1.序奏
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※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
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沖田の行く先へと着いていく刹那は、彼の横顔を見てふと違和感に気づいた。
「ねぇ、沖田く」
「総悟でいいでさァ。」
「あ、そ、総悟く」
「総悟」
「…ーーっっ!総悟!!」
「はい、なんですかぃ」
「…」
彼のかぶせてくるその物言いと、時折露骨に出る黒いオーラで刹那は確信した。
「どSか君は。」
「姉御はどMですかねぇ。相性良いかもしんねぇです。」
「いや、何その勝手に決めた感じ……。まぁいいや。今日はもう一人の人と一緒じゃないの?」
「もう一人の人…?あぁ、土方さんですかぃ」
「かな?髪の黒い、瞳孔開きっぱなしの人。」
名前がわからない以上、特徴を言うしかなかった刹那はそう沖田に説明すると、彼は腹を抱えて笑いだした。
「いやぁ、姉御やっぱ面白い。まぁたぶんそれ、土方さんで正解」
「や、悪口じゃないからね?!特徴言っただけだし。」
「そういう事にしときますぜぃ。あの人なら今別のエリアを回ってるところでさァ。」
「あ、そうなんだ。彼にもお礼が言いたいんだけど。」
「まぁそう気にしなさんな。俺たちは市民を守るのが務めでぃ。あんたが倒れてたから助けた。あんたが死にそうになってたから助けた、それだけのことでさァ。」
「でも、やっぱりお礼も言いたいし、恩は返したい。」
刹那の言葉に、沖田は口角を上げてへぇ、と呟いた。
「姉御はこれから万事屋のところで働くんでさァ。そしたらそのうち嫌でも顔合わせすることになると思いますぜぃ。」
「え、なんで私が万事屋で働くって……」
「旦那がそうしろって言うでさァ。あんなに必死で助けようとしてたのに、怪我が治ってはいじゃあさよなら、って展開にはならないと思うけど。」
「どうかな。あいつは、そんな他人に執着するタイプじゃないと思うよ……」
自分で口に出して、それに胸を痛めることを情けなくなる。
「姉御は、どうしたいんです?」
「…」
「……自分の体がいつ限界を迎えるか、心配ですかぃ?」
沖田の言葉に、刹那ははっと驚いて振り向いた。
沖田自身は目線を前に向けたまま立ち止まり、小さく息を零した後再び口を開いた。
「やっぱり、副作用的な何かがあるんスね。あの闘いの中でやり取りした会話は一部始終聞いてたんでさァ。今のはただの俺の感とハッタリだが、姉御がそこまで動揺するってこたぁ、自覚があるんスね。」
「…無いわけじゃない。でもそうと確信してる訳でもない。人間は、どこまでいっても人間のままだ。どんな力を得ようとしても、器が耐えられなければ意味もない。今まで無茶してきた分、それなりに代償はあると思う。何となくだけど、身体に違和感があるんだ。」
刹那は自分の手のひらを見つめ、ふっと息を吐くように笑った。
「2度も目の前で死にかけた女を助けて、3度目があったら嫌気がさすだろ。」
「それでも、大切な奴なら傍に置いときたいもんじゃないですかねェ。」
「大切な奴、ね。」
「俺ァなんだかんだあの人と接点がありますが、あんたを苦しめた天人達と闘ってた時のあの凄まじい殺意は、俺ァ初めて見ました。」
「…何が言いたい?」
「それだけ旦那が何よりもあんたのことを大切にしてるっていう証拠じゃないですかね。」
「…分かってる。それを理解してるからこそ、こっちは戸惑うんだ。」
女として生まれてきただけで、ひどい扱いを受けた。
親に愛されるどころか、自分の存在を真っ向から否定し、殺そうとした。
自分には、愛情というものがどういうものなのかも、どういうのが異性として好きなのかもまだ、分からない。
だからこそ、銀時が大切に思っているそれが複雑になって仕方がないのだ。
「全く、不器用な人でさァ。2人とも。」
そんな刹那の心中を察したのか、沖田は大きくため息をこぼした。
「…姉御、さっき傷の方はすっかりいいって言ってましたよね」
「え、うん。」
「俺の言うことなんでも聞くって言ってましたよね」
「え、うん?あれ、なんか言葉変わってない?あれ?」
「じゃあ俺の言うこと聞いて欲しいんスが……」
「いや待って。話聞いてよさっきから。なんで勝手に進めてんの」
「本気じゃなくていいんで、手合わせしてもらえねぇですかぃ?」
沖田その一言に、刹那は大きく首を傾げた。
「もやもやしてる時は体を動かすのが一番でさァ。ほら、善は急げ。」
そう言ったとほぼ同時に刹那の腕を掴み、沖田は走り出した。
「待て待て待て!なんで勝手に決めるかな!ていうか、今職務中じゃないの?!」
「ごちゃごちゃうるさいでさァ。さっさと付いてきな姉御」
「あーもう、このサディスト総悟っっ!!」
刹那が叫ぶようにして言ったその言葉を、沖田は聞こえないふりをしつつも密かに口角を上げたのだった。