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四.戦姫編

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※下の名前は男女共用できる名前を付けるとストーリーがしっくりきます💦
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敵を力任せに薙ぎ倒し、二人の女戦士はようやく元いた戦場へと辿り着いた。

だが、それと共に視界に入り込んできた光景はあまりにも残酷で、思わず言葉を失うほどだった。

「銀時ッ!!」

月詠は真っ先に彼の名を呼んだ。というよりも、他に立っている者の名すら分からなかったのだ。
真選組の制服を着ている者で何人か顔を合わせたことはあるが、それ以外は初めて見る顔ばかり。

最初に目に映ったのは、大事な男が血塗れになりながらもその場になんとか立っていた光景だった。

それに呼ばれた銀時も気づき、月詠の方に目を向ける。が、彼女よりも先に歯を食いしばってこの絶望な光景を目の当たりにしている刹那の姿が先に入り込んできた。

「ば、バカ野郎ッ!戻ってくんの早すぎだ!」

「ば、バカとはなんじゃ!」

「早くその大バカ野郎連れてここから離れろ!」

「なっ…ッ!」

銀時の言葉に、月詠は思わず苛立ちを覚えて言葉を詰まらせる。
刹那はすかさず飛躍して銀時の元へいき、思い切りゲンコツをかました。

「いってぇッ!」

「月詠に謝れ、阿呆。バカはお前だ。そんな姿で他人逃がす心配してんじゃねーよ。」

「……お前…」

戻ってきたかと思えばいきなり拳で殴ってきたその動きに加え、その口調。さっきまでの刹那とは少し違う、懐かしい雰囲気。

銀時はその時気づいた。
すぐ近くで幻斎と闘っている桂達の姿を見据えている彼女は、もしかすると以前の刹那に戻りつつあるのではないか、と。

そして死に物狂いで桂が幻斎に強い打撃を一度与えたところで、彼らもようやく刹那が戻ってきたことに気づいた。

「なっ…なぜもう戻ってきた!やつはお前を……!」

「小太郎…なぜこんな所に……」

「わしが呼んだぜよ。おまんの一大事とあらば、ワシらが駆けつけんと誰が駆けつける」

「……ん?」

刹那の前に突然現れたのは、癖毛とサングラスをかけ、一際目立つ赤い服を纏った男だった。

彼女は瞬きを何度もしながら彼を見ては、近くにいる陸奥の姿に目線を移した。

「陸奥ッ!!」

刹那ッ!」

坂本を余所に、陸奥と刹那は久々の感動の再会で思わず身を抱き合わせた。

「良かった、無事だったんじゃな。」

「陸奥こそっ!久しぶりに会えて嬉しい」

二人がそんな仲だったという事、そして何よりも驚いたのは一番そんな女らしい行動を取らないであろうと思っていた二人が喜びのあまりに抱擁するなど、二人を知る誰もが驚きのあまり唖然とした。

「え、な、なにあれ…」

「驚いたな。アイツにもあんな女らしい一面があるなんて…」

「っていうか、陸奥が先?!さっきワシのこと無視したよね?!」

嘆きの言葉を発する坂本を余所に、彼女たちはきゃっきゃと黄色い声を上げた。

「…しかし、驚いたぜよ。まさかうちの艦長とお主が知り合いとは思いもよらなんだ。」

「艦長?」

「ほれ、あそこにおるじゃろ。」

陸奥が刹那に分かるように坂本を指さす。
彼女はそれに合わせて顔ごと彼に向けたが、再び瞬きを何度かしては、きょとんとした表情で衝撃的な発言をこぼした。

「え、誰。知らないけど。」

「ぬわぁぁぁにぃぃぃッッ!」

坂本が再び大声で叫び、刹那の側へ猛スピードで歩み寄り、涙目を浮かべながら自分を指さした。

「この顔忘れたんかぁ?!薄情者だのぅ刹那ッッ!!」

「えっ……、いや、やっぱり誰。」

「なんじゃその一瞬思い出しましたァみたいな思わせぶりのリアクションはァァ!わしぜよ、坂本辰馬ぜよ!」

「…………え?」

「辰馬だよ、辰馬。お前ほんとに忘れたのか?」

銀時が坂本に情けをかけて口を出すと、刹那は手のひらの上にポンっと拳を乗せては驚きの表情を浮かべた。

「えぇっ?!辰馬?!じゃ、じゃあ陸奥の船の艦長って……」

「この阿呆じゃ。」

「ま、まじでか……知らなかった。」

刹那は目の前の男が辰馬だと言うことに衝撃を受け言葉を失い、坂本は自分の事に気づいて貰えなかった事に言葉を失う。


「あぁ、いや、ゴメン忘れてた訳じゃなくて、なんか昔と随分違うファッションしてたからさ…」

「なんつぅ無茶な言い訳ぜよ……」

「ゴメンって……でもなんで……ーーッ!」

再会を楽しんでいた彼女たちに凄まじい殺気が近づき、刹那が水無月を抜いて一瞬にして食い止める。

「おいおい、こっちは久々の仲間の再会に感動してんだ。水さすんじゃねぇよ。」

「なっ……!」

刹那の素早い動きと、幻斎の攻撃を簡単に受け止めた事に誰もが驚きを見せた。

怪我を負っているにも関わらず、刹那の戦闘能力は落ちてはいない。むしろ、先程よりも高いような気さえした。

「…ほぉ。昔の仲間の再会とやらで、一時的に強くでもなったか、刹那。」

「バカ言ってんじゃねぇよ。テメェが今相手にしてんのは、テメェの知ってる刹那じゃねぇ。十年前に殺された刹那だ。」

月詠には彼女の言っている意味がどういうものなのか、検討もつかない。
だが、近くにいた彼女の戦友と呼ばれた者達は、その言葉を耳にして再び笑みを取り戻していた。

「屁理屈を言うとは……お前もこやつらの阿呆がうつったか。」

「うつった?確かに長い事一緒にはいたが、別にうつっちゃいねぇよ。」

「テメェの方こそ刹那の事知ってるって言う割には、案外こいつの事知らねぇんだな。」

刹那の言葉に乗っかるように続ける高杉。
そしてそれを聞いた銀時は、再び洞爺湖を握りしめ、地を蹴って奴に言いはなった。

「こいつは元々大バカ野郎だッ!!」

その場にいた古き仲間が口元に弧を描く。
そして刹那が奴と鍔迫り合いをしている間に、銀時を筆頭に三本の刃と一発の銃声が鳴り響いたのだった。
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