あなたはいつだって眩しくて
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私の存在に名前をつけて
いつまでたっても弱気な私は
君を苦しませていない?
《母親でもなく、友達でもなく》
いつの間にかすっかり季節は秋めいて。
頬を撫でる風は、少し前に二人で出かけた時よりもずっと心地いい。
それでもまだ夏の終わりだから、ふと見上げる空はまだ随分と明るい。
無理矢理仕事を定時で終わらせて、迎えにきてくれた大輝と合流する。
大輝はまだ高校生だから、夜遅くまで一緒にいることはできない。
それはお互いにわかっている。
わかっていて、一緒にいる。
それでも時々この距離を、隔たりをとても疎ましく思う。
私がもっと遅く生まれていればよかったのか。
大輝がもっと早く生まれていればよかったのか。
考えても仕方のないことに思考を奪われてしまうことがある。
前に会ったときよりもさらに日焼けした様子の大輝を一瞥する。
きっと今年の夏もバスケばかりやっていたんだろう。
彼にとってはそれが全てだから。
勉強なんて二の次、三の次。
それでも年長者としては、この言葉を言わざるを得ない。
「夏休みも今日でおしまい、だね。宿題、ちゃんとやった?」
「お前はオレの母親かよ」
「彼女ですよ」
「……」
事実を述べているだけなのに、赤くなるところが可愛らしい。
「可愛い」というと拗ねて口をきいてもらえなくなったことが何度かあるものだから、私はなんとかその言葉を飲み込んで胸にしまっておく。
「手伝う?」
「いらねーよ」
「間に合うの?」
「なんとかなんだろ」
「提出しないってのは論外だからね」
「わかってんよ」
「読書感想文とかなら得意だよ、私。数学はからきしだけど……」
「……お前に宿題手伝わせたら、お前と過ごす時間が短くなるだろーが」