二.真選組×万事屋編
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真選組への奇襲事件があってから、一か月が経とうとしていた頃。
刹那は今日もいつものように、早朝目を覚まして朝食の支度を始めた。
昨夜銀時は友人である長谷川という男と飲みに行き、深夜に帰ってきた。
相当飲んだのか、自分の布団ではなく刹那の布団に入り込み、自分を抱きしめてぐっすり眠っていた。
あの一件があってから、銀時には普段から眠れない時は手をつないでもらっていたり、こうして傍に寄り添って眠ってくれたりしているせいか、昨夜も刹那は気にせず再び眠りに落ちた。
お陰様で熟睡出来た刹那は、今日も随分寝起きがいい。
そして平穏な日々が続いているおかげで、体調もすっかり良くなっていた。
二日酔いで帰ってきた銀時のために、体に優しい味噌汁と煮物を用意する。
キッチンで機嫌よく刹那が料理をしていると、いつの間にか背後には眠気眼で立っている銀時の姿があった。
「ぎ、銀ちゃん。どうしたの?」
いつもなら飲んだ次の日は昼近くまで眠っているあの銀時が。
むしろ起こそうとしても起きないくらいぐっすり眠っている彼が、こんな朝早くに起きてくる事など滅多にない。
調理していた手を止め、銀時の方にかけより、額に手を当てる。
「もしや、風邪?いやでも、熱はない、か。」
「なんだよこんな朝早くから。朝飯の支度?」
「あ、うん。今日は目覚め良かったから。それにしても銀時珍しいね。こんな朝早くに起きるなんて。もしかして、私が動いたから起こしちゃった?それともお腹すいた?」
そう質問すると、彼は大きな欠伸をしては刹那に寄りかかった。
「やーなんかこう、すっげぇ触り心地のいい抱き枕があったはずなのに、急になくなったからなんか目ぇ覚めて…いや、確かに腹も減ったんだけど。」
「何子供みたいな事言ってんの?変な銀時」
いつものようにクスクスと笑う刹那。
銀時はそのまま刹那の背中に腕を回し、抱きしめた。
「あー、いい香り」
「あ、もしかしてお味噌汁の匂い?それとも煮物の匂いついちゃった?」
「…」
刹那のあまりにもの鈍感さに、眠気眼だった銀時もさすがに意識がはっきりとしてきた。
「…食うか。」
「え、二度寝しないの?」
「なんか、いろんな意味で目ぇ覚めたわ。」
寄りかかっていた体をゆっくりと起こし、頭をかく。
刹那はもう一度微笑み、優しい声でもう少し待ってね。と告げてキッチンへと戻っていった。
銀時は彼女の後ろ姿をしばらくぼんやりと眺めた。
侍時代が終わったかと思えば殺人人形の時代へ。それが終わりようやく自由を手に入れたというのに、一体料理をどこで覚えたというのだろうか。
それにしても、闘う機会がない刹那はみるみる女らしくなっていった。
もう昔男の形をして傍にいた頃と同一人物とはとても思えそうにない。
それよりも、そんな魅力的になってしまったせいで銀時の理性は崩れ始めていた。
最初は彼女が眠れない時、傍についていてやりたいと思った。
それで安心感を得られるのなら、それだけでもいいと思った。
でも彼女に触れれば触れるほど、自分が彼女の温もりを求めるようになった。
触れ始めた頃なんて頬を赤らめて少し恥ずかしそうにしていた刹那も、最近ではごく当たり前かのように傍による事が多い。
さて、どうしたものか。
このままこいつと〝仲良しのお友達〟を続けるつもりは毛頭ない。
だが自分は彼女に男として見られていない。
どこかで一線を越えなければ、女としての彼女はきっと手に入らない。
ただそれをいつ超えるかを、銀時はただただ、機会をうかがっていたのだった。
「っていうか、そんなにジロジロみられると結構作りにくいんですけど、」
「あぁ、悪ぃ悪ぃ。手際よく作る姿がなんか、新妻っぽかったからさ。」
「にっ…新妻?!」
ーーえーっ!ここで赤くなんの?!何で今!?どうせならさっき銀さんが寄り添った時とか、酒に酔って寝ぼけた振りしてテメェの布団に入ったとこじゃねぇの?!
銀時の突っ込みたい衝動が喉元まできて、必死に抑えた。
ーーいやでも待てよ。焦るな俺。
これはもしかして、普段から実は照れ隠しをしていて、新妻のワードを突然出したのが新鮮で照れたのか?
銀時の二日酔いで増した意地の悪い思考が更に拍車をかけた。
「ねぇねぇ、なんで嬉しそうなの刹那さん」
にやけた顔で刹那に寄り添うと、少し恥ずかしそうに小さな声で呟いた。
「昔さ、まだ自分の家にいた頃ね。地元にいた村の女の子たちが、〝新妻ごっこ〟っていうのやっててさ。でも私はそこに入れなくて…それやるの、夢だったの。だからなんか今新妻みたいって銀時が言ったら、小さい頃の夢が叶った気になって…!」
「あ、そう。」
「でも、何で新妻?おかんの間違いじゃなくて?」
「いや、もーいいわ。」
銀時はこの時思った。
【早起きは三文の徳】ということわざがあるが、あれは迷信だ、と。
それどころか、今日はなんだかとんでもない日になりそうだ、と嫌な予感を抱きながら、食卓につくのであった。