1.序奏
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数分闘っただけで肩で息をしなければならない程、銀時の今回の相手は強敵だった。
そもそも傷をつけることすらしたくない。それでも負けるわけにもいかない。刹那の意識を取り戻す方法はなにかないかと、闘いながら考えを凝らさなければならない。
どうする、この状況をどう打破しやいいんだ……!
心の中で何度もそう呟くが、刹那自身に隙はなく攻撃をなんとか交わすだけで精一杯だった。
「くそっ……!相変わらず強えなオイっ!」
受ける攻撃一つ一つが、余りにも強い打撃で腕が痺れそうになる。自然と苦笑いを浮かべながらも、少しでも時間を稼ぐために今まで以上に距離を取った。
そういえば、奴らは脳神経を刺激して意識を奪うようなことを言っていたな……。
あの白衣を着た男が手元にある機械を操作したタイミングで、刹那が苦しみ始めた。遠隔操作で刹那の脳を刺激していたとしたら、なにか物的な物を身につけているはず…
刹那の上から下までの姿をじっくり見渡す。服はおそらく真選組から調達したものだろう。そうなれば、衣類ではない。
気になるのは……。
「あれかっ!」
銀時は気づいた途端、カット目を開き素早く駆け出した。決めるなら1回だけだ。集中する先を刹那ではなく、左腕に巻き付くように付いているその金属めがけて、全力で刀を振りかざした。
「壊れろぉぉぉ!!」
命中したと同時に、ガードまで頭が回らないせいで、手応えは感じたものの肩を思い切り斬りつけられた。その反動で新八たちの方へ吹っ飛び、銀時は地面を思い切りスライドして行った。
「いってぇ……」
「銀さん!!」
「銀ちゃん!!肩から血が……っ!!」
銀時の身を心配して側へ駆け寄ろうと、神楽と新八が一歩踏み出したところで、銀時は再び大声をあげた。
「こっち来んな!!」
「銀ちゃん……」
「…こんな傷はどーってことねぇ。こんな俺の肩の傷なんて、あいつの今までの痛みに比べればハナクソでもねぇ。」
木刀を支えに、ゆっくりと立ち上がりながら、銀時は続けた。
「あいつは心も体も、何度もあいつらにズタボロにされた。俺があいつを一度守れなかったせいで、あいつはあんな人生を歩んできちまったんだ!!」
「……」
「外野はすました顔してイケすかねぇなぁ、オイッ!まぁでも…それも終いにしようや」
ニヤリ、と余裕のある笑みでエド達にそう告げたタイミングで、刹那が身につけていたブレスレットは銀時の打撃に耐えられず、一瞬にして砕けた。
「……よし!」
「ふっ、甘いな白夜叉。もうその装置は必要ないんだよ。記憶を消すために身につけさせていたものだからな。」
「……なん、だと……?」
確かにエドの言う通り、ブレスレットが壊れても刹那になんの変化も感じられない。
それどころか、身体を揺らすようにふらりと力を抜き、一瞬にして姿を消した。
瞬く間に銀時の目の前まで近づき、やっとのことで立ち上がった銀時を地面に押し倒し、顔のスレスレの位置に刹那の持つ刃が刺さった。
「銀ちゃん!!」
「銀さん!!」
「いっ……!くそっ間一髪かよ……危ねぇな」
パサリ、と刹那の長い髪が降り、彼女の表情は銀時しか見えなくなる。
「……う」
「……?!」
今まで心を失い何一つ声を出さなかった刹那から、ようやく小さな、震えた声を耳にした。
「…とう。」
「……刹那……?」
「ありがとう、銀時……」
気づけば銀時の頬に、大粒の涙が零れる。そして彼女の両手で持っている刃はカタカタと音を慣らして震えた。
「おまっ……正気に戻って……」
「…ゴメンね。銀時。ゴメン」
泣きながらなんとか笑顔を作り、銀時にそう告げた瞬間、銀時の体中に深紅の液体が舞い散ったのであった。