1.序奏
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※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
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「珍しいな。天人が依頼をしにくるなんて。」
「…いやぁ恥ずかしい話ですが…。実は突然行方不明になってしまった人間の娘を探しておりましてね。」
向かいあうようにソファに腰を下ろし、銀時達は話を聞く姿勢をとった。
依頼人はどっぷりと腰を下ろし、その背後に護衛の者が二人、まっすぐこちらを凝視したまま立っている。
妙な威圧感をひしひしと感じながらも、平然を装いながら新八と神楽も口を挟んだ。
「人間の娘?どういうご関係ですか?」
「えぇ、うちの従業員の一人なんです。うちにとっては欠かせない人員でしてね。どうしても連れ戻したいんです」
「あんたの雇い方が嫌だったからじゃないアルか?その娘もきっとお前らが嫌になったネ」
「おいおい神楽!…すまねぇ。話を続けてくれ」
銀時は神楽に口を挟むなという視線を送り、目の前の依頼主に目線を戻した。
「もう10年近く前にその娘が死にかけているところをみかけて、手当をして今まで一緒にずっと過ごしてきたんです。お恥ずかしい話ですが、私にとっては妹のような存在でしてね。彼女が行方不明になってからは、もう気が気じゃないんですよ。」
男の瞳から微かに感じる、寂しさ、悲しさを現す仕草。ウソを言っているようにもとても思えない。
「行方不明の心当たりはあるのかい?」
「今天人同士が密かに派閥争いをしているのをご存知ですか?先日うちもその奇襲に合い、彼女も負傷して治療室で絶対安静の状態だったんです。それが突然、姿を消してしまって…。」
「…なるほど。何か事件に巻き込まれてるかもしれないってワケね」
「もしかしたら、他の天人達に攫われてしまっているかもしれない!殺されてしまうかもしれない!そう思うと気が気じゃないんです…。私が自ら探したいところですが、正直この国で天人が公に動けば何かしらの騒動を起こす可能性もありますし、やはり人間の娘ですから、人間の方に探して頂いたほうが確実かと思いまして。」
「…その娘の写真とかあるのか?」
「えぇ、あります。」
男は胸ポケットから一枚の写真を取り出し、同時に名刺もテーブルの上に差し出した。
「あぁ、すみません。動揺しすぎて自己紹介もまだでしたね。私の名前はエドと言います。そして彼女の名前は『レイ』。」
銀時は手前にある一枚の写真を手に取り青ざめた表情をした。
「…」
「何これ!絶世の美人の女アル!お前の愛人か!?」
横からその写真を覗き込んだ神楽がそうエドに尋ねると、苦笑いを浮かべて額の汗をぬぐいながらこう返した。
「いえいえ、愛人なんかではありませんよ。もっとも私はずっと好意を抱いていますけどね。彼女はきっと、天人を好きになる事はないですから…。」
「…」
「…銀さん?どうかしました?って、何この美人半端ねぇーーーー!!」
ずっと写真を手に持ったまま固まっている銀時に声をかけたはいいが、その写真に写っている女性の姿を見ては思わず新八も身を乗り出した。
「…もしかして、坂田さん何か心当たりがおありなんですか!?」
銀時の様子をじっと見ていたエドは、目の前のテーブルに手をついて大きな音を立てて飛び上がった。
「あぁいや、こいつらと一緒でたまげた美人だなぁと思っちまっただけだよ。でもこれだけ目立つならすぐ見つかりそうだけどな。本当にかぶき町にいるのか?」
「そうだと願いたいです。早く彼女の身が安全だとこの目で確かめたいのです…」
「銀さん」
「銀ちゃん」
ここまで聞いたはいいが、依頼主に警戒心を持つサイドの二人はどうやらこの依頼を引き受けるのには賛成していない様子だ。
銀時は頭をワシャワシャとかきむしり、めんどくさそうな表情のまま、向かいに座るエドにこう返した。
「…この仕事、引き受けましょう。」
銀時の意思はこの写真を見た瞬間に決まっていた。いつもよりも意欲のある銀時に、神楽と新八は首を傾げつつも銀時を見守った。
「これは探して頂く際に必要な分だけ使ってください。もちろん見つけて頂いた際の報酬は別で払います」
「なっ…!!」
アタッシュケースの中には敷き詰められた万札の束がずらりと並んでおり、普段滅多にお目にかかれないようなその代物に三人はごくりと音を立てて息を呑んだ。
酷く動揺した3人は依頼主にくるりと背中を向け、密談を始めた。
「こここここれって、全部万札?よくある途中から新聞紙とかいうオチないよね?」
「わ、私あんなにいっぱいのお金生まれて初めて見たアルよ!」
「どどどどどう考えたって怪しいですよ!あれ使って、実は後から請求するとかいうオチも考えられますって!!」
「人一人探すといっても、この広いかぶき町を歩き回るわけですし、情報を得るにもそれなりにお金が必要かと思いますので、受け取ってください。あぁそれから、上から下までちゃんと本物の万札ですし、あとで請求する事もありませんのでご安心下さい。」
どうやら密談の内容は駄々洩れだったようで、エドはにっこりと笑みを浮かべてそう言った。
三人は額に汗をかきながらも、はははと苦笑いを浮かべてそれを受け取った。
「…正直に言えば、私にとってお金よりも彼女一人の方が大事なんです。ですからどうか、彼女を見つけ出して欲しいんです。よろしくお願いします…!!」
エドは最後に、真正面にいる銀時の手をぎゅっと握りしめ、深く頭を下げて万事屋から去っていった。