1.序奏
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※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
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ーーーかぶき町、『万事屋銀ちゃん』にて。
ここのところ最近、平穏な日々が続いていた。こういう日が続くと、決まってどかんと嫌な事が起きたり、この平穏な日をぐるりとひっくり返すような、悲劇が起こるのがお約束だ。
だがそうなるにしたって何にしたって、仕事が来ない。「万事屋銀ちゃん」の看板を掲げた彼らは、今日も暇を持て余していた。
「ねぇ銀さん、これだけ仕事が来ないんじゃ正直給料せがむどころか食っていけやしないですよ。そろそろなんか、うちも受け身ばかりじゃなくて営業みたいな事した方がいいんじゃないですか?」
眼鏡をかけ、袴をはいた青年がソファに寝そべっている銀髪の男にそう不安げに提案した。
「そうアル。たまには社長らしい事してほしいネ!」
葉っぱをかけるように、彼の隣に座っているチャイナ服を着たオレンジ色の髪をした少女が言う。
その二つの言葉を向けられた当の本人は、顔にジャンプを開けたまま載せた状態で、酷くだるそうな声色でこう返した。
「何言ってんだよ。そういうのは社長の俺の仕事じゃなくて、部下のお前らがやる事だろ?」
「部下って言いますけど、部下として給料もらった事ないんですよ一度も!こうなれば社長も部下も関係ありませんよ!」
「そうだそうだ!銀ちゃん何えらそうな口たたいてるネ!」
徐々にヒートアップしていく二人の部下に、銀ちゃんこと坂田銀時は深くため息を零して体を起こした。
「あのねぇ新八くん、神楽ちゃん。そもそも俺がこの町に営業をかけて依頼がくると思う?」
「…きませんね。」
「まずこないアル。」
銀時の質問に対して即答した二人は、普段銀時がこの町でどのような生活を送り、どのような人柄だと思われているのか理解しているからだ。
暇さえあれば有り金をもってパチンコへ。仕事が来ないのを言い訳にどこの店へ行っても会計はツケにして一向に返す見込みなし。向こうが困っている事があれば仕方なくここに足を踏み入れることはあっても、とても銀時の事を知っている町の人たちに営業をかけたところで、効果があまりあるとは言えない。
「おいおいそこは、そんなことないよぉ!とか、否定してあげるとこだろーよ!っんとにオメーら薄情な奴らだな!」
「あなたに言われたくありませんよ。でも確かに、それもそうですね。銀さんが街に出て営業するよりは、僕らが出回ったほうがいいかもしれないです、神楽ちゃん。」
「そうネ。こんなダメ男は何やってもダメアル!」
「ちょっとちょっと、誰がダメ男だよ!銀さん結構頑張ってると思うんだけど?!」
「どの辺が頑張ってるんですか!この前の依頼だって結局暴れすぎて修理費でほとんど飛んじゃって利益ないし、この前は依頼料もってパチンコ行って有り金全部無くしてくるし!やってることがめちゃくちゃすぎなんですよ!」
「ちょっと待て、この前の暴れすぎて修理費出した奴は俺じゃねぇ!神楽だろーが!なんで全部俺のせいにしてんだよ!」
「ちょっと待つアル!何で私だけのせいになるアルか!」
いつものように3人で言い争いが始まる。そしていつもの事だが、徐々に論点はズレていきただの悪口を言い合うだけのような内容へと変わる。
いつもはその言い争いは各々が疲れて終わるか、やってらんねぇの一言で各々が出かけるかの結末が多い。
が、今日は一つのインターホンの音によって途絶えたのだった。
「な、なんだぁ?客か?おい新八出てこい」
「行くアル、メガネ!」
「なんで二人してそんな偉そうなんですか!ったくぅ…」
二人して顎で人を使うような素振りをして新八に指示をすると、小さくため息を零して新八は玄関の方へと足を動かした。
ガラガラと音を立てて扉をあけると、そこには人間の姿に限りなく近い天人の男が、薄気味悪い笑みを浮かべながら立っていたのだ。
「ここは金さえ払えば何でもしてくれるという万事屋と聞いたんだが。」
「え、えぇ。ご依頼ですか?」
「あぁ、内密に頼みたい仕事でな。中に入ってもいいかい?」
見かけによらず、しかもそこらの天人達よりかなり礼儀正しい男だ。新八はどうぞ、と中へ入れるとその男の後ろにいる護衛の二人の存在にたった今気づき、心臓が飛び跳ねた。
少し視野を広げれば見えていた位置だろうに、全くの気配を感じなかったからだ。微かに手に汗を握りながら、新八は再び玄関の扉を閉めて居間の方へと戻っていき、お茶を出す準備に取り掛かったのだった。