初月の少女
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「杏子、貴女にはみんなを笑顔にする力があります。その力はすごいんですよ、それだけでみんなが助けられるんですから」
そういうといつものように優しく笑う松陽
杏子も優しく無邪気に笑い返した
先生の部屋から出ると廊下の縁側に座る杏子
その横にいつ来たのか銀時も座る
綺麗な満月
本当に今日は星も月も綺麗で静かな夜だった
『みてこれ、さっき先生がくれたの』
そういうとキラキラした髪ゴムを銀時に見せた
月の光でブルーからグリーンに変わる
まるで杏子の瞳のようだった
「綺麗だな」
嬉しそうに頷く杏子
すると銀時はその髪ゴムを手に取ると杏子の後ろに膝をついた
『ふふ、銀ちゃん縛れるー?』
「ナメてもらっちゃァ困るね杏子ちゃん、俺ァヅラの髪で特訓したんだよ」
そういうとまだ縛るのも難しい長さの髪を1つにまとめ始める
髪、柔けェ
杏子の髪を触っているんだと実感しドキドキする銀時
顔が熱くなる
そんなことも知らずにルンルン気分な杏子
「よし!できた!」
『わーありがとう銀ちゃん!』
小さくちょんっと結われた髪
嬉しそうにする杏子
銀時にとっても杏子にとっても、幸せなひと時だった
_________ドゴォン
何処からか音が聞こえ周りが明るくなる
火事?
2人は音のした方へすぐに走って言った
そこには笠を被った何人もの男が立っていた
見るからにいい人ではなさそう、むしろこの地を壊そうとしている そう感じた
男たちはこっちへ寄ってきた
「虚………吉田松陽はどこだ」
笠を深く被った男が尋ねる
銀時と杏子は刀を手に取ると体制を整えた
息を合わせ一気に刀を振るう
するりと避けられると腰を打たれた
杏子は倒れ縛られる
「杏子!」
銀時は男達を斬りつけようとする
なかなか難しい
ドッ
銀時も下に倒れしばられてしまった
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バチバチ
後ろで火花の音が聞こえる
このきつい縄のせいで動きが取れない
松陽は笠を被った男達に連れて行かれようとしていた
「先生ェェェエ!!!!」
『先生を離してよ!!!』
なぜ先生が連れて行かれようとしているのかわからなかった。だけど必死で止めようとする
前に出ようとするほど男たちの持っている棒で首のところを押さえつけられる
喉が苦しい……でも先生が危ない
こんなに近くに先生がいるのに助けられない、剣すら握ることができない
とにかく叫ぶしかなかった、銀時と杏子は必死で叫んだ
「「先生ェェェエッッ!!!!」」
「なァに心配はないよ、私はすぐにみんなの元に戻りますから。杏子、仲間を…みんなを笑顔にしてあげてください。銀時、……みんなを 護ってあげてくださいね」
先生はこちらを振り返り最後にいつもより少し寂しげな笑顔でそう言うと、また前を向き歩き始めた
約束です と言っているような背中
『先生……先生ェェェエッッ!!!』
「松陽先生ェェェエエエッッ!!!!」
銀時と杏子は松陽の姿が見えなくなるまで叫び続けた
後ろでは今まで沢山のことを学んできた塾が音を立てて燃え続ける
火の明かりで杏子の髪ゴムがチリチリと色を変えて光るのだった