四.戦姫編
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「ーーっ!晋助ぇーッ!!」
ようやく男の名を呼んだ彼女の前には、彼の姿はなかった。
あるのは破壊された店のごく一部と塵、そして外の景色がはっきりと見える光景だ。
前方の見晴らしが良くなったと共に、周囲の建物が軋む音や女たちの悲鳴が飛び交う中、刹那は拳を握りしめた。
「…くそっ!」
今すぐ巻き込んでしまった彼の元へ駆け寄りたい。そう思った瞬間、笠を被り、一枚の羽織で全身を覆っている男が突然、ふわりと目の前へと現れた。
刹那は目を大きく見開き、その姿をしっかりと捉えては、体が硬直した。
「…っ!」
「会いたかったぞ、レイ。いや、今は刹那か?」
ニヤリと口元に弧をかく男を見ただけで、声を耳にしただけで背中にぞくりと悪寒を走らせる。
自分はこの男には勝てない。今すぐ逃げなければ死ぬぞ、と本能が告げているかのようだ。
刹那はそれでも歯を食いしばり、男に言葉を返した。
「相変わらず胸糞悪いツラしてやがるッ……闇の情報屋、幻斎ッ!」
「ほぉ、俺の名を覚えていてくれるたァ光栄だ。いや、忘れられたくとも忘れられんのか。あれだけ身体に刻みつければ、のう。」
顎に指を添えて、刹那をじっと見つめるその視線は、彼女にとっては恐怖心を煽った。
それでも逃げられない。奴を終わらせなければ、永遠に自由などやってこないのだから…。
「お前だけは、絶対に野放しにはしておけない…この命に変えても。」
「昔の仲間を守る為か。笑わせるなよ刹那。お前は何も守れない。守れるような器を持ち合わせていないからだ。お前の仲間は俺に殺され、お前は再び俺の腕に抱かれていればいい。死ぬまで、な。」
「このッ…」
ムキになった刹那は、忍刀を抜き出して幻斎に斬りかかった。
遠くで自分の名を呼ぶ銀時たちの声が聞こえる。
それでも自分の体を止めることは出来なかった。
だが、その攻撃は奴の片腕に抑えられた。
刹那に一瞬の隙ができ、幻斎は素早く彼女の腹に静かに小刀を差し込んだ。
「ガバッ…!」
「痛いか…?お前が俺に勝てるはずがないのは、お前自身が一番身に染みて分かっているはずだが。」
「刹那を離せッ!」
遠のく意識の中、刹那の視界に幻斎の後ろをとった月詠の姿を捉えた。
くないを手にした彼女が奴に攻撃をしかける。
「月詠っ…だめだ逃げ…」
「話の腰を折るな。邪魔をすれば息の根を止めるぞ」
先ほどまで月詠が奇襲をかけようとしていたのに、彼女の姿は奴の一振りで一瞬にして遠方へと飛んでいく。
「月詠ーーーっ!!」
名を叫んでも、彼女からは反応がない。
幻斎は目の前にいる刹那の首を掴み上げ、再び口を開いた。
「たった少しの間自由になったからといって、お前は仲間を作りすぎたな。だが全員死ねば、お前は何者にも縛られる事はなくなる。」
「ふざ…けるなっ!!」
何とか抵抗して奴の手から逃れようとするが、身体が痺れていて上手く動けない。
刺された刀に何か仕込まれていたと気付いた時には、既に遅かった。
「体の神経を麻痺する程度の毒が塗り込んである刃だ。いくらお前でもそう簡単には動けまい。どれ、お前がここで伸びている間に、今お前を助けようとしている奴らを全員殺しに行くか。」
「や、やめろ…っ!!」
「それとも、お前が一人犠牲になって奴らを捨てるか?さすればあの男たちを殺さずにやってもいいんだぞ。」
「--っ!」
圧倒的な力を見せつけられ、更には窮地の選択まで迫られた刹那は言葉を失った。
私は結局何も守れない。
この手で抱えられる人たちでさえ、手が届かない。
自分が全てを諦めれば、奴は銀時達に手を出す事はないかもしれない。
私が彼らと一緒に歩むことを諦めれば…。
刹那の頭の中でそんな言葉がループした。
そんな時、刹那の掠れた瞳に一人の男の姿が映り込んだのだった。