束の間の夢と永遠の夢
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大好きだった幼馴染み。
その気持ちを打ち明けることはできなかったけれど、ティーダはそれでも構わなかった。
幼馴染みの少女、ノクスとの関係が変わってしまうことが何よりも恐ろしいことのように感じていた。
花のように愛くるしい笑顔を見ることができなくなるかもしれない。
たったそれだけのことがティーダから前に進む勇気を奪っていた。
互いの存在だけが生きてゆく支えだったから。
でも、ノクスは今此処にはいない──
ティーダのザナルカンドへやって来たシンは、シンであるジェクトは。
ティーダから何もかもを奪っていった。
平和な世界も。
安らげる場所も。
大切な人でさえも──
自分のように、何処かで生きてくれていると信じたい。
だけど、信じようにも状況はあまりにも絶望的で。
何度願っただろうか。
この目の前にいるノエルが、自分のよく知るノクスであればいい、と。
「キミの考えてること、当ててあげようか?」
黙りこくったまま言葉を発しないティーダに、ノエルは少しの苦笑いとともに言った。
その言葉も溜め息混じりだった。
少なくとも、ティーダの知るノクスはこんなにも大人びたような表情はしなかった。
あどけなさと幼さに満ちた顔しか見たことがなかった。
だからこんな時、嫌でも自覚する。
二人はどれだけ似ていても全くの別人なのだと。
髪の色も瞳の色も違う。
性格も、話し方も違う。
だけど顔は本当にそっくりで。
むしろ「同じ」だ、と言った方が適切なくらいに。
長い間ノクスと一緒にいたティーダが間違えた程だ。
一目見ただけなら確実に間違えるだろうと思う。
何よりも彼女の、ノエルの持つ雰囲気がそう思わせた。
独特の他人にはないものが。
「ノクスさんのこと、だよね?」
寂しげに揺れるノエルの飴色の瞳に、ティーダは後悔せずにはいられなかった。
なぜまたこの少女の前で、今側にいない幼馴染みのことを考えてしまったのか。
ノエルとノクスを重ねて見てしまうことを、この年下の大人びた表情を持つ少女は何よりも気にしていたのに──