二.真選組×万事屋編
name change
name changeお好きなお名前をどうぞ!
※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
沖田は刹那の戦う姿をただ、じっと見つめていた。
正直に言えば、なんて綺麗だろう。とさえ思ってしまった。
そんな彼女が、ゆっくりと歩み寄り自分の元に戻ってくる。
沖田は密かに心を踊らされていた。
「…総悟、悪い。待たせたな。」
少し前の刹那と違い、口調も荒く別人のようだった。
それでも沖田は、小さく笑った。
「いや、いいもん見せてもらえて俺ァ満足でさァ」
「とりあえず、早く手当を」
「いやぁ!途中から見てましたが凄いですねぇお姉さんっっ!あなた一体何者なんですか?!」
沖田と刹那のあいだに割って入ってきたのは、子供を非難させて戻ってきた近藤だった。
「なっ…こんな所にまだ天人が…っっ!!」
刹那は何を勘違いしたのか、再び沖田の刀を抜き近藤を斬りかかろうと地を蹴った。
「え、天人?え、俺ぇ?!」
「刹那さん待って!その人は真選組の局長の近藤さんですっっ!!!」
新八が急いで彼女にそう叫ぶと、はっと我に返り急いで刀を近藤から逸らした。
が、人間急には止まれない。
体勢を崩し、後方にある建物に突っ込んでいった。
「…おい、あいつ生きてるか」
「あー…生きてるだろ。なんせ刹那は刀握ってるからな。」
「どーいう理屈だよそりゃぁ!」
鼻をほじりながら応えた銀時に、土方は思わず突っ込んだ。
凄まじい音を立てて壁と衝突した刹那の周りには砂埃が舞い、視界を悪くした。
その場に居合わせた全員が彼女の方に目を向け、様子を伺う。
「あたた、やばい今ので頭かち割れたかも」
最初に聞こえた彼女の声は、つい今しがた発していたそれとは違っていた。
「おい誰か、そいつが刀拾う前に拾いやがれっっ!」
銀時が慌ててそう叫ぶと、新八が急いで沖田の刀を取りに走る。
新八は瓦礫の辺りを必死に探し、沖田の刀を見つけてすぐ様撤収し、沖田へ返した。どうやら吹っ飛んだ衝撃で刹那の手から刀が離れ、通常時に戻ったようだ。
舞っていた砂埃はおさまり、ようやく刹那の姿を目にし、誰もがほっと胸をなで下ろした。
「はぁ、やっぱりこいつには必要な時以外には刀持たせねぇ方がいいな」
銀時の本音が、彼女の闘いっぷりを見ていた誰もが深く頷いた。
「って、局長さんだったんですね、ごめんなさい!私勘違いしてしまって!!」
「いや、勘違いしても仕方ないだろ。ゴリラなんだし」
「ゴリだし」
「ゴリラにしか見えないから仕方ないアル」
「うぉい!誰がゴリだ誰が!!誰もフォローするやついねぇじゃねーかっっ!!あ、いやまぁ気にせんで下さい。って、うわあああああ、血が出てます、頭から血がぁぁ!!!」
初対面にも関わらず失礼な態度を取ってしまったことを詫びようと、刹那は急いで近藤の前で深深と頭を下げ、顔を上げたところで真っ赤な血が彼女の額から流れ落ちていた。
「あ、ほんとだ。着地しくじったな」
「んな呑気なこと言ってる場合ですか!早く手当を…!」
「…ん?」
近藤の言葉を他所に、刹那は銀時の前まで歩き、顔を覗き込んで首を傾げた。
「なんだぁ?いきなり人の顔見て。俺ってマジマジと見ちゃうほどカッコイイ?」
「いや、銀ちゃん。なんか頬怪我してるよ?」
「って、テメェがつけたんだよテメェが!!」
「え、私?やだ、あははは」
「あはは、じゃねぇよ!相変わらずムカつくなぁお前!もういいからさっさと手当すんぞ、クソッタレ!」
「ひどっ!バンソーコー貼ってやろうと思ったのに」
「いらねぇよガキか俺は!っつーかいいからテメェは自分の心配しろよっ!!血が気になってしょーがねぇっつーのっ!」
全力で突っ込む銀時に、刹那は不貞腐れて肩を落とした。銀時はそれでも、まるで子供の頬に泥がついたのを払う手つきで、ひとまず自分の裾で彼女の血を軽く拭ってやった。
そのやり取りに、沖田は声を上げて笑い、ようやく重たい体を起こした。
「姉御。俺と一緒に来て手当受けてくだせぇ」
「いや、いいよ私!大した傷じゃないし!総悟が見てもらおう。出血してから結構時間たってるし!」
「姉御のおかげで痛みもすっかり取れましたよ。心ん中にあった、悔しさもね。」
沖田の二っと笑う笑みに、刹那もつられて笑った。
「そりゃ、お粗末さまでした。ていうか、傷ほんと大丈夫?」
刹那は自分の傷もお構い無しに、沖田の側へ駆け寄って心配そうな眼差しで見る。
そんな彼女を見て、沖田は意地の悪いことを思いついた。
「いや、ダメでさァやっぱ。姉御が一緒にいてくれないと、痛くて」
「え、ほんと?!わかった!じゃあ一緒に」
「コラコラコラコラァ!こら総一郎!テメェ何分かりやすい嘘ついてんだよ!刹那も刹那でコロッと騙されてんじゃねぇよ!」
「え、うそ?!」
「旦那ひでぇ。ていうか、総悟でさァ」
「あーもううるせぇ!!刹那は俺が手当してやるから!神楽、新八ぃ。帰るぞ。」
「あ、ちょ、ちょっと!」
天然もいいとこだ、と銀時は吐き捨てて刹那の襟をつかみ、ズルズルと引きずるようにして歩き出した。
「あ、姉御」
「テメェは俺達が治療班の所に連れてってやらぁ」
起きたのサイドに土方と近藤が立ち、刹那を追いかけようとした沖田の行先を阻む。
「ほんじゃま、お互い解散ってことで。じゃーなー」
いつものようにやる気のない声で、銀時は振り向くことなく手を振り、引きずっていた刹那を米俵のように肩に担ぎ、その場から姿を消した。
「…なんだったんだ、彼女は。」
近藤のつぶやきに、土方と沖田はフッと笑った。
「とんでもねぇ奴がこの街に来たもんだな」
「俺ァ俄然興味が湧きましたぜ、土方さん」
「え、なに、なんなの二人して楽しそうに笑って!俺にも分かるように説明してくんない?!」
彼女の存在を知らない近藤は、一人だけ取り残されたような気分になり、この後刹那という人物のことを二人から必死に聞き出すのであった。