1.序奏
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※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
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銀時の体は近くの建物の外構に背中から突っ込み、痛みはさほどなかったが、一瞬何が起きたかを受け止めるのに時間がかかった。
いや、それ以上に蹴られる前に見た刹那の瞳を見て、あまりにも衝撃的で頭が追いつかなかったのだ。
なんだ、今のあいつの目は。
なんだ、この凄まじい殺気と闘気はーー。
唖然としていると、今の物音で近くにいた新八たちがその場へと駆け寄ってきた。
「銀さん!!」
「銀ちゃん!!」
「おい坂田!」
「旦那ァ!」
各々に呼ばれ、銀時はハッとして我に返り刹那に集中した。
だがその呆気に囚われているわずか数秒の間に、エドたちの手により刹那に日本刀が渡されてしまっていたのだ。
「あれは…………」
酷く懐かしく思える、刹那の愛刀〝水無月〟。剣の鍔がない真剣で、居合を得意とする刹那にとっては相性のいい刀だ。
「……刹那。クソっ!ふざけんなぁぁぁ!てめぇ、刹那に何しやがったんだ!!!」
怒りに任せて叫ぶ銀時を見て、新八たちはごくりと息を飲んだ。こんな銀時は見たことがない、と。そして未だ状況が掴めぬ以上、身動きを摂ることができなかった。
「……何って、脳を刺激して完全に記憶を無くそうとしてるのさ。過去の記憶がこの女を縛ってやがる。さっさと忘れちまって俺たちの言いなりの殺人人形になれば良かったものの。随分しぶとかったなぁ。だがさっきので最後だ。」
「な、なんだと……?!」
「お前の名前を覚えてたということは、お前がこの女の記憶の片隅に残ってた最後の砦だったんだろ。まぁ強い刺激を与えるのもこれで最後。過去の記憶は完全に消え、今お前が相手にしてるのは、俺が長年夢見た理想の殺人人形の出来上がりさ。」
「理想の殺人人形……だと?」
銀時の歯を食いしばる力が強くなり、微かに口の中に血の味がした。
自分の剣で大切な人を守りたいと言っていた刹那が。殺人人形としてこんな男の言いなりになってたって言うのかよ。そう考えると、痛みを忘れるほどの全身に熱を帯び始めた。
「 俺は自分の手を汚すのが嫌いでな。なんでも俺の言うとおりに動く、強くて最強の殺人人形が欲しかったんだ。そのために理想の侍を探し、たまたま拾ったのがそいつでな。治療して、恩をきせて働かせるつもりだった。だがそいつは人を殺めることを好まねぇと反発しやがったんだよ。だから記憶を徐々に消すよう脳神経に化学反応を起こさせ、空っぽにする実験を何度も行った。戦わせて死にそうになったレイを何度も何度も治療しては、また戦わせた。そのうえこれだけ上玉の女だ。俺はこいつがいればそれでいい。金なんて叩いても、こいつのおかげでいくらでも取り戻せる。俺はこいつが一番大事なんだよ。……だが、何度か強い刺激を当てても消えなかった記憶があったらしいんだ。恐らくそれが、お前だよ万事屋。」
「……腐ってやがるな、あの野郎。俺ァ別にあの女の知り合いでもなんでもねぇが、なんか胸糞悪ぃぜ!」
「俺も珍しく土方さんと同意見でさァ。あいつ粉々にしねぇと気がすまねぇ。」
「ギッタギタにするアル!!」
「とにかく銀さんに助太刀をっ……!」
数メートル離れた位置にいる土方たちは剣を抜き、構えた。それを横目で見た銀時は、それを遮るように腕を伸ばした。
「おいてめぇら!ぜってぇ手ぇ出すんじゃねぇぞ!!」
「で、でも!!」
「はっ。愚かだな。守りたかった友に殺されるなんてなぁ。……坂田銀時さえ倒せば、レイも心残りが消えるだろう。」
「レイって呼ぶな!!こいつの名前は刹那だ!!」
その言葉とともに、間合いを取っていた刹那が動きをみせた。
それに遅れることなく、銀時も足を動かす。刹那の戦い方は今まで何度も見てきた。決して勝算がないわけじゃない。それに、もしかしたらまだ彼女の心を救えるかもしれない。たとえそれが0.1%の可能性だったとしても、俺は刹那の心の強さを、俺とあいつとの今までの絆を信じたい。
銀時はその思いを、木刀を握る力に込めた。