる時があんだよ。まぁ、いずれお前も顔合わせすんだろ。」
「ふぅん、良かったじゃん。好意持ってくれる人がいて。昔モテたいって言ってた夢、叶ったんじゃないの?」
「……」
心をえぐるような一言に、銀時は苛立ちを覚えた。
「そういうお前こそ、どうなんだよ。もう恋人役になって一週間だし、あいつと一緒にいるところを見てると、どっからどう見ても女だぜ?もしかして惚れたか?」
「ははっ!銀時の目にそう映るってことは、私の演技力もあながち捨てたもんじゃないってことかな。」
刹那は銀時の言葉を軽く流した。
徐々にヒートアップしていく自分の感情に、銀時は止めることなく彼女を攻め続けた。
「そうだなァ。じゃあその抜群の演技力は、一体どこまで演技で相手してくれんだ?」
「…銀時?」
いつもと違う、優しさの感じられない声色に気づき、刹那は体を起こそうと腹に力を入れた。
「相手の目をくらますために、どこまでがOKなんだって聞いてんだ。俺が試しにやってやろーか。」
「ちょ、ちょっと、銀……!!」
突然自分の上に馬乗りになってきた銀時に、慌てて逃れようと身体をひねる。
が、銀時はいとも簡単に刹那の両手首を片手で掴み、そのまま彼女の頭上へと押し当てた。
「な、何してんの!ちょっと離してよ!」
「最初は俺と手ぇ握るだけでも頬赤らめてた奴がよ、いつの間にか一緒の布団で寝ようが、他所の男に耳元をキスされようが動じることもなくなっちまったんだもんな。」
「…は?!何言って……」
「どこまで動じずに対応できるか、試してみた方がいいだろ。もしかしたらあの野郎も実はテメェのこと、本気かもしれねぇぞ」
銀時の頭の中は錯乱していた。
最初にこの依頼を引き受け、恋人役を買って出た時。
楽しそうに話す二人を見て、ただ見守ることしかしない自分。
時折沖田が刹那に大胆な行動に出て、頬を赤らめて女の顔をする時。
そして今、自分が何もしないと安心しきった刹那の顔が拍車をかけたんだ。
そんな銀時の下で身動きの取れない状態である刹那は、銀時の目を見て心を痛めた。
自分のした事に、この人は心を痛めている。
自分が今まで彼の気持ちを流してきたせいで、彼は苦しんでいる。
知っていた。銀時が自分をどのような存在だと思っているかを。
この男に惹かれて、自分の中でいつの間にか大きな存在になっているということも。
それでも刹那は、彼の気持ちを正面から受け取ることはできないのだ。
この身体は天人の手で毎晩汚れた。
天人の調教によって仕上がってしまったこの醜い女のカラダを、誰よりも大切な人に見られたくはないのだ。
誰よりも真っ直ぐに自分を想い、大切だと言ってそばにいてくれるこの人には……
「ぎん、待って、私は……!」
「……ウルセェよ。」
刹那の声を遮り、銀時は何時ぞやか沖田がしたように、刹那の耳に口付けをした。
「ーーーっっ!」
刹那はビクリと身体を震わせ、押さえていた腕からは抵抗力が失われた。
「や、やめっーーー銀時ッッ!!!」
口付けだけで終わることはなく、甘噛みをしては舌を這わせて輪郭をなぞる。やがて耳だけではなく、首元、鎖骨までもを侵食していき、吐息を零した。
「やだ、やめてっ!」
「……かえってそそる顔してんじゃねぇよ。俺がいつまでも紳士でいるとでも思ったのか。ふざけんじゃねぇ。甘ぇんだよ、テメェは。」
そう言って刹那の顔を見ると、月明かりで微かに涙を浮かべているのに気づく。
銀時はさらに胸を締め付けた。
「泣くほど俺が嫌かよ、テメェは。俺が一番有り得ねぇってか。」
「ち、ちがっ…!」
「テメェの顔を見てみろよ。獣になった俺を拒む顔だぜ。」
銀ときは刹那の上からおり、彼女を自らの手から解放した。
少しだけ乱れた刹那の着物から、僅かに見える透き通るような白い肌に自分がつけた印が、はっと我に返させた。
これでは、天人がこいつにしてきた事と同じだ。
自分のモノにならないのに苛立ち、身体で誰のものかと分からせる。
あぁ、だからこいつは俺に怯え、スキを見せないようにしていたのか。
俺がお前を苦しめていたアイツらといつか同じことをする、と疑っていたのだろう。
「……悪ぃ。頭冷やすわ」
髪を強く掻きむしり、自分が犯した罪に心が壊れそうになった銀時は勢いよく立ち上がり、刹那に背を向けた。
「銀時待って、話を……!」
「そんな俺に怯えた状態で、テメェは俺に何を話すっていうんだよッッ!!!」
銀時の強い怒りを露わにした声が、刹那の耳に響いた。
カタカタと震える刹那の姿を見ているのは、もう辛い。
自らそうなるようにして、自ら逃げるんだ。
なんてタチの悪い男だろう、と銀時は自分を更に責めた。
「……の……ウ」
「あ……?」
消えそうな声で、俯いた刹那から微かに声が漏れる。
銀時は聞き直そうと、もう一度刹那の傍へよろうとしたその時。
「こんの、くそバカ天パ野郎ッッ!!!」
最大限まで引き出された刹那の大きな声が、キンと耳に響き、身体が固まった。
刹那もが足元をふらつかせながら立ち上がり、キッと強い目で銀時を捉え、拳を握った。
「勝手にやって、勝手に傷ついて逃げようとしてんじゃねぇ!!こっちの気持ちも少しは……!」
だが訴え終える事無く、突然何者かの殺気を感じ、急いで二人はその先に目線を変える。
気づけば二人がいた位置は爆弾により爆発し、瞬時に避けることに集中しては、爆風を上手く利用してなんとか着地し、体勢を整えた。
「銀時っっ!!」
「あぁ、分かってらァ!」
攻撃を仕掛けてきたその先にいる者。
こちらを射殺すような凄まじい殺気を放ち、じっと二人を睨みつけるその存在は、まさに女豹の名を背負った者の代物だった。