二.真選組×万事屋編
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「はー!買い物堪能したな。さ、帰るか。」
デパートの出入口の前で、刹那は大きく背伸びをした。
なんやかんやで全員の買い物をし、神楽や新八、銀時にも新しい服やら日用品やらを購入して回っていたせいで、気づけば日は沈みかけていた。
最後に寄った喫茶店でたらふく好きな物を彼女に食べさせてもらった銀時たちは、軽く胃もたれを起こし気分が悪くなっていた。
「ったく、何やってんだ。大丈夫か?」
男物の服を纏っていて数時間経つが、刹那ら昔の感覚を思い出したのか口調が今までよりも男らしかった。
銀時はそんな彼女に少し懐かしさを抱きながらも、少しばかり顔がほころんだ。
「こんな所で何してんですかぃ、姉御。」
「あ」
そんな中、銀時の前に突如現れたのは、相変わらず黒の制服を来た沖田だった。
「今日はまた一段と悩殺じみた格好してまさぁ。買い物だったんですかぃ」
銀時たちがいるにも関わらず、沖田は刹那に近寄り、にっこりと笑みを浮かべた。
「総悟、どしたのこんなとこで。あ、仕事?お疲れ様」
それに対し、素直に言葉を返す刹那。
だが、彼女が発した言葉に銀時たちはぴくりと反応した。
「そ、総悟だぁ?!」
「え、あれ?なんか今のマズかった?」
新八と神楽が怪訝そうな表情を浮かべつつ、沖田を睨みつける。
沖田はといえば、それを見てなぜか勝ち誇った顔をしていた。
銀時は先日刹那が彼を名で呼ぶことを聞いていたが、自分の元に来てくれたことに安堵し、その問題をすっかり忘れており、今しがたそれを目前にして再び苛立ちを覚えた。
「ちょっと刹那姉ちゃん!どういうことアルか!なんでこんなどSのこと、そんな親しげに呼んでるアルかっ!!」
「そうですよ!いつの間にそんな距離を縮めたんですかっ!むしろ僕らより縮んでませんっ?!」
「ああいや、それは…」
「おいおいアンタら、呼び方だけで僻みですかぃ?ガキだなぁ」
そういう沖田の笑顔は、まさに腹黒い。
怒りを露にした神楽は拳をふるわせ、そのままの勢いで刹那を見た。
「刹那姉ちゃん!私のことも神楽って呼ぶアル!」
「え?よ、呼んでるよ?」
「違うっ!神楽ちゃんじゃなくて、神楽!」
「じゃあ僕も新八くんじゃなくて、新八!!」
「え、えーっと……」
刹那は何を張り合ってるのかイマイチ分からず、人差し指で頬をかいた。
「つか何。俺それ前も気になってたんだけど、いつの間にそんな仲良くなっちゃったわけ?!オトーサン聞いてませんけど?!てかなに、もしかして刹那はこーいうサディストがお好みなわけっ?!」
「いや、オートサンって誰がだよ。銀時までもう何言ってるのかわかんない。仲良くなったも何も、総悟がそうやって呼ばないと聞き入れ…ふぐっ!」
てくれないから、そう呼ぶしかなくて。
と、言うつもりだった刹那の口を、満面の笑みのまま沖田は手で塞いだ。
「いけねぇなぁ、姉御。そう何でもかんでも素直に話されちゃァ」
「さ、サディストてめぇっ!!」
「こんの変態どSっっ!!」
「いい加減にしろよこのクソガキがぁあぁ」
沖田の仕掛けた挑発に、三人はまんまとひっかかる。
刹那はわけも分からず、再び瞬きをしてポカンとしていた。
そんな中、沖田は刹那の耳元で他のメンバーに聞こえないように小さく声をかけた。
「やっぱり、万事屋で落ち着いたんすね、姉御」
「…そ。ありがとね、総悟」
「俺ァ何にもしてねぇでさァ。」
「よく言うよ。こういう結果に持ち込むように、わざとしてくれたんでしょう。」
「買い被りですよ、姉御。俺ァあんたがこの町に残ってくれればそれでいいと思ってたし、万事屋に行かねぇなら真選組に勧誘するつもりでしたさァ」
沖田の言葉に、刹那はふふっと小さく笑った。
刹那は沖田の気づきにくい優しさに気づいていた。
あの時手合わせをすると言っていたのは、大方銀時が自分を探している様子をどこかで見かけ、走って空き地へ向かうという挑発じみた行動をし、彼を必死にさせ、本心を引き出すためのものだ。
ほんの少ししか接点しかなかったが、刹那は沖田の事を銀時達が言うただのサディストとはとても思えなかった。
沖田はやんわり微笑む刹那の表情を見て、安堵する。
そのやりとりを見ていた銀時は、わなわなと拳を握りしめ、思わず密着していた二人を引き離すように刹那の手を引っ張り自分の元へと引き寄せた。
「おいサディスト総一郎!よくわかんねぇけど、刹那をそっちの悪趣味な世界に引っ張るような事してんじゃねぇよ!」
「旦那ァ、総悟でさァ」
「っていうか何、そっちの悪趣味の世界って。あんた総悟をどーいう目で見てんの」
「あーもうややこしくなるからオメーは黙ってろ!」
「おいこのクソドS!さっさと消えろネ!今日は刹那姉ちゃんと万事屋メンバー水入らずのお買い物アル!」
「嫌でぃ。俺ァ仕事でこの辺りを巡回してるんでさァ」
「そ、そういえば沖田さん。昨夜真選組が一気に奇襲かけられて負傷者が多発してるってニュース見ましたけど、本当なんですか?」
新八の言葉に、今まで涼しい顔をしていた沖田は一瞬表情を険しめた。
今のその僅かな変化に、刹那は瞬時に気づき、様子を伺った。
「…あぁ、本当でさァ。正直相手が何者なのかも掴めちゃいねぇし、何が目的なのかもわからねぇ。だから厳重警戒態勢をとってるんでぃ」
「厳重警戒って、お前ひとりじゃねーか」
「いや、さっき土方まいてきやした」
「おいコラァ総悟てめぇぇぇぇっっ!!」
しれっとそう答える沖田に、突如後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた事に銀時達は呆れた表情を浮かべた。
「てめぇ今の状況分かってんのかコノヤロ…あ?」
総悟の元まで全速力で走ってきては、足を止めて彼の周りにいる銀時達を見て口を止めた。
「あ、あんた…」
「あ、土方さん!よかった、お会いしたかったんです!」
土方の姿が目の前にきては、パッと明るい表情で微笑んで土方の傍へ寄る刹那。
彼女はそのすぐ後ろで、先ほどと同じように沖田を含めた銀時達が怪訝そうな表情をしている事を、まだ知らない。
「二度も助けていただいたのにまだお礼も言えていなくて…その、本当にありがとうございました。」
「あぁいや、俺ァ大して何もしてねぇから気にするこたぁーねぇ」
真っすぐな彼女の言葉に、土方はらしくもなく照れる。
刹那は深々と頭をさげ、再びにっこりと微笑んだ。
「あの、もし私にできる事があれば言ってください。恩返しさせて頂きたいですし…」
「え?!何でも言う事聞く?!」
「そこまで言ってねぇっ!!!!」
土方の謎の幻聴に、刹那以外のその場にいた誰もが突っ込む。
「おい姉御、こんな奴に恩返しなんてしなくていいさァ。俺だけで十分だ」
「っていうか総悟、そもそも土方さんって同じ真選組なのになんでそんなに仲悪そうなの」
「そ、総悟…?!」
刹那の呼び方に反応した土方は、二人の距離が縮まったような光景に目を疑った。
というか、このメンバーの中で一番こいつと距離が遠いのは俺じゃねぇか。
〝土方さん〟のうえに敬語って一番他人行儀だろ。
何かよくわかんねぇけど、こいつらに負けたくねぇ。
そんな土方の心中を察することなく、しばらく沖田とやりとりしていた刹那は土方の方に視線を戻し、優しい声色で言った。
「ほんとに、お手伝いとかできる事あったらありますから言ってください。私にはそれくらいしかできませんけど…」
「じゃあ、あれだな。まずはそのかたっ苦しい敬語をやめてくれ。あと、俺ァ十四郎っつーんだ。トシでいい。」
「あ、そう?じゃあ、私も呼び捨てで構わないから。」
「っていうか何でそうなるんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
土方と刹那のやり取りに、どうしよもなく銀時は突っ込む。
呆れたような目つきで彼女を見ては、銀時は心の中で呟いた。
そういやぁ、こいつ昔から人と距離縮めんの得意だったな。
見境なく誰とでも接する事ができるからこそ、俺たちはこいつに馴染んだんだった。
それにしても、それが今この歳になっても相も変わらずとは。
大人になって彼女の見方が変わった今、銀時にとっては時にそれが複雑な感情を抱かせるのであった。
銀時がそんな事を考えている間、いきなり現れてわずか数秒で自分と同じ立場に立った土方に、沖田は土方に奇襲をかけていた。
「ってことで、この辺りは危険だ。はえぇとこオメーラもこっから立ち去ったほうが利口だぜ」
ようやく落ち着いた土方は、ポケットから煙草を取り出して火をつけ、刹那達にそう告げた。
「ちげえねぇ。めんどくせー事に巻き込まれねぇように、早いとこ退散しようや。」
「間違いないアル。私はどうあってもこいつらがピンチになっても助ける気にはならないネ」
「こちとらクソガキに助けは求めねーし助けられたくもねぇやい」
「んだとこのクソ変態どSがぁぁぁっ!」
「…なんであっちもこっちもすぐ喧嘩すんだよ。」
今度は沖田と神楽が言い合いを始めた事に、とうとう刹那も呆れて目を細めた。
「でも、真選組の半数は今屯所で治療を受けてるんでしょ?そんな時に奇襲かけられて、大丈夫?」
刹那は素直に二人を心配した。
銀時達との仲がどうであれ、自分にとっては命の恩人の二人だ。
できれば命の危険に関わるような事にはなってほしくない。
そう願う刹那の瞳を見て、土方はフッと息を吐いて笑みを浮かべ、刹那の頭の上をポンポンと撫でた。
「おいおい、俺らはあの真選組だぜ。そんな不安そうなツラしなくても心配するこたぁねぇ。」
「…ならいいんだけど。」
「ちょっと待て!テメェ何さりげなく頭ポンポンしてんだよこのクソマヨラーッ!知ってっか!?そのポンポンってやつが今女の気を引くランキングNo2なんだぞっ!何考えてんだテメーッ!」
「あぁ?何だよ、こいつがガキみてぇな心配そうなツラしやがったからだろーが。深い意味はねぇよ、深い意味は」
「ウソつけコラァー!何で深い意味がねぇって二回言ったんだよ!今のはゼッテー下心はいってただろーがコンチクショー!まさかの発情期ですか多串君っ!!」
「だから多串って誰だよテメェは!」
「…あーもうだめだ、この立ち位置めんどくせ。訳わからん」
自分を挟んで再び言い合いをおっぱじめた土方と銀時に頭を抱えながら、刹那はその場から離れようと足を動かした。
その時だった。
何やら不穏な影が、彼らの元に訪れたのは。