あなたはいつだって眩しくて
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視線は私の方には向いていなくて。
明後日の方向を向いたまま。
それでもその言葉は何よりも嬉しくて。
どれだけ大輝が私のことを思ってくれているのかが伝わってくる。
でも、宿題は終わらせておきなさいよ、大輝。
進級のこととか心配だよ、私は。
卒業することができれば、彼はきっと引く手あまただろう。
将来に困ることはきっと、ない。
バスケのことはよくわからないけれど、それでも何度か試合を見た中で彼がいかに優れた選手であるかは一目瞭然だった。
群を抜いている。
誰よりも輝いている。
「そうだね、失言失言。やっぱり宿題は自分でやらないとダメだよね」
あとで桜井くんと桃井ちゃんに連絡を入れておこう。
詳細は聞いていないけれど、まだ終わっていない宿題がありそうで不安だ。
母親のようだと言われても、やはり心配なものは心配だ。
まだそっぽを向いて歩いたままの大輝に、私は自分の方こそ大変なことを忘れていたことを思い出す。
宿題のことよりも、何よりも先に言わなければならないことがあったのに。
ポケットに手を突っ込んで少し姿勢悪く歩く大輝の腕に、そっと自分の腕を絡める。
普段二人で外出するときにはしない。
だってどうしても人の目が気になるから。
気にしないって大輝は言うけれど、やはり私は気にするのだ。
私の方が大輝よりもずっと年上だから余計に。
それでも今日は。
大切な、大切な日だから。
だから、腕を組んで歩きたかった。
彼は、私のものなのだ、と。
街を歩く人にそう宣言したくて。
私の突然の行動に、大輝は戸惑ったように私に視線を下ろす。
年相応のまだ少しあどけない表情に笑顔を返し、私は彼の腕を引き寄せて言った。
「お誕生日、おめでとう!」
《終》