私の“はじめて”の
夢小説設定
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目を閉じて思考を巡らせていれば、ふわりと肩に何かが掛けられた。
突然のことに驚いて肩を強張らせれば、背後から後ずさる音がした。
「お、起きていたのか……!」
振り返ればそこには引き攣った表情を浮かべる山姥切さん。
肩を見遣れば、そこには彼が纏っていた白い布が掛けられていた。
隠されていたはずの金糸の髪が露わになり、暗がりでもきらきらと輝いて見える。
「すいません、考え事をしていて……」
「……」
「あの……これ、ありがとうございます。少し肌寒いので、もう少しお借りしていてもいいですか?」
一瞬何か言いたげに口を開きかけた山姥切さんだったけれど、ややあってから承諾してくれた。
「……構わない」
「ありがとうございます」
そのまま立ち去ってしまうのかと思われた山姥切さんだったけれど、少し離れて私の横に腰を下ろした。
私が肌寒いと言ったのを気にかけてくれていたのか、私に夜風が当たらないように風上に座ってくれた。
そしてまた先ほどと同じように私たちに訪れる沈黙。
私自身元々自分から積極的に話をする方ではない。
むしろ聞き役に徹することが多いくらいだ。
山姥切さんのことは、ほとんどと言っていいほど知らない。
それでも彼が饒舌に話をするタイプではないことくらいは容易に理解できる。
つまり、私と彼の二人きりでは会話が途切れて沈黙が支配するのは必然なのだ。
沈黙が嫌いなわけではない。
むしろ騒がしいのはどちらかと言えば苦手だ。
それでも二人きりの今、ずっと沈黙を守るのは心苦しい。
何か、話さなければ。
明日からのことを相談してみようか。
そう思ったとき、隣から今にも夜の闇に消え入りそうな、小さな声が聞こえた。
隣同士で腰かけていなければ、聞き漏らしてしまっていたかもしれない。
それほどに小さな声だった。
「あんたはどうして俺を選んだんだ?写しなんかの俺を──」
「……写し?」
「あんた、そんなことも知らずに……」
驚きに目を見開いた山姥切さんの表情が見る見るうちに曇っていく。
悲愴感と言っても差し支えないかもしれない。
私にはなぜ、彼がそんな顔をするのかがわからない。
私の返答は、彼をそんなにも落胆させるものだったのだろうか。
私は無知だ。
正直刀剣に関することはほとんど知らない。
彼がいつの時代に生まれ、どんな逸話を残しているのかも知らない。
これから顕現するであろうたくさんの刀剣男士たち。
少しずつ知っていけばいい。
そんな風に考えていたのだけれど、楽観的すぎただろうか。
「今すぐこんのすけを呼んで、政府の連中に連絡すればまだ初期刀の変更──」
「変更?どうしてですか?」
「あんたにはもっとふさわしい刀が──」
「私は山姥切さんがいいんです」
「!」