あなたは私の太陽
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「バレンタイン…!」
「そう。だからどうしても今日直接渡したくて。どうぞ」
「ありがとうございます!」
私から包みを受け取ると、日向くんは嬉しそうに色んな角度からそれを見つめ、最終的に夜空に掲げた。
…そんなにも喜ばれるとは思ってもみなかったから少し照れてしまう。
お菓子を作るなんて久しぶりだったから凝ったものは作れなかったし、お世辞にも上手とは言えない代物だ。
なんとか食べられる形になったからこそ、こうして彼に渡すことができているだけで。
とりあえず目標は達成できてよかった。
内心ほっと胸を撫でおろしていると、日向くんが「あ!」と突然大きな声をあげた。
油断していた私の肩はびくりと跳ね上がる。
「これ、本命!?…ですか!?」
「え!?」
日向くんの大きな声につられて、とっさの私の声も思わず大きくなる。
まさかそんなにもド直球で聞かれるとは予想もしていなかった。
本命か、本命じゃないかと聞かれれば、「本命」ということになるのだろう。
日向くんにあげるつもりで、日向くんのためだけに作ったのだから。
でも、今すぐ何かをどうこうするつもりで今日の日を迎えたわけじゃない。
いつも頑張っている日向くんを見て元気をもらっているからこそ、何か少しでもお返しができればという気持ちがあったからだ。
下心が全くない、といえばそれは嘘になるけれど。
突然のことに言葉を発せずに鯉のように口をぱくぱくとさせる私を見て、日向くんは自分の言葉の意味を咀嚼し、顔を赤くして狼狽した。
ただそれでも日向くんは私と違って切り替えが早く、真剣な眼差しで私を見据えた。
「ごめんなさい。おれ、嬉しくて、びっくりして…」
しどろもどろになりながらも、日向くんは少しずつ言葉を紡ぐ。
必死に私に伝えようとしてくれている。
「おれ、悠さんのことが好きです!おれの彼女になってください!」
本命なのか、義理なのか。
きっと日向くんは判断できなかったんだと思う。
それでもなお、私に自分の気持ちを伝えてくれた。
玉砕するかもしれないのに。
その勇気を、真っ直ぐさを、とてもうらやましく思う。
だから私も、自分の気持ちに正直にならなければいけないと思う。
恥も外聞もかなぐり捨てて。
年上だとか、年下だとか。
そんなことはきっと関係ないんだ。
ただ、私がどう思っているのか。
日向翔陽を好きなのか。
日向翔陽を好きじゃないのか。
とても単純な、たったそれだけのこと。
さっきまで氷のように冷たかったはずの指先はいつの間にかほんのりあたたかくなっていて。
私はそれをぎゅっと握りしめて彼に言葉を返した。
私の正直な気持ちを。
《シンプル》
もしも義理だったらどうするつもりだったの、とか
そんな野暮なことは言わないでおこう
全部ひっくるめて
私は彼を好きになったんだから