二.真選組×万事屋編
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「で、頼み事って?」
銀時が飛び蹴りをかまし、見事に宙を舞って地面へと落下した傷を負った沖田は、刹那に手当を受けながらソファへと腰を下ろしていた。
今日の銀時はいささか機嫌が悪く、ソファへも横柄な態度で座り、決して沖田の方を見ない。
沖田からすれば、刹那に下心のある自分を、心配そうな眼差しで手当してくれているこの光景が、銀時にとっては気に食わないのだろうと、容易に理解出来た。
とはいえ、今は本当に彼らを頼りに来た身だ。ある程度手当を受けたところで、刹那にもうこれ以上は必要ないと断りを入れて本題へと入った。
「実は、ちょっと最近厄介なことになってまして…。」
深刻そうな沖田の表情に、誰もが目を見張る。
「も、もしかしてあの真選組を狙う奴らが関係してるんですか?!」
新八がはっと気づいて立ち上がり、切迫な表情でそう問うと、彼はそれを否定した。
「いや、それはあれから何ともねぇでさァ。まぁ俺にとっちゃ、それよりも今抱えてる問題の方が深刻だ。」
「…なんだよ。勿体ぶらずにさっさと言えよ。」
様子がおかしいと気づいた銀時は、なんだかんだ付き合いの長い沖田の悩みを聞こうと、姿勢を正した。
「実は、数週間前から妙な奴に付けられてるんすよ。」
「妙なやつ?も、もしかして沖田さんのストーカー?」
「いや、ストーカーよりも質が悪いですぜこれが。」
珍しく弱っている沖田の姿に、新八たちは心境を察した。
「けっ!テメェ真選組の隊員だろーが。そんくらいテメェでなんとかしろよ。俺らに頼むほどの事じゃねぇだろーが。っつかーかいつもの様にどS発揮すりゃあいいだろーよ。」
「いや、頼みますよ旦那ァ。最近俺が行く先行く先に現れて、全力で突っぱねても懲りない相手でして。さすがの俺も手を焼いてるんでさぁ。」
「…なるほど。本人に言っても身を引かないとなると、ストレートに断ったところで相手は折れないというわけか。」
話を聞いていた刹那は、そう分析した。
「ああ、なるほど。それでその女をなんとかして欲しいっていう依頼なのね。」
「俺より長く生きてる旦那なら、なんかいい方法を知ってるかもしれねぇと思いやして。」
「まぁ、言ってもめげねぇ女ってこたぁ、大方総一郎より別に魅力的の男になびくようにするか、」
「総悟です、旦那ァ」
「あるいは彼女を作って、その女が抱いている恋心を木っ端微塵にするか。……はッ!」
考えながら無意識に出していたことに気づき、しまったと後悔する。
これでは後者の手を取った時点で、こんなクソガキの偽彼女役を刹那がやらなけらばならない羽目になる。
特にここ最近、刹那は怪我の具合を見に沖田に何度か接触しており、より親しくなったようにも見える。
それどころか、刹那にはこの男のどS具合は理解出来ていないため、なぜか沖田が良い奴だと酷い勘違いをしている。
銀時がそんな考えを頭の中でしている間に、刹那がようやくそれに口を挟んだ。
「なんだ、それならいい手があるじゃん。」
しまった!
銀時は冷や汗をかいた。
刹那が無邪気な顔で言おうとしてるのは大抵予想がつく。
自分が恋人役を買って出ると言うのだろう。それだけは阻止したい!
なぜなら見てるこっちがイラつくから!
と、不純な理由で銀時はそれを拒もうとしたが、時は既に遅かった。
「銀時が相手の子を落として、総悟から身を引いてもらえばいいんじゃない?」
その刹那の提案に、誰もがずるりと肩を落とした。
「な、なんで俺がそんな訳わかんねぇ女を落とさなきゃいけねぇんだよっ!っつーか、やだよそんなストーカー行為を働く女に好かれるのなんて、死んでも御免こうむるっ!」
「えーっ。ほらもしかしたら総悟の強いとことか、どSっぽい所に好かれたかもしれないじゃん。そしたら、そのふたつを兼ね揃えてる銀時ならいけるのかなぁって。」
「意味わかんねぇ理屈並べてんじゃねぇよっ!俺ァストーカー女に好かれるなんて絶対やだかんなっ!この仕事も俺ァ引き受けねぇ!!」
「んじゃ、もう打つ手はひとつしかないよね。」
「え?」
ここにきて、銀時は再びしまった、と心の中で叫んだ。自分が頑なに拒否したせいで、やはり刹那が自ら恋人役を買ってでるのではないか、と。
「じゃあ、新八にその役をやってもらおうか」
「ぼ、僕ですか?!無理ですよ、無理!ていうか、そんなこと出来てたらとっくに彼女のひとりや二人くらいできてますよ!」
「んーじゃあ、神楽が恋人役やるとか?」
「それだけは嫌だ!!」
「それだけは嫌ネ!!」
刹那の発言に、沖田と神楽の声が重なる。
「わかった。じゃあ、私がやるよ。総悟の彼女役。」
仕方ない、と刹那は腹を括る。
酷くショックを受けた銀時は石化し、新八と神楽も哀れみの目で銀時を見る。
沖田は心の底ではそれを喜んだが、刹那のことを考えるとできればその手は打ちたくないと考えていた。
「いや、確かに姉御がやってくれれば一番得策とは思うんですが、正直できればそれは避けてぇ。」
「…なんで?」
「相手がちと、厄介な奴なんでさァ。もし仮に姉御が彼女だって分かっても、潔く諦めなかった場合、姉御に何か仕掛けてくるかもしれねぇ。」
「…ねぇ。総悟を追いかけてるのは、誰?」
「古くから代々伝わる、暗殺一族の『女豹』血筋の奴でさァ。って言っても、江戸がこんな風になっちまってからは暗殺なんて言う類は基本的にはねぇですが。」
沖田は冷や汗をかいていた。
そして彼の一言に、銀時たちも焦りを抱いた。
「おいおい、女豹っていや御庭番衆並の女しかいねぇ暗殺家業の奴らじゃねぇか!」
「で、でもなんでその人が女豹の一族だって分かったんですか?!」
「そんなもん見りゃぁ分かる。左手の甲にしっかりと掘られた豹の刻印がその証拠でさァ。」
「…なるほど。それなら尚更私が買ってでるよ。」
「あ、姉御!話聞いて」
「なに、相手が標的をかえて私が狙われるんなら、闘えばいいことじゃん。」
沖田の言葉を遮り、刹那はしれっとそう返した。銀時は状況が悪くなっていくこの流れに頭を掻きながら、刹那をじっと見た。
「簡単に言うねぇお前さん。相手はあの女豹だぜ?いくらお前が強くてもさすがに無傷とはいかないだろーよ。」
「そうかもしれないけど。私が危ない時は銀時が助けてくれるんでしょう。」
「なっ……!」
刹那の思わぬ発言に、銀時は言葉を詰まらせる。
「銀時がいつでも動ける状態でいてくれれば、別に怖いものは無いし私も恋人役に専念できるもの。ね?それに、恋人役になるんなら刀は持ち歩けないから、私。」
「…いやまぁ、そうかもしれねぇが。」
「や、やっぱり危険です姉御!俺ァあんたにはこの仕事はしてほしく」
「私だって万事屋の一員なんだから、役割があっても普通でしょ。だいたいそんなの腹括ってここに来なさいな。私がただ傍観してるわけないでしょーが。総悟が困ってるって言うんなら、力になるのは私の勝手。」
「…姉御。」
「あとはまぁ…なんとかなるでしょ!」
その軽い発言に、刹那以外のメンバーはどことなく、徐に不安を抱いたのであった。