束の間の夢と永遠の夢
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ノクスの言葉が頭の中で反芻される。
何故かやけに説得力があって。
ノクスもこれが夢だと自覚しているかのように感じられた。
「痛みは感じないかも知れないけど、なんだか暖かいね」
「そうだな…」
「今ティーダが何を悩んでるのかは、私には分からない。でもさ、私はどんなことがあってもティーダの味方だよ?それだけは、絶対に忘れないこと!」
ぎゅっと体をきつく抱き締め返されて、俺は何度も頷いた。
震える細い腕が、やはりノエルを思い出させて、これが夢なんだと痛感する。
目の前にノクスがいるのに、本当はノエルなんじゃないかと疑ってしまう。
ノクスなのか、ノエルなのか。
考え始めると、頭がおかしくなってしまいそうだった。
だから、俺はぶんぶんと頭を左右に大きく振った。
今そんなことを考えたって答えは出ない。
それならその取り留めのないことに、時間を取られていても仕方がない。
このあたたかで優しい夢がいつ覚めるのかは分からない。
でも、今見ているこの時を。
ノクスと共にいられるこの時間を。
何よりも大切にしたい。
一分一秒が惜しい。
「よし、ノクス、遊びに行こう!ノクスの行きたい所、どこでもついて行くッス」
俺ががばっとノクスの体を引き離して立ち上がると、ノクスは満面の笑みを浮かべた。
その笑顔は、俺が最後に見たもので。
シンに襲われる前に、ノクスが試合を前にした俺に見せてくれたものだった。
変わらないのは当たり前だ。
ノクスは何も変わってない。
変わったのは俺の置かれた状況と、俺自身だから。
「うん!やっといつものティーダに戻ったね。覚悟してよ、いろんな所に連れ回しちゃうんだから」
悪戯に破顔するノクスの手を引いて、俺は走り出した。
夢だっていい
せめてこの幸せな時が
もう少し続きますように──
《終》